梶哲日記

鉄鋼流通業会長の日々

車の買換え(その2)

2023年08月26日 06時15分09秒 | Weblog
18年前バンコンのCCを購入した、その数カ月後、息子の中学受験の時期となりました。茨城県にある寮生活を基本とする教育に取り組んでいる、中学校を受験することになりました。交通の不便な所にあり、受験当日電車やバスを乗り継いていくには自宅を朝の4時台に出なくてはなりません。本人の試験後、両親面談もあり、そこで息子と妻と私3人CCで行くことにしました。 

息子はベッドに寝たままで移動し、現地の中学校のすぐ近くの駐車場に停めて、車内でゆっくり朝食をして、受験会場に送り出しました。そのようなCCの使い方も発見です。例えば都心で飲み会があり、終わるのが遅くなることが予想されたら、CCで行って近くの駐車場に停めて、飲み会後朝まで仮眠する。引っ越しなど荷物の移動にも、第二の書斎として気分転換にも使えます。簡易トイレや水も常備していますので、災害時緊急避難場所として使う想定も可能でした。

妻の実家は山形県の酒田です。妻の両親は亡くなっていても、実家とお墓は残っていました。家の中の整理もあり、毎年お盆の時期に妻は一週間ほど帰っていました。先に妻が実家に行って、私は終盤に向けCCで行って寝泊りはその中で、そして整理して我が家に持ち帰る荷物はCCに載せて、家内と一緒に戻る。実家が第三者に売れるまで、このような酒田参りが10年近く続きました。

CC本来の醍醐味は、やはり車の旅です。一昨年は北海道、去年は九州にフェリーを利用して、それぞれ一週間ほど回ってきました。愛車ごと本州を離れるのは初めてでしたが、バンコンは格別な楽しみ方がありました。オートキャンプ場で大自然の中一泊し、翌日は街中のホテルに泊まる。このスタイルを繰り返せば身体も楽です。キャンプ場であれば地元市場で買い込んだ新鮮な物が食べられ、ホテルであれば美味しく洒落た店や人気店も選べます。北海道・九州共に走行約1800キロ、商用バン車のお陰で、運転も疲れず長距離ドライブも楽しめました。

近年のアウトドア人気やCCのブームで、オートキャンプ場の新設や関連施設の整備が進みました。「カーネル」と言われるように、車で寝る、普通車の車中泊も注目されています。CCの車種も装備も増々充実したものとなっています。CCがあまり認知されていなかった、18年前と隔世の感があります。自己満足ですけれど、キャラバンのCCの選択は間違っていなかったと思います。走行距離は7万キロを超えたくらいですので、エンジンの調子も衰えていません。動かなくなるまで、このまま使い切ろうと思っていました。今年の春先まで。

その考えが変わりCCを買換えようとなったのは、ここ一年くらい前からの心情の変化です。「いつか」やるから、「今」やるへの捉え方のシフトです。「やりたいこと」を先送りするのではなく、「やれること」として可能な限り今行うことです。

実は最近、軽キャンパー(軽自動車をベースにしたCC)に興味を持ちだしました。燃費も良く、サイドカーとしても最適です。何よりも近頃の軽キャンパーは、小型ながら内装・装備が充実しています。CCブームになって、手ごろな価格で買えてコンパクトな軽キャンパーに人気が集まり、初期の頃の車種から改良がますます進んでいました。

また正直、普通車よりも大型のキャラバンの運転に、若い時と違っておっくうさを感じるようになっていました。特に車庫入れは苦手意識が強まりました。物の本によると、これは老化の兆候とありました。その点、軽自動車は車庫入れも簡単、気軽に運転でき、妻と二人なら大型車は不要です。それでも前述したように、キャラバンを後5年くらいは、乗り切って廃車にしようとのイメージを持っていました。

ところが今年三月、18年前キャラバンを購入したビルダー店にふらっと立ち寄りました。展示されている軽キャンパーを、見るだけ見てみようとの気持ちからでした(潜在意識では買換えを思っていたのです)。買うか買わないか、お金の問題もあります。これも心情の変化です。現在の自分にとって価値のある物であれば、お金は貯めておくだけではなく使うことに意義があるのではと、考えるようになっていました。   ~次回に続く~ 


