梶哲日記

鉄鋼流通業会長の日々

天災への備えは(その2)

2015年09月26日 06時23分26秒 | Weblog
天災について分かったようなことを書いている自分に限界を感じ、実際の被災地をこの目で見る為に、常総市に行って来ました。シルバーウイークの初日19日の土曜日です。鬼怒川が氾濫して堤防が決壊し広範囲な水害に見舞われてから、9日目となります。

市川の自宅から車で、外環自動車道経由で常磐道に入って谷和原ICまで、一時間も掛かりません。ICを出た後は国道294号を北上して、間もなく常総市に入ります。他県の車はあまり見当たりませんでしたが、しばらく走ってから渋滞し出します。

中心市街に入る前二ヶ所で、中央分離帯が崩れたりした箇所でしょうか、警察が出て一車線規制をしていました。道が白くなっている所があり、泥水が渇いて砂埃が舞い上がっています。ICから3キロ位で水海道駅の道路標識があり、国道から左にそれ市街地に入りました。(10年前に水海道市が隣の石下町を編入合併して常総市となりました)

市内の公園には自衛隊が駐屯しています。消防団員が2~3人のグループで住宅を回っている様子が見てとれます。パチンコ屋の広い駐車場には機動隊の大型バスが何台も駐車しています。救援を求めている大災害地であることを一気に認識しました。

蕎麦屋さんでしょうか、お店の道具や家財を店の前に全部出して、家の中を水で洗っています。玄関や窓を開けたままの空き家のような家も目立ちます。家の前には真っ白な消毒薬の石灰が撒かれています。ゴミの山が目に留まったので車を降りてみました。作業員に聞くと川から流れて来た漂流物だとのこと、異臭が鼻を突きました。

それから国道294号に戻って北上しますが、また大渋滞。結局国道354号線がクロスする信号から先は通行止めとなりました。左に行けば野田市方面、右に行けば土浦市方面となり、私は右に曲がりました。2キロ程行くと小貝川が現れましたので、手前土手に添って左に曲がりました。土手の下には民家が続きますが、ボランティアがいました。

黄色いビブスを着たボランティアは、外人も含め10名程。家人と家の中にある家財を全て外に出しながら、使えなくなった物はゴミとして分別しています。話し掛けたボランティアの方は連休初日、朝東京から来たとのこと。「本当に、お疲れ様です」としか言いようがありません。その惨状は、さすがに写真などには撮れませんでした。

自分は大丈夫だとの正常性バイアスを日常に生かす為にも、この日の被災地を心に刻みます。

 冠水した車、冠水の高さが分かります。

 川から引き揚げられた、漂流物。
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天災への備えは

2015年09月19日 09時11分25秒 | Weblog
一週間前の9日の土曜の朝5時49分地震が発生しました。千葉県の西部地域では震度4とのことでしたが、かなりの揺れを感じました。私はその時シャワーを浴びていましたので、そのままの姿では非難も出来ず、もっと揺れが大きかったらどうしょうかと思いました。

私は毎週土曜は7時から葛西で座禅の会がありますので、車で市川の自宅を地震の直後に出ました。家を出て直ぐの京成電鉄の踏切で捉まってしまいました。安全確認をしながら低速で走っている電車が、上下線とも数本重なり、結局15分間程踏切が閉鎖状態になりました。会の開始直前ギリギリに着きました。

その2日前に台風の豪雨の影響で鬼怒川の堤防が決壊して、茨城県常総市では浸水面積が40平方キロメートルにも及んだとのことです。その後テレビの映像で水害に遭った現場を見ていると、その爪痕の凄さが伝わり悲壮感が漂ってきます。

テレビのリポーターがある家の主人に取材していました。「ご自宅は新築なのですね」との問い掛けに対して、被災者は「実は、四年半前の東日本大震災で瓦がほぼ全壊して、新築したばかりなのに、今度は水害に遭いました…」と答えていました。

被害に遭ったその方には申し訳ない話となりますが、天災の被害を二度も受けるとは考えずに新築したことでしょう。今までの台風の規模の雨でしたら、堤防が決壊するなど、まして思いもよらなかったことでしょう。

しかし天災は、人智を超え猛威を振るってきます。風呂に入ってようが、人間の都合などおかまいなしです。そして私達の心の中には前々回もここで書きましたが、天災が起こっても自分は大丈夫だとの、恐ろしい“正常性バイアス”が横たわっているのです。

座禅会の後毎週、私は自分の仕事もあり、休みである会社に行きます。誰も居ない工場で、前日データ入力しているのでレーザー切断機だけは、夜間から連続して翌日も動いています。のはずでしたが、3月に導入した最新鋭のレーザーが切断途中で止まっていました。

