梶哲日記

鉄鋼流通業会長の日々

自ら選択する人生

2013年02月23日 06時44分31秒 | Weblog
他者から見るその人の人物像は一面です。仕事仲間や友人や家族でさえその人を全部捉えることは不可能です。その場での役割が違い、接している局面や頻度も異なるので、他者からその人を捉えるのはなかなか難しいと私は思います。

それが一つになり全体像が浮き彫りになった瞬間でした。64歳で最近亡くなった方を、親しい仲間で偲ぶ会がありました。ある会の会員が中心でしたが、会員の中には中学からの学友や仕事関係の仲間なども居て、12名が集まりました。

ある会とは異業種交流の協同組合ハイコープです。長野に本部があり、新潟や山梨や東京に跨って約200社が加盟している団体です。亡くなった方は東京地区の事務局を10年近くされていた方です。

広島県下でも一番の進学校から広島大学の法学部に入学され、卒業し東京の一部上場の繊維専業商社に入社された方です。お父様が海軍の軍人で厳しい教育を受け、学生の頃は生徒会長もされた言わばエリートの道を邁進された方です。

10年前に繊維商社を訳あって早期退職されてからその方の生き方が変わったと、当日集まった達が話されていました。はっきり言って上から目線が無くなったと。私はそれ以降のお付合いで、常に驕らず謙虚な方でしたので、意外でした。

そして5年前に食道癌が発見されました。外科手術をする直前で手術をしない選択をされます。その理由は声を失う危険性を感じたから。この10年間は人と人との縁を繋いで行くことに命を賭けたので、地声を失いたくなかったのです。

その通りにハイコープの例会には、外部の講師を次から次へと送り込んで頂き、その方の人脈には圧倒されました。初めてお逢いした人には必ず毛筆の手紙を書かれた、その裏にはひた向きな努力があったことは言うまでもありません。

厳しい教育を娘さんにもされていた為か、確執があった二人の娘さんとの関係も癌に罹ってから、修復されたとのことです。満面の笑みで、お孫さんと一緒の写真を常に携帯されていました。

人は苦難に遭わなければ自分を変えようとしない。早期退職も癌も全て必然。最後はバランスを取られた人生を全うされた。皆さん一致の見解となりました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

やってみなければ!

2013年02月16日 09時36分41秒 | Weblog
前回書きました東鉄連主催の講座の続きとなります。参加された方達の動機はまちまちであると思います。自ら能動的に参加された方、誰かに言われて受動的に参加された方。私はと言うと、そのどちらでもありません。

東鉄連では東日本大震災があった直後、毎年行ってきた行事や講座を、残念ながら幾つか中断を余儀なくされました。また前後して、今まで行ってきた企画で参加者が年々減ってきているものなどを見直して、中止としました。

となると、人気がある企画を打ち出さない限り、団体の行事は勢い減っていきます。行事を増やすだけが団体運営の目的ではありませんが、何の為の組織かを考えれば、会員の交流が図れて有益なる行事は重要な役割を占めています。

東鉄連には事務局があり、専任の方が二名働いております。会員から選ばれた理事は実際の運営に関与はしますが、任期もあり交代になりますので、長期的観点や連続性については事務局に委ねなくてはならない部分も多いのです。

また運営の活性化についても理事の役割ですが、事務局からの積極的な提案も必要と考えて、年度の目標管理制度も新たに事務局に導入しました。そのような取り組みの中で、今回は事務局からの新しい講座の提案でした。

今回のような参加型の一日使っての講座は過去に前例が無く、常任理事会で諮った時には、果たして参加者が集まるのかが問題となりました。しかし推し進める強い意志をもって、物ごとやってみなければ、良い結果なども出ません。

募集を始めたところ当初一人の参加しかありませんでした。講師の方に依頼したものの、費用面や、参加者自体が少ないのでは研修にならないので、事務局では中止まで考えました。

私は常任理事であり、社員一人を引き連れての参加は当然のことです。開催ギリギリまで親しい会員や他関係者などにも参加を呼びかけて、24名が揃いました。蓋を開けてみれば程よい人数となり、密度の濃い講座となりました。

事務局の一人がその講師のセミナーに去年事前に参加して、一押しの講座でした。アンケートでは大好評、また次回も参加したいとの声が多くありました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

