梶哲日記

鉄鋼流通業会長の日々

自己免疫力(その1)

2020年05月30日 04時43分47秒 | Weblog
「風邪を治せる薬はない。ひたすら休んで自分の体力が戻ってくるのを待つしかない。熱が出たり鼻水が出たりするのは、体が一所懸命に自然治癒力で治そうとしている証拠。医者にかかって処方されるのは、風邪によって生じた症状を抑える対処療法の薬。薬で押さえない方がむしろ早く治る」。このような説を、私は今までの経験から納得しています。

風邪のもう一つの治し方として、以下のような提案をされている医者がいます。「私自身歩くようにしています。引き始めに葛根湯を飲んで、それから歩いて少し汗をかき、お風呂に入ってゆっくり休む。たいていこれで良くなります。何故歩くかというと、歩くことでNK細胞が活性化されて、免疫力が高まるから。ただしこの方法がすすめられるのは体力に余裕がある人や若い人」。

“病気の9割は歩くだけで治る!”との本を読みました。サブタイトルには「簡単無料で医者いらず/歩行が人生を変える29の理由」、とあります。著者は医者の長尾和宏という方です。前段の提案は、その本の中でのものです。NK (ナチュラルキラー) 細胞は癌を退治してくれる味方でもあり、適度な運動を行っているとこの細胞の活性が高まる。最近の研究で明らかになったそうです。

私は二年前から、朝夕それぞれ3~40分程度、ウォーキングをすることを日課としました。老化に負けず健康を維持するには、免疫力は欠かせません。その免疫力の向上で大事なのは食事と睡眠と運動、それからストレスをどう解消するかだと思います。ウォーキングをする以前は、運動らしい運動はしていませんでしたので、歩くことは今の私に適していると信じています。

人は多くの情報が溢れる中で、直観や先入観で処理し不都合な選択をします。それを『認知バイアス』と言います。認知バイアスを細かく分けると16種類あり、その中に「確証バイアス(都合の良い事実しか見ない・思い込みの強化)」があります。例として、「新車を選ぶとき、欲しいと思っている車の情報ばかり集めてしまう」です。

確証バイアスで、“病気の9割は歩くだけで治る!”のタイトルを見つけ、本を買ってしまったのかもしれません。しかし自分の体に照らし合わせ、書かれている内容を検証しながら読んでみました。

ウォーキングを始めた一つの理由は、40年以上遠のいていた登山を、昔の山仲間から誘われたことです。体力も落ちていたので適度な運動は必要と、ウォーキングを始めました。足の怪我の後遺症もありますが、ハードではない山は今ほとんど問題ありません。

それを切っ掛けに、体に良いであろうことを毎日の習慣としました。朝のウォーキングの後は、半身浴をして汗が出た段階で、防水性の上衣を着て一時間ほどびっしょりと汗を出し、それからシャワーを浴びます。夕方のウォーキングを含め、外に出て日光に当たることも積極的に行っています。

私は元々低体温でしたが、この日課で体温が0.5度ほど上がったように感じます。温めるほど動くほど、疲れにくい体質になったことを実感します。若い時からよく噛む癖はあり、食事も食べ過ぎず満腹感があります。自分の体に耳を傾けて、学術的なことは後付けでも、これからも体に良いことは実行していこうと思います。

政府は、コロナ禍による緊急事態を25日全面解除し、一カ月半ぶりに経済再開に軸足を移していきます。「感染防止と社会経済活動の回復について、両立は極めて難しいチャレンジであり、次なる流行の恐れは常にある」と、安倍首相は訴えます。

私たちも第二波を警戒しつつ、個人のレベルで出来ることは備えなくてはなりません。感染予防策を励行し、何よりもコロナウイルスに打ち勝つ為自らの免疫力向上に努めることが、一番の備えだと思います。   ~次回に続く~
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120%楽しむ!(その3)

