梶哲日記

鉄鋼流通業会長の日々

二つの選択

2006年05月29日 15時58分14秒 | Weblog
わが社にも関係が深い、二つの電炉メーカー〔下記参照〕の大きな選択に直面しました。

その一つ、M社の紹介。この工場の発生品を、過去わが社は取り扱っていました。昔、先代どうしが意気投合し、私の父がM社の増資(株式)を僅かでしたが引き受け、それを私が相続し最近まで保有していました。親子三代に亘り堅実経営を保持している会社です。

もう一つ、T社の紹介。この会社の厚板製品を、長年わが社は取り扱ってきました。過去何回となく高炉メーカー〔下記参照〕と熾烈な競争をしながらも屈せず、独自路線を堅持し、製造新品種を拡充してきた財務内容抜群の会社で、オーナー系電炉では国内最大手です。

M社の選択。中堅同規模のオーナー会社と、共同販売会社を設立。恐らく将来、本体の経営統合を視野に入れた英断なのかもしれません。電炉製品は大よそ市況品種であり、今後国内市場で共存をする為の、厳しい業界での模索の結果なのかもしれません。

T社の選択。社長が60歳を機に、45歳のプロパー役員に経営をバトンタッチしました。同族内で後継者が不在だったのも理由のようでしたが、ワンマンでカリスマ的社長が突然退き、オーナーの夢をスパッと社員に託したのも業界では話題となりました。

私はこの他社の決断に直面し、会社の存続とは何か、経営者の後継とは何かという問題を強烈に投げ掛けられた様に思います。

企業は永遠でなくてはなりませんが、人の活躍期間は有限です。また企業の選択が正しいかどうかは、時の経過を待たざるを得ません。それだけに、経営者の判断は難しいと言われます。

高炉メーカーや鉄鋼商社の再編は既に完了を迎えたと言われていますが、わが業界の中間流通の淘汰再編は途に付いたばかりとも言われています。ましてや、どんな中小企業であっても後継者問題は避けては通れません。



※電炉メーカーとは:スクラップを主原料として、電気炉で鉄鋼を生産するメーカー。リサイクル品である鉄を、コストをかけず再生し製品を造る比較的コンパクトな製鉄所。

※高炉メーカーとは:製鉄所の設備に高炉(大規模溶鉱炉)を所有しているメーカー。高炉で鉄鉱石を原料として銑鉄を生産し、転炉工程や連続鋳造工程を経て多岐に亘る製品を一つの敷地内で製造する銑鋼一貫製鉄所。
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私の近況

2006年05月22日 20時04分47秒 | Weblog
東京鉄鋼販売業連合会の定時総会が先週あり、今回はその下部9団体の一つ江戸川鐡栄会会長として初参加をしました。また明日、鐡栄会の今年度初めての役員会を開催します。本格的に業界団体の仕事がスタートしました。

鐡栄会は財政が悪化していて、つまり会の運営支出が会費収入を上回っており、現状では毎期100万円の赤字が続きます。余剰金を更に減らしてよいのか、今後の活動を抜本的に見直すべきなのか、新任会長の私としては厳しい舵取りを迫られます。

一方1年半前に入会したRC(ロータリークラブ)ですが、ちょっと忙しさが重なって来ました。RCの年度は7月からで、当会員37名中11名が次年度執行理事となりますが、私がその一人に選ばれてしまいました。

RCの役員・委員会は基本的には1年交代、会長も持ち回りですが、次期理事会は半年前から準備活動をしています。私自身社外での組織運営に参画するのは初めてですが、色々問題は抱えていますが、当RCは組織がしっかりしていると思っています。 

鐡栄会からは非営利団体の運営を知る、RCからは会社以外の組織を知るつもりで参加しています。自社にフィードバックできるものはしたいと思います。
 
その他セミナーを聞く・集まりに参加するのみで、あまり拘束されない会に五つほど入っていますが、5年前であったらこれだけの社外の集まりに出ることすら不可能でした。

以前と今は何が違うのか? あらためて今私の仕事とは? 

社員に権限を与え任す、余裕が出ればより高度な決済業務に専念する、本来の社長の仕事をする、少しはそれが実行出来て来たのかもしれません。しかし今後も社員が育たないと出来ません。

社外から学ぶ知恵もあります。社員の皆が出来ない外部の良いところを体験するのも私の仕事。

しかしベースは自分のところの会社、我が職業に立っている。社外活動に参加するも、本業を先ず優先。本末転倒にならないよう、自身を戒めたいと昨今思います。
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ある引合い

2006年05月15日 16時23分17秒 | Weblog
私の友人に印刷会社を営んでいる人がいます。彼の会社から最近、印刷機械や設備の修理に鉄を使う場合は、見積もりの依頼が来ます。それ以前付き合っていた業者に比べると、良心的だと感謝されます。