地震の揺れで止まったのか地震とは直接関係ないのか私には分かりませんので、役員に連絡をして後は判断を任せましたが、結局工場長が昼ごろ会社に出て来ました。会社が休みの時の、危機管理にしてもわが社は未整備です。天災への備えを、改めて考えさせられます。
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宇宙が身近に

2015年09月12日 09時43分12秒 | Weblog
宇宙ステーションで仕事をしている飛行士の、食事やトイレや健康管理はどうなっているのか。普段あまり関心がありませんが、しかし実際に考えてみて想像できる分野でもありませんし、私達は詳しく誰かに聞く機会もありません。

国際宇宙ステーション(ISS)は、米国、ロシア、欧州、カナダ、日本の5極が行なっている共同事業です。地上から約400km上空に建設された巨大な有人実験施設で、1周約90分というスピードで地球の周りを回りながら、宇宙空間での諸々の実験・研究、地球や天体の観測などを行っている、のがISSです。

そのISSなどでの日本人の宇宙飛行士の健康管理を、長年行なってきた先駆者が立花正一先生です。「防衛医大 異常環境衛生研究部門教授 元JAXA宇宙飛行士健康管理グループ長」の肩書を持たれる方であり、今回先生の講演を二度聞く機会を得ました。

立花先生は、元々防衛医科大学校出身のお医者さんで専門は精神科医です。今年の春、鉄鋼団体が主催するセミナーで「我が国の有人宇宙開発と宇宙飛行士の健康管理」とのテーマで講演を行なってもらいましたが、内容にとても感動し、私が所属する異業種交流会で再度講演を依頼しました。

それらの知識はネット上で調べれば、それなりにある程度分かります。立花先生の興味深さは、本講義の面白さも勿論ありますが、その後の先生を囲んでの食事会でいかんなく発揮されます。オフィシャル以外の“ここだけ”の話が実に面白いのです。

その中で浮かび上がって来るものは、日本と日本人の存在とそして人間学なのです。ある分野で日本最先端の技術が無ければ宇宙飛行もここまで発展しなかったと思われますし、日本人の気質やバランス感覚の良さ等も宇宙で評価されているようです。

これまでに高度100kmを超えた宇宙に行った飛行士は543人。米国339人、ロシア116人、ドイツ11人、日本10人と37カ国の宇宙飛行士の中で日本は第四位となるそうですが、飛行士の数の上でも、投下した費用でも日本は外交カードを握ってはいません。

しかし立花先生は、日本の国として年間400億円の予算を組んでいる宇宙研究開発費を無駄にしないように、「JAXAのOBとして、有人宇宙活動を一般の国民の皆様に理解いただくことが大切と考えています」と仰います。
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自分は正しい

2015年09月05日 09時43分52秒 | Weblog
業界の会合に出席すべく会場に行きました。一時間半ほどメンバー同士の報告があって、その後食事会となります。ゆえに会場は、銀座の和食の食事処を利用しています。開始時間が午後の5時です。

お店に開始15分位前に着きましたが、その部屋が未だ開いていないと言うのです。その段階でちょっと違和感を覚えました。トイレを借りた後、店員さんからどこの会かと聞き直されましたので、その会名を伝えると「お客様、その会は明日の予定ですが」。

完全に一日間違えてしまいました。翌日、何も予定を入れていなかったので事なきを得ましたが、何か予定でも入っていたら大変なことになっていました。あるいはその集まりの予定を、本来の日の一日後に入れていたら、すっぽかしたことになりました。

私の予定はパソコンに打ち込んでいます。外出や来客など他の社員にも分かるように私の予定表も組み込んで、会社内で他営業の予定共有のフォルダーで管理しています。私はそれをプリントアウトして、持ち歩いています。

今回はその曜日の行を一日間違えて入力してしまったのです。入力時に再度確認を怠ったということですが、一旦書きこんだら予定表を後から疑うことはもうありませんし、その予定を信じてしまうという、落とし穴があました。

正常性バイアスという言葉があります。バイアスとは偏見とか先入観の意味で、自分は大丈夫だと思い込む、脳の危険なメカニズムです。つまり自分は間違っていない、自分は特別だというような、思い込みにも通じる現象です。正に今回のことは、正常性バイアスです。

今回の会合では私は食事の後、中締めの役を引き受けていました。その中締めをする冒頭に「実は私昨日もこの会場に来ました」と話をしました。皆さんは、昨日もこの会場で会合があったのかと思われた様でしたが、その後で「昨日は、一日間違えて来てしまいました」と続けたところ、会場は爆笑。

更にこの話には落ちがあります。その会は三ヶ月に一回月初めの一日に行なっているので、『一日会』と銘打っています。そうです、31日に私は行ってしまったのです。なんと正常性バイアスは恐ろしいことか。
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