梶哲日記

鉄鋼流通業会長の日々

良心の引っ掛かり

2014年01月25日 06時35分40秒 | Weblog
WOWOWで映画『フライト』を観ました。サブタイトルは「英雄か犯罪者か」、日本では去年3月に公開されて、主演はデンゼル・ワシントンです。何気なしに観始めましたが、次の展開が気になって、2時間以上テレビの前で釘付になりました。

悪天候の中1時間程のフライトで飛び立った航空機が、制御不能となり突然急降下を始めます。機長は巧みな手腕によって、機を背面飛行させ速度を落とし、その後地上への胴体着陸試みた結果、乗客・乗員102名の内96名が生還を果たしました。

「奇跡のパイロット」として一躍時の人となります。ところが機長の血液からアルコールが検出され、事故調査委員会は当然過失致死罪の疑いをかけます。実は彼はアルコール依存症で、更に麻薬の常習者だったのです。過失致死になれば終身刑、そして彼は次第に窮地に立たされます。

10人のパイロットにシミュレートさせても全乗客が死亡した検証をもって、彼の弁護士はアル中の実態を知りながら、必死に擁護をします。あの着陸を出来たのは自分だけだったと、事故は機体の故障であってアル中や麻薬のせいではないと、彼はその依存症の事実を隠そうと嘘をつき始めます。

一旦はアルコールを絶つ決心をしますが、恐ろしい常習性は治らず、元に戻ります。生身の人間性と感情の葛藤がリアルに表現されている、この映画の面白さでした。人生においてお酒を否定しない私にとっても、身につまされるものがありました。

再度の禁酒に成功します。あろうことか前日また酒に溺れてしまう彼でしたが、ぎりぎりまで手段を講じ、その日の事故公聴会は彼の有利な方向へと進むはずでした。しかしある質問に、自分の良心が引っ掛かって、全ての信実を口にして、そして刑務所へ。

終身刑は免れた彼は、仲間の囚人に向かって語りかけます。「終わった、それで終わった。まるで生涯嘘つきだった。だか、それ以上嘘をつけなかった」「多くのもの失ったが当然だ。俺を救おうとした別れた妻や息子に謝りたい。だが酒は絶った。それを神に感謝したい」と。

嘘で固めた彼は自由ではなかった。大きなものを失って初めて自由になった。人間の過ちを何処で直すかですが、良心の引っ掛かりを大切にしたいと感じました。映画でのその良心の引っ掛かりについては、その映画を観て頂くしかありません。
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人との縁

2014年01月18日 12時58分35秒 | Weblog
人間は生きて行く場面で、人に出逢い、そしてその人との縁が生じるものです。その縁は、一過性で終わるものもあれば、長く継続して行くものもあり、深い縁もあれば、またそうでもない縁もあり、まちまちです。

具体的に言えば、親族、学校、仕事、勉強会、何かのサークルや団体、等々の中からその縁は発生します。毎年正月に交わされる年賀状などは、逢う頻度の多少にかかわらず、その縁を互いに確認するものなのかもしれません。

 
今迄を振り返ってみますと、私はその人の縁に、随分助けられました。商売の取引上でも、経営的な判断や決断においても、人間関係や自分の生き方についても、出逢った方から貴重な助言や示唆を頂戴し、また実際にその方の力をお借りした事もありました。

この様に縁に救われていながらも、私は過去、縁を切ったことや縁を意識的に、遠ざけたこともありました。その後「縁を自ら切ってはならない」、という教えに出合いました。一方この教えの裏には、「縁を切って去って行く人は追うな」、との解釈もあるようです。

 
最近、私は或る人から縁を切られました。詳細は敢えて省略しまが、核心だけを話します。確かに、互いの主張の食い違いがありました。しかし最後は、捨て台詞的に「今後あなたとは逢うことも話し合うことも無いだろう」と、一方的にその方から言われました。

ここで私が伝えたいのは、どちらが正しいとか間違いだとか判断を委ねたいからではありません。その内容は、私の書き方によっては事実を歪めてしまうからです。

縁を切られる立場になって、切り捨てる側の心境や心理が、分かったような気がしました。そこにあるのは、切り捨てる側の自分勝手な清算や、あるいはリベンジ心ではないかと言うことです。特に捨て台詞は、腹いせや復讐に通じるものがありますが、本人は気が付いていないのでしょう。

仮に意見が食い違ったら、時間を掛けてでも、とことん話し合うことも必要です。例えそれが喧嘩になったとしても、互いの更なる理解に繋がるのであれば、逆に自分の修正材料になるのであれば、喧嘩も時として必要悪なのかもしれません。