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車の買換え(その1)

2023年08月19日 06時31分22秒 | Weblog
このブログ上には何回も登場しましたが、私はキャンピングカー(以降CC)を所有しています。日産のバン車、「キャラバン」を改造したものです。CCの専門用語で、これをバンコン車と呼びます。トヨタの「ハイエース」もこのバンコンとして多く使われます。これらのベース車を購入して、内部を改装しCCを造り販売しているところをビルダーといいます。ビルダーが提供する、もう一つのタイプがキャブコン車です。

あらためてバンコンとは、このように主に商用のバンをベースに車内にCCとしての機能性を詰め込んだタイプです。外観はほとんど変わりませんが、車内には座席やダイニングテーブル、これらをレイアウト変更して展開するベッド、キッチンなど搭載することができます。バンをベースにしているため一般的な乗用車よりは大きいですが、CCとしては小型の部類です。

一方キャブコンとは、主に小型トラックの荷台に専用のシェル(居住スペース)を架装し、家のような空間を備えたタイプです。内部は広々としており、4人以上で利用しても窮屈なく使える点がメリットです。常設ベッドを備えており、総合的な快適さはバンコンを上回ると言えます。運転席部分と居住スペースが行き来でき、荷物を収納するスペースが多いことも特徴です。

バンコンかキャブコンかを選ぶ場合、上記を踏まえて以下の4つのポイントになります。利用人数の違い、居住性の違い、走行性能の違い、価格の違い、です。今から18年前になりますが、私もこの選択を経てバンコンを買うことになりました。

利用人数の違い。バンコンの方が利用可能人数は少なく、キャブコンのほうが多くなります。そのため、少人数で使うことが多いならバンコン、大人数で賑やかに使いたいならキャブコンが適しています。居住性の違い。キャブコンは高さが十分に確保され、大人の男性でも立って歩け、複数人が一緒に過ごしても不便はありません。バンコンはバンのスペースをそのまま活用しているためキャブコンほどの広さはありませんが、限られたスペースを有効活用できるように工夫されています。

走行性能の違い。バンコンは商用で使用されるバン車のため、多くの荷物を安全に運ぶよう丈夫に設計されており、走行性能も申し分ありません。キャブコンは重量のある専用のシェルを架装して、快適な居住スペースのために高さが生まれている一方、ブレーキやカーブに弱いという難点があります。価格の違い。言うまでもなく装備の充実度合いの分、バンコンよりもキャブコンのほうが価格は高くなる傾向にあります。

CCには軽自動車をベースにした軽キャンパー、ヘッド車で牽引するキャンピングトレーラーなどもあり、選択肢はさまざまです。バンコンやキャブコンにしても、一概にどちらが良いと言えるわけではなく、先ずは快適なCCライフを楽しむために、また普段のライフスタイルや使い方によっても適したタイプが変わります。

私の場合、月に1回くらい家族でキャンプへ行ければ、自家用車としても使いたい。これは、バンコンの方が適していました。CCを自家用車としても使う場合は、キャブコンだと大き過ぎて不便です。立体を始め入れない駐車場が多く、街中では悪目立ちしてしまいます。時にはホテルも使い旅を楽しむ。このような場合もバンコンの方が最適です。キャブコンならホテルに泊まる必要もないのですが、装備が充実し過ぎていると私には思えました。

当時子供たちも一緒に行動することが多く、当たりを付けていたビルダーの車種は、簡易ベッドも含めると家族5人寝ることができました。標準仕様は、運転席とセカンドシートの間に折りたたみ式のテーブルがセットできます。しかし、運転席側は回転でもしない限り後ろと対座が不可能です。そこで、運転席の背もたれを前に倒し、席を目一杯前に寄せれば後ろは空間ができ、そこに特注のマットを埋めれば対座が可能となりました。なによりドライブ好きの私にとって、馬力がある商用バン車は魅力でした。そのようなオプションも付けてもらい、念願のCCの購入に至りました。  

それからキャラバンのバンコンを愛用してきました。18年前はまだCCブームなどない時代でした。そして今年3月、買い替えを決意しました。   ~次回に続く~




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高齢者運転(その3)