意志を健全に伝える

2013年02月09日 11時27分18秒 | Weblog
いかなる仕事も会社や職場の目標に結びついていて独立したものではなく、全ての仕事は人と人とが言葉や態度を交えた人間関係の繋がりを経て成り立っています。職場でコミュニケーションを無視して仕事を進めることは不可能です。

その前提に立って、コミュニケーション、ディスカッション、プレゼンテーション、アサーション(自己表現・意思表明)、をテーマに『職場で役立つコミュニケーション講座』が東京鉄鋼販売業連合会の主催で開催されました。

会員企業の社員や関係団体のスタッフ等、参加者総勢24名。講師は東京都生涯学習認定講師の咲さくら氏が担当。小グループに分け体験学習スタイルで、ほぼ一日のカリキュラムの中で行われ、わが社も営業一人と私が参加致しました。

午後から、「高校生の学費を国が無償にすることについて賛成か反対か」、「日本経済再生に向けてディズニーランドをもう一つ造ることの効果は有るのか無いのか」、この二つのテーマで参加者を二つに分けてディスカッションをしました。

まず全ての人がペアーとなり、先のテーマの討議の時に、討議参加者とその人の観察者とに別れます。後のテーマの討議の時には立場を入れ替えます。討議の途中に中断して、参加者は観察者から改善意見などを聞いて、また再開するというユニークなものでした。傍目八目の効果を狙ったものでした。

講師からは、司会を立てろとか、手順についても結論を出せとかの指示は一切ありません。積極的に意見を言う人、リーダーシップを取る人、促されて意見を言う人、最後まで意見を言わない人、とまちまちとなりました。

討議が終って講師から、ディスカッションの留意点について話がありました。その中で印象が残ったのは、年齢や経験に関係なく思ったことを素直に発言すること、何も発言しないことは参加の責任を回避することになる、とのことでした。

でしゃばらない、目立ちたくない、間違ったことを言いたくない、出来れば正解を言いたい。私の中にもあります。参加の皆さんの中にもあると思いました。

討議での私の参加態度がどうであったかさておき、アサーションの項目で講師の方が仰った、“自分の意志をきちんと持ち、伝えることはとても健全なことであり、人権に含まれる”は、とても明解な言葉でした。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

成田工場のその後(その6)

2013年02月02日 10時06分09秒 | Weblog
成田工場の売却・引渡しが完全に終わって今の心境を求められたら、素直にいえば、とても嬉しいです。しかし“勝って兜の緒を締めよ”です。ここで有頂天になってはいけないと自分に言い聞かせています。

一旦成約した話しが破談になった時、自分の詰めの甘さを反省するしかなく、頭を切り替えることを強いられました。その辺から道は開け、今回に繋がったようにも感じます。天は見捨てず、まだ傍にいて下さったのかもしれません。

感情がある限り、外の事象によって人間は一喜一憂します。しかし客観的に自分を見つめる癖をつけて複眼的に捉えていけば、その一喜一憂は短絡的であり、幸・不幸は表裏一体であることに気付きます。

従って逆境の時には落ち込まず、順境の時は有頂天にならず、それが在るべき姿だと私は思います。ロングスパンで自分の過去を振り返ってみても、正に“禍福は糾える縄の如し”になっています。

上手に描けた絵であればただ飾っておけばいいのですが、連綿と繋がっていく経営や人間の営みでは、それは不可能です。また間違ったり失敗したりしたら、それを契機として、修正していく力量も私達は問われているのかもしれません。

今回のことは終息であり新たなスタートでもあります。10年前破綻した溶断加工会社の経営を引き継いで、2年後には成田工場をその会社から買い取りました。当初の勢いは、その営業所を撤退することなど全く考えていない選択でもありました。閉鎖する労力の大変さを今回感じています。

しかし反面、浦安で鋼板販売事業と一本化した溶断加工事業の新たな融合になる訳ですので、大きな節目であり、将来に向けて梶哲商店の再スタートになります。企業は途切れることなく前進・継続していくことが使命となります。

今回を振り返って見て、やはり多くの人に支えられ助けられました。人の縁の不思議さと大切さを受け止めています。

今回お世話になった方々へのお礼の挨拶を全て終わらせました。旧暦の正月前までに。また新たな年の始まりとなります。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする