梶哲日記

鉄鋼流通業会長の日々

40年振り(その2)

2015年07月25日 06時35分22秒 | Weblog

事前のトレーニングは股関節に負担をかけないように、長時間平地を歩いたり階段を昇ったりしないで、足の筋力だけは鍛えぶっつけ本番で臨みました。山に登った後、幸いにも股関節の痛みは出ませんでしたが、足の筋肉痛はほぼ一週間残りました。

さて登山の当日平標山の家に到達して、そこで持参したお弁当を食べ、私は登った道を一人で引き返しました。後の二人はそれから更に330m登って平標のピークを踏んで、谷川連峰とは反対側に伸びる尾根を経て、駐車場の登山口に降りるコースを進んで行きました。山の家からは更に約4時間かかる行程です。

我々は何故この場所で40周年の記念登山をしたかと言いますと、苗場スキー場の先三国トンネルの手前、旧街道沿いに大学のワンダーフォーゲル部が所有している山荘があるからです。

現役時代、冬はこの山荘に泊まってスキー強化合宿をしたり、その他のシーズンは山荘を拠点に近くの山に登ったりしたものです。大学4年の3月頃、山荘からスキーを担いで山道を登って平標山まで行って、その時期直下は広いゲレンデ状になっているので、山の小屋まで滑ったことがあいます。無謀で、若かった頃の話しです。

山の家からの下りは、やはり足がふらつき始めました。所謂“膝が笑う”という現象です。筋力が無い人にはこれが表れ、山登りは登りより下りの方が辛いのです。下りで二回ほど転倒しそうになりました。しかし途中で休むと足が痛くて動けなくなる可能性もあり、450mを一気に下山しました。ここから先は平坦な林道、そこで大休止。

登山にはしきたりがあります、すれ違う人には挨拶を交わすとか、細い道の登りと下りとではどちらが優先するとか。山の自然を愛し共有する人達の、情や知恵なのでしょう。

450m下る途中で追い越した女性がいます。その女性は、花を観察したり景色をじっくり眺めたりしているようでしたので、「すみません、御先に!」と声を掛けて先に下ったのですが、私が大休止をしているところへ、降りて来たのです。

家内に目標を無事に達成したことをスマホで通信していると、彼女は勘違いしたのか、「植物を撮っているのですか。絵を描いている方ですか」と、私に声を掛けてきました。
(次回に続く)
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40年振り

2015年07月18日 09時28分50秒 | Weblog

40年振りでしょうか、これ程の本格的な山登りは。標高差650mを、二時間半を掛けて登りました。群馬県と新潟県の県境にあるのが谷川連峰です。その西端の高峰が平標山(標高1984m)となりますが、その直下の平標山の家を目指しました。

私は大学時代ワンダーフォーゲル部に所属していて、社会人になって二年後、24歳の時に大腿骨の頸部を骨折して後遺症も残って、山登りを止めました。今回の登山は、それ以来となりました。

その大学のクラブを卒業して今年40年、同期が12名集まって40周年を祝いました。そのイベントとして登山を計画し、その後温泉宿に泊まって皆が集うという企画で、7月第二週の週末に行われました。

グループとしておおよそ3つに分かれました。金曜日と土曜日に、それぞれ日帰りで、巻機山と苗場山を目指した健脚組。それから、土曜日に平標山を目指した体力お試し組。そして、仕事や体調の都合で登山が出来ず、土曜日の午後直接温泉宿に入った組。

私達のグループは3人。東京発朝一番の上越新幹線に乗って、越後湯沢駅に7時23分に着きました。それからタクシーをチャーターして、その日の宿である貝掛温泉に立ち寄って登山以外の荷物を置いて、苗場スキー場の手前にある、国道17号沿の登山の入口に降り立ちました。

そこには広い駐車場があり、既に多くの車が停まっていて、平標は日帰り登山では人気があるのでしょう。天気は上々、雲一つとしてありません。平標に登るコースは二通りありますが、我々が選んだのは、暫くは沢沿いで林間を歩いて行くコースです。

それから車が通れる林道に出て、平坦な道が続きます。歩き始めて30~40分すると心地良い汗が出て来ます。山には独特の匂いがあり、昔を思い出します。一時間半程して、本格的な登山口に到達します。駐車場から、これでも200m登ったことになります。

後は、ひたすら丸太で階段が切られている急登を進むだけです。直接太陽は当たらないものの、大粒の汗が噴き出してきます。途中で休憩を取りますが、息は上がったままです。

休憩を取ってから、耐えること一時間。視界が開けてきて、遂に平標山の家に到着。何十年振りかの感動です。40周年で、誘ってくれた仲間がいたからこその感動です。 (次回に続く)
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技術を継承する