2023年08月12日 06時33分56秒 | Weblog
2019年4月豊島区東池袋四丁目で、交通事故が起きました。乗用車を運転していた高齢者(当時87歳)が、車を暴走させ交差点に進入。歩行者・自転車らを次々にはね、計11人を死傷させました(母子2人が死亡、同乗の高齢者の妻を含む9人が負傷)。加害者である高齢者自身も負傷し入院しましたが、退院後に過失運転致死傷容疑で書類送検・在宅起訴されます。

東京地方裁判所における刑事裁判で、被告人および彼の弁護人は「車に電子系統の異常が起き、ブレーキが効かなくなった」として無罪を主張しましたが、検察官はその主張を否定し、「事故の原因は、被告人がブレーキとアクセルを踏み間違えたことだ」として、禁錮7年を求刑。2021年9月、東京地裁は検察側の主張(被告人による過失)を認め、禁錮5年の実刑判決を言い渡し、弁護側・検察側とも控訴せず判決は同月に確定しました。

この事故は高齢ドライバーの事故対策に対する社会の関心を高めるきっかけとなります。また高齢者の運転免許証の自主返納が増加した要因にもなります。更に本事故などを契機に、高齢ドライバーの事故対策に関する議論や法整備も進められました。まさに私が今回高齢者運転講習を受けることになった、法令改定もその流れといっても過言ではありません。

しかし、高齢者の運転=危険と決めつけていいのでしょうか。大きく報道されたマスコミの影響もあり、SNSでも頻繁に取り上げられ、社会問題にまで発展した感があります。高齢になり、運転する必要が無くなった人や自信が無くなった人であれば、免許証の自主返納は妥当です。私自身運転は日常であり運転への過信は排除し、まだ続けたいと思っています。

高齢者について独特な見解を示し多くの本を出版している、精神科医の和田秀樹さんという方がいます。氏が訴えている、「本当に危険なのは高齢者の運転なのか」「うっかり免許返納をしないほうがいい」との主張に、私はとても共感しています。「高齢者が特に事故を起こしやすいというデータはなく、免許を返納させることは老いを一気に加速させ、生きる楽しみも奪ってしまうことになる」と強調します。以下、和田氏の主張です。

高齢者の運転は危険だというイメージがあります。暴走や逆走、たしかに不自然で認知症が原因だと思われてしまいます。でも私は、こういった普段はしないような不自然な事故の原因のほとんどが、薬による意識障害ではないかと考えています。というのは、こういう事故を起こした人は日頃は暴走や逆走をしていないからです。

高齢になると複数の薬を常用している人が多く、代謝も落ちていますから副作用が出やすくなります。低血圧や低血糖、低ナトリウム血症などになると意識障害も起こしやすくなり、事故を起こしたドライバーがその時の状況を「よく覚えていない」と言うことがありますが、これも認知症より意識障害を疑っていい証言でしょう。

そもそも高齢になれば事故を起こす確率が高くなるというデータなどありません。警察庁が発表する交通事故状況によれば、原付以上の免許を持っている人口10万人当たりの年齢層別事故件数で一番多いのは16歳から19歳の年齢層でおよそ1500件、次いで20歳から24歳が876件です。高齢者はといえば、70代で500件前後、80代前半でも604件です。その他の年齢層の30代から60代が概ね450件前後ですから高齢者が特別、事故率が高いとは言えません。

ブレーキとアクセルの踏み間違いは、慌てたりうっかりしたりした時には若い人でも起こります。事実、ペダルの踏み間違いが原因の事故はどの年代でも起きていて、しかもすべての事故に占める割合は1%程度です。つまり高齢者に免許返納を求めるのは根拠がないのです。

そして一番見逃してならないのは、免許を返納することで高齢者が要介護になるリスクが高まるということです。筑波大などの研究チームは、運転をやめた高齢者は運転を続けた高齢者に比べて6年後には要介護と認定される人が約2.2倍になるという調査結果をまとめています。運転ができなくなることで家に閉じこもりがちの生活になり、運動機能も脳機能も衰えてしまったからです。

自発的な免許返納は良識的な判断のように思われがちですが、実際には老いを加速させ、生きる楽しみを高齢者から奪ってしまいます。運転を止めることで外出の機会が減り、人と会ったり話したりすることも減り、活動量も落ちてしまいます。運転は、様々な機能維持や、楽しみなどの意欲の継続に繋がっているのです。免許返納は、それを全て自分から手放すことになりかねないのです。