しかし少なくとも一方が離れて行く限り、そのアプローチは閉ざされます。またそれ以上追うことは、余計なお節介になりそうです。
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年頭のつかの間

2014年01月11日 12時27分20秒 | Weblog

浦安市には浦安三社といって、豊受神社、清龍神社、稲荷神社、と三つの神社があります。その一つ清龍神社に、会社で新年の参拝に行き始めて、今年で三年目になります。

浦安三社の中で清瀧神社に参拝に行くのは、わが社が存在する浦安市千鳥町が、その神社の氏子地域になっているからです。御祭神は大綿積神(おおわたつみのみこと)であり、海の語源がこのワタとのことですので、この神社は元々海の神を祭っているところです。

昔から浦安は漁業で栄えた町です。鉄鋼通り、港、舞浜の地名も50年程前は全て海で、そこが漁場でもありました。今や陸地となったその地域が、長く海路安全や漁業繁栄を祈願してきた神社の、氏子地域となった事には納得がいきます。

前置きが長くなりましたが、9日の朝一番に清瀧神社に、総務経理部長、営業部長と次長、私と、四人で参拝に行ってきました。境内も神社自体もこぢんまりとしていますが、今から800年前の創建とのことで歴史を感じます。

境内で手水の義を終えて社務所に入りました。控え室に入ると、壁に貼ってある、平成26年の『厄年表』と『方位除け早見表』が目に飛び込んできました。厄年表を見ると、前厄も本厄も後厄も、四人の中にはいません。

方位除けを見ると、誰が何とは言いませんがそれぞれ、強運(拡大・拡張の年)、福運(信用ができる年)、静観(八方塞がりの年)、困難(苦労・悩みの多い年)となっていました。方位が、良いのが二人、悪いのが二人です。でも、足して二で割ればイーブンです。

修袚(しゅばつ)、祝詞奏上(のりとそうじょう)、御鈴振りの義(みすずふりのぎ)、玉串奉奠(たまぐしほうてん)、神酒拝戴(しんしゅはいたい)、と祈願祭は全て無事に終わりました。直ぐに霊験あらたかな雰囲気に包まれるのですから、不思議です。

その後近くのファミレスで、皆とお茶をしました。これも恒例となりました。年初めから、皆は挨拶回りにと慌ただしく動き回ります。幹部四人が揃って、新年早々のつかの間、何気ない会話を交わすのも貴重です。

参拝をしたからと言って、無事息災を保証してもらおうとかいう気持ちは、私にはあまりありません。常に何事にも、感謝の気持ちが持てればと願っています。
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心と体のバランス

2014年01月04日 13時09分49秒 | Weblog
主に日本の近世から現代の歴史の勉強をしている会で、私が知り合った方で、療術師で開業されている70歳半ばの方がおります。一年前に転倒して怪我をされ外科病院に行ったところ、たまたま色々な検査をした結果、前立腺癌が発見されました。

しかしその癌は、ステージ5段階で、既に重度4.5のレベルだったとのこと。ご自身も体や健康の事は長年研究されてきたので、西洋医学には頼らず、細かい療法や課程は省略しますが、ほぼ癌を克服されました。その方が、昨年末の会に一年振りに顔を出されました。

その時ご自身の体験談をされました。医者から癌の告知をされて、自分の死は前から覚悟はしていたものの、やはり相当に落ち込んだそうです。その様な中で、癌についての本を読み漁って、そして出逢った本を二冊紹介されました。

川島朗著、『医者にはがんは治せない』。近藤誠著、『「がんもどき」で早死にする人、「本物のがん」で長生きする人』。著者は、お二人とも先端で癌医療に長年対峙してきた、れっきとした医者です。私も買い求め読んでみました。

「癌は手術では治らないが、心の持ち方を変えることで治る」。「今までの色々な生活様式を変える、間違った心の持ち方を修正する為の、癌は予告である」。「心と体は密接に関係している」。医療の知識が無い私には、全ての正誤の判断はつきませんが、二冊を要約するとこの様な内容になります。

話しはちょっと変わります。一般企業にとって、今年は特に長いお正月休みとなりました。仕事はオフで家族と過ごす時間も多く、田舎がある人は帰省をする、この機会に旅行をする、自分のしたいことをする、各々の方がそれぞれの正月休みを過ごされたことと思います。

海外においては、日本のように正月に特別な思いを抱く国ばかりではありません。日本においても、年末と年始の様相は、昔とは随分変わりました。この特殊性は薄らいだとしても、一年単位で反省をして、一年単位の抱負を掲げる人は、日本人にはまだまだ多いのではないでしょうか。

健康であってこそ人生。私としては、この一年は、心と体のバランスを保つことを心掛けます。皆様にとって、今年一年が素晴らしい年となりますことを祈念致します。
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