2020年05月23日 09時28分26秒 | Weblog
前回は田村さんの本から引用して、日本にはおよそ100万人のアルコール依存症の患者と、1000万人の予備軍(日に2単位の恒常的飲酒者)がいると書きました。お酒の飲み過ぎで脳(萎縮)も影響があるでしょうが、一番ダメージを受けるのはおそらく肝臓です。しかしアルコールに因らない肝臓疾患もあることを、新聞の記事で知りました。

「アルコールをあまり飲まなくても生活習慣や肥満などによって発症する、非アルコール性脂肪肝との疾患がある」。患者は国内で推定1000万人に達し、「21世紀の国民病」とも呼ばれているそうです。アルコール依存症の予備軍の数字と同じで驚きました。運動不足や栄養過多、高血圧も危険因子とのことです。

私の場合注視するのは飲酒による肝機能で、年一回会社で行われる健康診断でチェックしています。血液検査で肝機能を示すALT(GOT)ALT(GPT)は、今のところ適正範囲に何とか収まっています。晩酌は2単位以内に納めようと思いますが、肝機能の数値が上がるようでしたらその量も考えなくてはなりません。
 
「断酒は易く、節酒は難(かた)し」。これは、BS番組“酒場放浪記”に登場する吉田類さんが話されていましたが、同郷高知の文人の大町桂月さんの言葉とのこと。この時節ですので、吉田さんも家飲みが増えたようです。「独り酒は量が増えます。だから事前に飲む量や時間を決めています。ワインはボトル三分の一とか。まあ半分位にはなりますけど」。酒吞みの達人でも、節酒は葛藤があるのですね。

「酒場は社会を映し出す鏡だと思う。職場でも自宅でもなく、その中間にあって公共の場であり癒しの場、酒で人と繋がる場。いま不要不急の外出を控えていますが、酒場通いは不要ではありません。行きたいに決まってます。でも、不急だと思って我慢しているのです」。吉田類さんはそう言われます。

外出自粛を強いられても不要不急ではないと、いま世間で流行っているのがオンライン飲み会です。誘いがありましたので何事も経験だと思い、私も参加してみました。確かに時間とお金の節約になり、自宅に居ながらにして皆さんと一緒にお酒を楽しめました。

人間には五感があります。五感とは、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚。オンライン飲み会で得られないのは、画面の向こう側の嗅覚と触覚です。視覚にしてもカメラを通すと平面になります。お店で出される料理を皆で分け合い、互いのお酒の進み具合を気使い、五感をフルに活用し、人とリアルに繋がれる飲み会に勝るものはないと改めて感じました。

私の晩酌の目的の一つに「食事は時間を掛けて味わいながら食べたい」、があります。お酒を飲みながら食べるのとそうでないとでは、全く美味しさが違うように感じます。お酒は食べ物の味を深め、食べ物はお酒を引き立ててくれると感じています。お酒を楽しむ為に、適度な運動をして健康にも留意します。

「私たちは今を生きてはいない。将来生きたいと願っているだけだ。そして、常に幸せになるのを待ち望んでいる。だから今、幸せでないのは当然のことなのだ」。これはフランスの哲学者パスカルが残した言葉です。多くの人は、今を生きながら現在の人生を楽しむこともなく、将来の良いであろう出来事をただ漠然と待ち望んでいる。それに対する戒めです。

「この際、コロナのストレスをばねに、一回り大きな人になろうなんて考えています。俳句をひねったり、絵画や陶芸に熱中したり出来る。追い詰められてしまっては、今日も明日もおいしい酒は飲めません」。吉田類さんは、このようにおっしゃっています。

憂さ晴らしや怒りのはけ口で刹那的に溺れるのではなく、今を生きている幸せの実感として、飲む時は120%お酒を楽しみたいと思っています。独りでも大勢でも家でも外でも、自然からの恵みを末永くあじわいたいと願っています。
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120%楽しむ!(その2)

2020年05月16日 04時47分01秒 | Weblog
“お酒を120%楽しむ!”の著者は、田村隆明さんという方です。私と同じ年で、米どころ秋田の出身です。北里大学で基礎医学、香川大学院で酵素科学や発酵学を学ばれ、乳酸菌の研究を行ってこられました。2017年までの24年間は千葉大学理学部の教授をされ専門は癌や遺伝子、関連の著書も多数あります。