以上が和田氏の見解ですが、人によって受け止め方は違うかもしれません。しかしながら、一旦返納した免許の再取得は高齢であればあるほど困難です。後で後悔しても手遅れです。運転は生活の一部であり、認知症でない限り運転をしたい私に取って、そして老いないためにも、免許の更新を出来る限り続けたい根拠はここにあります。
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高齢者運転(その2)

2023年08月05日 04時33分36秒 | Weblog
我々のグループは実車指導が終了し、座学及び運転適性検査に移りました。座学は分厚い教本の数ページだけで終わり、運転適性(視力・視野)検査がメインでした。教本の最後に付表として標識・標示(200個以上)が載っていましたが、教官は「大事な4~5個だけでも、確実に再確認して帰って」と言われました。難しいことを言わず、高齢者は何よりも安全運転を実行して欲しいとの意図なのでしょう。 

教本の中に「加齢が及ぼす運転への影響」の項目がありました。その中の“1.安全運転を続けるために”にはこうあります。自分では安全運転に心掛けているつもりでも、客観的に見るとそうとはいえない場面がある。その原因としては、注意力・集中力の低下、柔軟かつ瞬間的な判断力の低下、過去の経験にとらわれ過ぎる。高齢者講習の指導員による運転能力の評価を正当でないと感じているとしたら、そこに過信が潜んでいるのかもしれない。「自信と過信は紙一重」である。

次に“2.高齢者の心身機能の変化”、特に視覚機能の低下ではこう書かれています。静止した状態で静止した物を見るときの視力を「静止視力」といい、加齢による老眼で近くの物が見えにくくなり、個人差はあるが60歳以降ではさほど進行しなくなる。遠くを見る車の運転では大きな障害にはならない。手元の計器類が見えにくくなるが、遠近両用の眼鏡を活用し解消することができる。一方、動きながら物を見たり動いている物を見たりする場合の「動体視力」は年齢とともに急速に低下する。これは眼鏡などによって矯正できないため、速度を落としたり長時間の運転を控えたり、運転方法によって補う工夫が必要となる。

運転適性検査に移りました。静止視力、動体視力、夜間視力、視野角度の測定をしてもらいました。測定結果は、静止視力は0.8(両眼)、動体視力0.2、夜間視力4秒、視野角度155度でした。因みに70歳代の平均値は、動体視力0.1、夜間視力10秒、視野角度150度だそうで、私の結果はいずれも若干平均よりも上回っていました。「自信と過信は紙一重」を念頭に置かなくてはなりません。

実車指導を受けていた別のグループも戻ってきて、講習もそろそろ終わりとなります。一人一人に千葉県公安委員会が発行する「高齢者講習終了証明書」が付与されました。今回は試験ではないので、受講すれば必ず終了証明書が交付されます。教官から、視力・視野測定結果票の裏にこう書いて下さいといわれました。①確認、②速度、③思いやり。高齢者の運転では、目視確認をして、速度は控えて、思いやりの心を大切に、とのことです。最後に、「皆さん、どうか夢を持って生きて下さい」「そしてできる限り運転を続けて下さい」との発言がありました。

このような高齢者運転講習が終わりました。実車指導を受けた特に三人は、ライバル意識も少しあり、不思議なチームな連帯感もありました。教習コース上で、教官に何回もブレーキを踏まれ、車を停められてダメ出しれていた人は、老人力でしょうか、本人はさほど気にしてない様子でした。私としては、同年輩はこのような運転をするのだとの認識も持てました。

幸い私は眼鏡をかけていません。しかし若い頃から比べると確実に視力は落ちています。眼鏡をかけたとしても視力が補正され、認知症の心配が無ければ運転を継続することは可能です。高齢者の免許証の自主返納がこのところ話題となっています。世間の風潮としては、これを促す傾向にあります。教習所の教官がいった、「できる限り運転を続けて下さい」との言葉が印象に残りました。

運転免許証の自主返納について、見方を変えて是非を考え、次回このテーマを終わりたいと思います。  ~次回に続く~ 
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