先週こんな引合いが入りました。何かを洗浄する機械で、パイプ状で回転する部品だが、一部錆びてヒビが入り割れてしまったので修復したいとの内容でした。

わが社では鉄の素材を売買したり単純な加工をしたりすることは自社で出来ますが、この様な修復加工は無理ですので、どこかを紹介すべく取引他社に問い合わせをしましたが、請け負ってくれるところはありませんでした。

わが社は『お客様第一主義』を経営の基本方針としています。折角の引合いを簡単にお断りしたくないとちょっと気負ったのですが、他社が出来ない理由は次の様なことでした。

友人の会社は初め機械メーカーに相談したがその部品自体が古く代品が無かったのでわが社に相談した訳ですが、その部品は機械から出来れば取り外さないで修理をしたい、新品(特注品)を発注するのはかなり費用が掛かるとの悩みでした。

引合いを出した他社は、応急的修復をやれと言われればやるけれど、錆びてヒビが入るほど劣化した鉄はいずれどこかにまた支障をきたす。つまりこれは鉄屋さんの仕事では無い、それは機械屋さんの仕事であると遠回しに言っているのでした。

彼に(お客様に)それを正確に伝えました。理解してくれました。

お客様第一主義とは、お客様の言いなりになる事でもなく、優柔不断に振舞うことでもない、伝えたい真実をハッキリ正確に伝えることも大切であると感じました。
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ハイブリット車

2006年05月09日 10時47分38秒 | Weblog
13年間乗っていた会社の車を、トヨタのプリウスに買い替えました。

ハイブリット車の人気はさすがで、納車3ヶ月半待ちでした。プリウスは過去に一度レンタルで乗ったことがあるのですが、更に進化していました。

今まで走行500キロ、リッター当たり平均20キロ以上、やはり凄いものがあります。普通車に比べると少し車体価格は高いのですが、いずれ燃費では元は取れると思います。

低速走行時は電気モーターで走り無音なので、街中などでは歩行者が車に気が付かず、避けません。停車していてもエアコンはエンジンかからず動いていますので、慣れるまでちょっと違和感があります。

最近ある会で環境問題の意識を高める為に、会員に環境保全のアンケートを取りました。家庭や職場で、物を買う時の選択、それを使用する際のリデュース(削減)・リユーズ(再利用)、最後はリサイクルの観点で具体的に何をどうしているか回答してもらいました。

例えば衣類については、多くを買わない、着なくなった物はフリーマーケットに出す、最後は雑巾として使う、などの回答がありました。

会員全体の傾向としては、家電製品などの購入時、省エネ・エコタイプを考慮することは浸透して来ましたが、買った後電力使用削減(小まめに電源を切るとか)にはあまり関心が無い、そんな結果が出ました。

そんな意味では、ハイブリット車は買ってしまえば後は車がエコロジーを考える。会員でもハイブリット車への買い替えが進んでいます、時代の流れを感じました。

現代の物質至上主義や大量消費経済は、一方では地球環境破壊に確実に繋がります。これ以上の環境破壊をしてはならない、もう他人事では済まされなくなっています。

自分達で出来る、身近な環境保全を考えたいと思います。
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好況は一分野!?

2006年05月01日 10時15分21秒 | Weblog
先日一日かけて7社程、わが社の販売先のお客様を訪問して来ました。

直にお客様から種々教えて頂く為に、社長と営業担当とでお客様を共有しマンネリと偏見を排する為にも、私も時々お客様を一人で回ります。

或る溶断業者を訪問しましたら、元請けをしている大手シャーリング業者から、外注先として大手建設機械メーカーの仕事を受けておりそこそこ仕事は忙しいとの事。

ご存知の様に今、耐震強度偽造問題で建築の物件はあるものの、市中になかなか仕事が出て来ず、中小の一般溶断業者は非常に仕事が落ち込んでいます。国内高炉メーカーの最高益とは裏腹に、足元店売り鉄鋼流通は苦しみの最中にあります。

しかしそこの経営者は、その好調の建機仕事の比率(全体の60%)を下げたいとの事。何故そこは比率を下げたいのか? 収益と将来性を考えた場合との事でした。

確かに今建機メーカーは絶好調、元請けシャーも過去にない好業績、外注先も協力会社としての位置付けも昨今は確立しています。しかし忙しい時でも元請け会社の仕事の波の安全弁にされるリスクはあり、また比率を上げれば上げる程外注先は価格交渉力が低下するとの事。

現況が幾ら良くても会社には先があります、経営判断の難しさがここにあります。

わが社はそのお客様とは、素材販売と溶断加工の両面で取引がありますが、上でも下でもないフラットなパートナーとしての関係を今後も構築したいと痛感しました。

若い後継者の経営努力が実る事を願いつつ、帰路に着きました。

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