その経歴をたどっただけででも、お酒のことを書かれる資格120%です。フランスの大学に二年間留学され、そこでお酒の楽しさに目覚めたとのことで、バーテンダーのアルバイトの経験もあり、社交ダンスやカラオケや旅行など趣味は多彩です。因みに、奥様とは北里大学で社交ダンスを通して知り合ったと伺っています。 

そのような田村さんと、どうして知り合ったのかです。その奥様を介してです。私の家内が一時期スペイン料理の教室に通っていました。田村さんの奥様と仲が良いTさんという奥様がいて、料理教室に入った私の家内が仲間に入れてもらったのです。

スペイン料理教室の先生が、生徒の家族参加のスペイン料理を楽しむ会を開催されていました。7~8年前その会に家内に誘われ、私は参加したことがあります。そこで田村さんと初めてお逢いしました。田村さん夫婦、Tさん夫婦、私たち夫婦はほぼ年が一緒で、旦那さんたちは皆酒好き。酒を介して男たちは意気投合してしまいました。
 
その縁で、三夫婦での旅行が始まりました。年一回のペースで二~三泊の旅行で、幹事(企画も)は持ち回りとしました。今まで中国・四国・東北地方や北海道、台湾なども行きました。その地域に酒蔵があれば訪れています。私の家内は最近あまりお酒を飲まなくなり、二人の奥様は全く飲めませんが、宿での男たちの酒盛りに機嫌よく付き合ってくれています。

さて本の内容紹介に入ります。3部構成です。第1部、「いろいなお酒に詳しくなる!」。日本酒、焼酎、ワインは勿論のこと地球上のありとあらゆるお酒の、種類、造り方、味わい方、歴史などの解説書となっています。第2部、「お酒のなぜ?を科学する」。お酒を飲んだ後の体の変化、強い・弱い人の差、おいしさの正体など、お酒と健康が話題です。第3部、「お酒を一生楽しく飲むには?」。表題の通り、筆者の主観的ニュアンスが盛り込まれ、随想風になっています。この第3部に「Ka氏」として私が登場します。

「酔いを遅らせる飲み方」「休肝日は必要か?」「アルコールは脳にプラスにもマイナスにもなる」「チャンポンは悪酔いのもと、は勘違い」。などなど、呑兵衛にはともて気になる事柄が、何ページかに一回閑話休題、囲み記事として載っています。いずれにしましても、この本は呑兵衛のバイブルです。

著者も言われていますが学術書的でありながら、感想や随筆的な記述があり、面白く尚且つ最後まで興味をもって読み終わりました。個々のお酒の紹介でも、個人的な好みをズバリ出して下さっていましたので、つい買い求めてしまいました(添付写真の2点)。試飲しながら読んでいました。お薦めだけあって、どちらも主張があり味わいがありました。本を読んでお酒に詳しくなったようで、毎日の晩酌がより楽しくなりました。

呑兵衛がひそかに抱いている不安、それは酒量です。接種アルコールを分かりやすくするために、アルコール20gを1単位とする。1単位のお酒では清酒だと約1合弱、ビールだと中瓶1本、ワインだと小さめのグラスで2杯程度。この単位を目安にすると、解説されていました。アルコール依存症の目安は、日に3単位以上の常習的飲酒とのことです。

日本にはおよそ100万人のアルコール依存症の患者と、1000万人の予備軍がいるといわれます。予備軍は日に2単位の恒常的飲酒者だそうでこれをハイリスク群、1単位でもローリスク群と分類されるようです。呑兵衛には中々厳しい数値ですね。一生楽しく飲むためためには、少なくとも2単位以下に抑えなくてはなりません。
~次回に続く~

島根のお酒、食事によく合います。

和歌山のお酒、女性の蔵元(7代目)です。
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120%楽しむ!(その1)

2020年05月09日 09時38分05秒 | Weblog
今やステイホームが促され、家族で食卓を囲みゆっくり食事が出来ることは嬉しいことですが、家に籠ってやることが無くて酒量が増えることには留意しなくてはなりません。最近はオンライン飲み会がブームとなり、外出せず複数の人とお酒を楽しめることは新鮮な感じを覚えますが、街のレストランや居酒屋さんの経営が立ちいかなくなるのは悩ましい問題です。

はたまた、アルコール度数の高いお酒が消毒液として代用されることも話題となっています。コロナ禍で、お酒の新しい飲み方や新たな使われ方が脚光を浴びています。飲酒は習慣性が強くなると、アルコール依存症やアルコール中毒を生み出します。お酒の良くも悪くも人体に及ぼす影響も理解して、お酒を楽しみながら味わいたいものです。

そのお酒は、欧米人は強いが日本人は弱いが通説です。“酒の弱さは進化の結果?”の見出しの記事を読みました。遺伝子解析技術や人工知能の進化が、「日本人らしさ」を次々と解き明かしてきた。多くの日本人のゲノムを解析すると、遺伝情報が長い時間とともに書き換わる。酒に弱くなるよう進化していた姿が浮き彫りになった。主旨はそのようなものでした。

書き換わる変化が際立つのは、アルコールを代謝する酵素を造る部分。酵素は酒を飲むと体内に出来るアセトアルデヒドを分解するが、働きが弱いとその有害物質が減らず所謂酒に弱い体質になる。一説には、稲作を始めた時代の日本人は水田にいる寄生虫に悩まされていて、酒に弱く有害物質を分解出来ない体の方が寄生虫を追い出すのに好都合だった。記事で、酒が弱い日本人のルーツを知りました。

日本で代表的なお酒は清酒(日本酒)です。その原料は稲作の産物、お米です。その日本酒の醸造過程では必ず酵母が使われます。体の中の酵素とこの酵母、どう違うのか?ちょっと調べてみました。簡単に言いますと、「酵素はタンパク質」で、「酵母は生命」でした。酵母はその字の通り、酵素のお母さんとも言える存在です。一つだけの細胞(単体細胞)生物である酵母の中でも、物質の酵素はたくさんいます。

酵素は主に腸内で食べ物を消化・分解してくれる物質です。消化・分解は腸自体が行うのではなく、酵素が行います。酵素がないとこの働き出来なくなり、未消化のまま血液中に流入してしまうとのことです。一方酵母は種類によって、糖分を分解してアルコールにする「発酵」という能力を生かし、酒や味噌などの発酵食品を造り出します。

そう考えると、体の外で母親の酵母がお酒を造って、体の中で子供の酵素がそのアルコールを分解する。自然界で親子の絶妙なバランスがあり、神の仕業と言いたくなりますね。先述の記事に戻りますが、日本人は酒に弱いのが寄生虫を追い出すのに好都合である。それはゲノムの書き換わり。この仕業も同じようものを感じます。

微生物である酵母の大きさは、5~10ミクロン(1ミクロンは1/1000)です。因みに新型コロナウイルスは、もっと小さく0.1ミクロンと言われています。しかしウイルスは生物でなく物質とのことです。コロナは人間の細胞に入り込みシステムに依存しながら増殖をする、自己複製は出来ないけれど感染可能な物質とも言われます。

だいぶ話題がそれてしまいましたが、実は知人から本を頂きました。「昨年お酒に関する本の執筆をしていましたが、この4月に出版されることになりました。“お酒を120%楽しむ!”というタイトルです。学術書の出版社のため、科学的・技術的な内容も含んでいますが、私的な感想もふんだんに入れ、軽い感じの随想的な読み物になっています。一冊贈呈いたしますので、ご一読下さい。また、よかったら酒好きのご友人などに薦めて頂ければ幸いです。本の中に、お酒の付き合いでのエピソードが色々出てきますが、その中の『Ka氏』は梶さんのことです。コロナ禍が収まったところで、我々の仲間と飲み会や旅行、またやりましょう」。そのような手紙が添えてありました。  ~次回に続く~


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新型コロナとドイツ(その5)

2020年05月02日 09時52分33秒 | Weblog
前回、現在のコロナ禍はドイツも激動の中にあった100年前を思い起こさせるとのことを書きました。その100年前に起きたパンデミックはスペイン風邪でした。世界人口の3分の1から半数ちかくが感染し、死者は5000万~8000万人、最大で1憶人という説もあります。スペイン風邪は第一次世界大戦が大きく関わっています。

これまでの歴史上の有名なパンデミックは、ペスト、天然痘、コレラ、スペイン風邪などです。中でも、十九世紀初頭に局地的だったコレラが世界的に広がり、二十世紀初頭にスペイン風邪が猛威を振るい、そして2020年今回の新型コロナで、この三つは100年の間隔で起こっています。100年経つと人々は脅威を忘れ去り、また傲慢性が表れる。天の啓示として時間を空けて再来する。私はこのように思えてなりません。

スペイン風邪は1918年から1920年の間に、第一波から第三波までありました。しかし第一波は特段注目されず、第二波で格段に致死量が高くなり、第三波で全世界をなめつくしたと言われます。時は第一次世界大戦、第二波は多くの米国の兵隊が欧州に渡り、感染者を含む軍隊はウイルスの運び屋になった。しかし、若い兵士が次々と倒れ終戦を早めたとも言われています。

古代ギリシャのペロポネソス戦争で、アテネはスパルタに敗れました。アテネは民主制をいち早く実現しているのに、何故敗れたのか。実は当時アテネで感染症が蔓延していた。当時の様子を記述した歴史書にそう残っているそうです。その症状の描写から、天然痘か麻疹ではないかとみられています。

古代から近代に至るまで、このように感染症と戦争とは深い関係があります。戦争より怖いのは、敵が見えない感染症かもしれません。人類の歴史を変えるのは、戦争も大きな要因ですが、同じく多くの人命が奪われる感染症も大きな要素です。「ペストは近代の陣痛」と言う言葉があり、ペストの流行が暗く息苦しい中世から明るく自由な近世への転換をもたらした、という考えだそうです。

パンデミック後は、社会の変質をもたらすのは確かです。政治、経済、宗教、文化などの分野で創造的破壊が起こることは歴史が物語っています。新たな感染症の流行は予防薬や特効薬が発見されるまで大いなる脅威ですが、それがもたらす変化の側面を凝視しなくてはなりません。その観点では、単にコロナを撲滅するのでなく、暫くは共存することも必要なのかもしれません。 
 
相変わらず、新型コロナ関連でドイツの迅速さや優位性の報道が続きます。現在各国で最大の課題は、感染対策(医療崩壊をどう防ぐ?)と経済再開(経済をどう守る?)です。経済再開には、感染拡大鈍化、検査拡充、医療体制、この三つの観点で捉えることが大事とされています。緊急事態宣言を一カ月程度延長しようとする日本とは対照的に、ドイツや米国は経済活動の一部再開へ進み出しました。

ドイツは流行をみるキーワードにもなった再生産数(1人の感染者から何人に感染したかの値)を、制限解除の判断に使いました。一貫性があり解りやすいとされます。下に添付してあるのは10日程前の新聞の資料ですので、ドイツの再生産数はちょっと古いデータではあります。しかし各国比較の、検査数とICU(集中治療室)は優れたものがあります。背景には政府が医療機関に出した思い切った補助金がありました。

新型コロナで経済収縮が進むなか、雇用を維持できるかが各国でギリギリの攻防を続けています。経済再開が長引けば、政府による企業向けの補助金や雇用調整金の早急な対策が必要不可欠です。解雇容認派だった米国を含め各国が雇用維持に躍起になるのは、リーマン危機後にドイツが成し遂げた、失業抑制による経済回復を手本にしているとも言われています。

ドイツは第一次・第二次世界大戦では戦争を仕掛けた側に回り、そして両大戦で惨敗します。第二次世界大戦後、連合軍の占領下におかれ国は東西に分裂させられます。その後再統一を果たし、目覚ましい経済発展を遂げました。今回の新型コロナ禍でも秀逸性を保てるのは、ドイツ人の歴史に根源にあるはずです。




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