2015年07月10日 21時22分16秒 | Weblog
営業担当と同行して、お客様を訪問しました。以前私も一人で定期訪問をさせてもらった得意先で、懐かしい会社です。その地区の工業団地の中に在る会社ですが、周りの風景も当時とは変わり、会社自体のレイアウトも変っていて、時の流れを感じます。

事務所に入る前に工場があますので、働いている方達をなにげなく見ますと、現場には若い方が目立ちました。事務所に入って責任者とお会いし、ひとしきり業況のお話を伺いました。それから、私の方で「現場には若い人がいらっしゃいますね」と問い掛けてみました。

「現場の三分の一は、ベトナムの研修生なのです」と、答が返ってきました。「実は、この地域で募集をしても若手が入社してこないので、その制度を利用しています」「彼等は3年の限定ですが、良く働きますし技術の取得も早いです」と言葉が続きます。

日本に滞在している間、お金を貯めて、母国に帰ってその技術を生かす。働く目的意識がはっきりしているのです。単純に比較してはいけませんが、今の日本人の若者には、そのような働く自覚が持てづらいのも現実問題です。
 
営業と帰りの車の中での話です。「社長は、わが社での海外の技能実習生の受け入れを検討しようと思いますか」、との質問です。営業の彼も会社の将来を考えて、色々な選択肢を持とうと努めているのです。

しばらく私は考えて、「その選択肢は、今はないと」と伝えました。「本日訪問させてもらった会社は、募集してもなかなか若手が集まらないから、苦肉の策としてされていると思う」「しかし中には、費用の面だけで海外技能実習生を受け入れている会社もあると聞き及ぶ」と話をしました。

改めて私の考えです。出来れば長く会社に勤めてもらう中で、技術や技能は中堅から若手に伝承して欲しい。三年では教える側も、教わる側も限界がある。会社はその教育費用も、しっかりと計上して利益を出さなくてはならない。理想論かもしれません。

幸いにもわが社には、20代前半の現場の若手がこの2~3年で入社しました。彼等の10年後やその先が楽しみです。教える側も部下をもってから実践勉強です。理想に終わらせず、社内でしっかり技術が継承されていく努力をしなくてはなりません。
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携帯電話最後の日

2015年07月04日 09時35分29秒 | Weblog
「何で梶さんの携帯電話、繋がらないの!」お叱り半分の声で、午後4時頃でしょうか、会社宛に電話がかかってきました。その方は私と同じく業界団体の理事で、団体の事務局が行ったことに不満を感じ、責任者でもある私にクレームの電話を入れたのです。

電話口で、「ええ、そうですか」と私。そのクレームの中身は置いときまして、携帯電話は今日中まで繋がるはずなのに、何故だろうと。早速わが社の総務の女性に尋ねたところ、お昼で解約したとのことでした。えっ、それは聞いていません。

実は会社で契約をしていた携帯電話を解約して、二ヶ月前に個人で買い求めたスマホに電話を一本化すべく、その日の午後から必要がある方に番号変更を連絡し始めていたところでした。その女性の上司である総務部の部長からは、その日中は繋がると聞いていたからです。

用件はメールなどで済ませてしまいますので、最近ほとんど携帯電話にかかってくることはありません。その日に限って、緊急の電話が入ったのです。それからが、焦りました。携帯電話のメールで変更の案内をしようと思っていたのに、慣れないスマホです。

会社の携帯電話を契約していたところと、個人でスマホを契約したところとは、通信会社は違います。電話帳については通信会社が違っても、自動的に移せたのか移せなかったのかは知りませんが、この際自分で整理をしてみようと思いその日の午前中から書き出していました。

部長とその部下の女性が、どこがどう食い違ったのか。通信会社とのやり取りも、普段慣れない者にとっては、聞き違いもあります。また社内の社員同士でも、言った言わない、聞いた聞いてない、誤解するケースは結構あります。

だからこそ確認は必要ですし、報告・連絡・相談も適宜行わなくてはなりません。今回のミスも他人をおとしめようなど微塵も考えていないでしょうが、誰かに影響を及ぼす仕事などは、相手の立場によく立って気遣いをしないとミスは防げません。

発信も受信もしなくなった携帯電話を眺めていると哀愁すら感じます。スマホを買った時、携帯電話はいずれ必要なくなるなと思ったことが、現実になりました。
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