梶哲日記

鉄鋼流通業会長の日々

近況/職場の変化(その6)

2024年08月24日 04時43分32秒 | Weblog
今回は、GHでの仕事で食事の提供の話しとなります。基本的には夜勤者が食事を作り、当直に入りその日の夕食そして翌日の朝食を、利用者に提供することになります。GHのキッチンには、流し台もガスレンジも冷蔵庫も電子レンジなどもありますので、家庭の台所と全く遜色はありません。

当直シフトについて、触れておきます。現在、当直する職員は4人います。週三日当直出来る者が2人、週一日当直する者が2人です。週三日当直出来る2人の内、1人が私となります。もう1人は看護師の方(女性で60歳代)です。彼女の当直は、金曜日から日曜日までです。私の当直はその後に、二日連続して入り、一日休み、また一日入り、これで週三回となります。当直要員4人は全て、デイ介護施設に関わっていた人たちです。

食事の話しに戻りますが、施設の代表の想いは前にも伝えましたが、規律ある中にもアットホームなGHを目指しており、食事も家庭的なものを提供したいとのことでした。幸いこのGHが、我が家から歩いて5分程の場所にあり、食事について妻の手を借りたいと申し出たところ快諾を得ました。妻がパートとしてGHに関わることになり、思わぬ展開となりました。

私は去年の五月からデイ介護の仕事をし出して、昼からの通勤(片道徒歩計30分)は、去年の夏の暑さは正直体にこたえました。利用者送迎の車の運転も、老化による視力や判断力の低下を考えると、この先何年も続けられる保障はありません。しかしこの仕事は、体力・気力が続く限りしたいと思っていました。そこで代表に、新設するGHのスタッフを現施設の職員の中から採用するなら、エントリーしたいと申し入れをしていました。結果、私と、また妻までがこのGHで働くことになりました。

妻は結婚してから、梶哲商店で経理を一時期手伝っていましたが、子供が産まれてから育児や家事に追われ、40年近く外での仕事はしてきませんでした。どちらかというと外で働くのは苦手のようです。40年の空白もあり、今さら勤務することなど考えていなかったようで、また障害者の方に接するのも初めて、最後は私に説得される形で務めが始まります。

妻の勤務時間は午後4時30分から6時30までの二時間です。スーパーマーケットは自宅の近く(裏手)にあり、GHは自宅の先に位置します。GHに寄ってタイムカードを押して、スーパーに戻ると時間の無駄にもなり、慣れた自宅の台所で調理したい希望もありました。事前に買い物をして、自宅で料理して、それをGHに持ち込み、お世話する。そのような方法で、代表には二時間の出勤扱いを認めてもらいました。

妻は、子供たちが独立し家庭を持ってからは、毎日の食事に悩むことはなくなりました。昔よく作っていた献立も、最近は忘れてしまったといいます。それを思い出すのも今回はいいチャンスです。料理は、食材の調達(古い物の管理)から始まって、盛り付けまで、頭をフル回転させます。他人の食事を作ることは、認知症の予防には、とてもよいのではないでしょうか(人のことばかりいえませんが)。

食費は利用者から定額を月単位で徴収します。始まったばかりですが、その徴収額では、まかなえていないのが現状です。実際掛かった食費から徴収した額を引いた不足分は、GHの負担となります。利用者さんから追加徴収するのか、掛かる食材費を見直しするのか、1~2カ月やってみてからの調整となりそうです。利用者がまだ二人ですので四人(定員)よりも割高になっていること、また当直職員4人が入れ替わるので食材管理(献立)が統一されてないことにも原因はあります。

妻との会話が増えました。GHの食事に関する献立や食材調達については、同じ職場で共同作業となります。前日の当直者が残した食材も、私たちの当直の間に使い切らなければ無駄になり、妻とのその打合せも欠かせません。GHの利用者には戸惑いもあった妻ですが、GさんTさんにも徐々に慣れてきたようです。妻が帰ってから翌日まで、私の二人への関与が気になるようです。仕事が終わって朝自宅に戻っても、妻と私の会話はGHの話題が中心となりました。

私の介護職への転職から、この仕事に妻を巻き込んでしまいました。食事を作ることで、妻は障害者と向き合うことになりました。妻にとってみると、外で働こうなどとは思っていなかったところに、職場が向こうから、それも自宅のすぐ傍に近寄ってきたことになり、まだ戸惑いは消えていないのでしょう。   ~次回に続く~ 

 ある日の夕食
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近況/職場の変化(その5)

2024年08月17日 05時56分17秒 | Weblog
私のGHでの勤務は7月17日からスタートしました。夕方4時に入所して、翌朝9時30分に退所します。利用者が夕方デイ介護施設から戻り翌朝施設に送り出すまで、その間二人の利用者(今のところ二人)を一人で、GHで生活援助することになります。その私の夜勤は週3日です。

二人にはそれぞれ、デイ介護施設所属のサービス管理責任者が作成した「共同生活援助事業所/個別支援計画」があります。それに則って、GHで支援しなくてはなりません。例えば一人の利用者の個別支援計画での総合的方針は、「GHで生活する中で色々経験を積み、自分の事は自分で出来るようになる目標の達成を支援する」、となります。

さらにその支援計画の中には、長期目標と短期目標があります。長期目標は「部屋の整理整頓、掃除や洗濯などルーティーンとして行えるようになる」で、短期目標は「公共交通機関を利用したり自転車を使ったりして、通所施設に通えるようになる」です。あくまでも利用者や家族の生活のニーズ(目標)があり、それに対して介護職員が支援する形になります。

利用者の二人は、障害支援区分としては3(区分は1から6まであり数字が上がる程重い)の方です。支援区分3ではありますが、食事や入浴や排せつなどの介助は必要なく、一人での移動(歩行)も全く問題ありません。つまり身体障害ではなく、精神や知的障害の方です。部屋は6畳ほどの個室となり、施錠も出来ますのでプライベートは守られています。

従って私の仕事は、個別支援計画の遂行の他としては、食事の提供(これについては次回説明します)、日用品の調達・管理、トイレや風呂や共同スペース(食堂・キッチン)の掃除、となります。そして夜間の見回りです。23:00、2:00、5:00がその時間で、個室に施錠してあればマスターキーで開け、異常ないかを確認をします。この仕事がまさに夜勤です。

見回り以外夜は寝ていても問題はないのですが、どうしても睡眠を妨げる要因となります。利用者は2階に居て、私は1階です。夜間にトイレに行くのとまた違います。初回の夜勤で、2:00の見回りが終わってから、寝床が変わったせいもあり、横になっても中々眠れず、結局朝まで起きていました。起きていても、本を読んだりブログを書いたり他にすることはありますが、翌日身体にこたえます。徐々に慣らしていくしかないと思っています。

利用者は男性二人、一人が25歳のGさん、もう一人が39歳のTさんです。二人とは、デイ介護施設からですので、お付き合いは一年三カ月になります。気心知れているとはいえ、昼と夜とでは利用者の違う側面があり、GHがスタートして関係性の難しさを実感しました。デイ介護施設では複数の利用者の中でのGさんとTさんですが、GHではほぼ一対一の関係にあるといえます。生活に必要な課題をみつけ、利用者と深い関係を構築できる可能性があります。

そのGさんは、朝起きることにかなり難点があります。Tさんと違って、Gさんはこちらが声を掛けないとまず起きません。朝食の時間は決まっていますが、その時間は無視されます。当初私も何回か声を掛けましたが、起きないのである段階で諦めざる得ませんでした。デイ介護施設の迎えの車が9時過ぎに来ますが、食事もせずにそれまで寝ている状態です。車で来た職員二人に手伝ってもらって、ようやく起きて出掛けて行きます。

ある日の夕食後、Gさんとじっくり話し合いました。Gさん曰く、「自分は10~12時間寝ないと熟睡感が得られない」「朝起きれないことに自分でも悩んでいる」。そこで気付きます、Gさんは睡眠障害者なのであると。怠惰やわがままで朝起きないのではなく、つまり起きられない一種の病なのです。私の起こし方に何か問題があるのかの質問に、「何回もくどく言われると、かえって起きる気にならない」とのことでした。

そこで本人に起きられる時間を自己申告してもらう。朝食べたいもののリクエストを事前に聞いておく。などを話し合いました。食べたいものは卵が入ったみそ汁、申告時間は8時10分でした。果たしてその翌朝です。「8時10分です」「卵が入ったみそ汁できてます」と、寝ている彼に声を掛けました。それでも起きてこないので、諦めかけたその時、8時20分、一人で起きて下に降りてきました。感動でした。

今までの自分の方法ではなく、この歳で利用者から学ぶことがあります。Gさんには構音障害があります。普通では聞き取りづらく、内容が分からなければ分かったふりをしないで、50音表を使い意思疎通を図ります。件の前夜の話し合いも、一時間半に及びました。  ~次回に続く~

 GHの外観

 

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近況/職場の変化(その4)

2024年08月10日 06時17分41秒 | Weblog
今年の6月下旬の『グループホーム/福祉のピンハネ許すな』と題した、新聞記事です。真面目なGH関係者は、少なからず衝撃を受けたはずです。少し長くなりますが、GHの一つの実態でもあり全文を以下引用します。

 福祉の現場で、許しがたい不正だ。障害者グループホーム(GH)の運営会社「恵」(本社東京)が食材費やサービス報酬をごまかし、会社の利益にしていた、というのだ。愛知県などが調べた、その方法が悪質だ。利用者から集めた食材費の3分の1しかGHに配分せず、残りは本社に吸い上げていた。虚為の出勤簿でサービス報酬を水増し請求した。食材費の過大徴収は全国で3億円。水増し請求は県内だけで4億1千万円だ。
 同県と名古屋市が県内5GHについて、福祉の事業所としての指定を取り消した。厚生労働省は、組織的な不正として同社に連座制を適用し、全国のほかの99GHについて6年ごとの指定更新を認めない。事実上、退場を求める行政処分だが、無体なやり口をみればやむを得ないだろう。心配なのは約2千人の利用者への影響だ。不安の声は家族からも上がる。同社はもちろん、国や自治体も連携し住まいの確保に努めてほしい。
 同社がGHを始めたのは2018年。わずか数年で全国展開し、不正に手を染めた。県や市の調べに対し、「知識がなかった」「システムエラー」などと説明しているという。刑事責任を問われる可能性もある。返金や謝罪とともに、不正の経緯について説明する義務がある。
 利用者は知的、精神障害者が多い。かつてなら家庭で世話し続けるか、病院、大規模施設に長期入所することが多かった。しかし障害者にも人権がある。住む場所を選ぶ権利がある。日本でも約20年前から、地域移行の取り組みが本格化した。
 その有力な受け皿が、GHだ。この10年で倍増し、全国に1万4千カ所ある。株式会社の参入も許し、報酬加算などで政策誘導した結果だ。だが無法に金もうけの手段とするような業者まで参入させてはならなかった。GHが不正請求や虐待で行政処分を受ける例は他にも多発している。
 厚労省は自治体に3年に1回の実地指導を求めるが、実際は平均で10年に1回だという。自治体も人員を増やし、指導を強めてほしい。スタッフ研修を増やし、利用者の権利を守る人材を育てるのも方策だ。今回の事案も内部告発から発覚した。
 来年度から、各施設で専門家や近隣住民も含めた地域連携推進会議の開催も義務化される。定期的に外の目が入れば、適度な緊張感が生まれ、不正防止に役立つ。住民にとっても、一部に残る施設への偏見を減らすことにもなるはずだ。それも地域移行の意義である。

以上が、新聞の記事です。GHはサービス管理責任者以外は資格がいらず、未経験者でも開業のハードルは低いといわれています。実際に、飲食業、不動産業、コンサルト業、などの異業種からもGHに参入しています。オーナー自ら資格を持たなくても、運営が上手くいくかいかないかは別として、サービス管理責任者を雇い夜勤のスタッフ(管理者・世話人など)が揃えば開業は可能です。

GHへの他業種からの多くの参入は、「地域移行」国政策が商機になっているといわれています。地域移行とは、日本は障害のある人の暮らす場が施設に偏っているとの指摘があり、国は「脱施設」を進めてきました。2014年には、障害者が地域で暮らす権利などを定めた国連の障害者権利条約を批准しました。地域移行は、本人の選択と決定による社会参加がねらいとなります。

従来重度の知的・精神障害者は、隔離された病院や施設で暮らすことが多かったのです。国際社会の人権意識の高まりにも押され、障害者自立支援法が2006年に施行されます。生活の場を地域に移す施策が本格化しました。GHの利益率は、一般の中小企業や障害者サービス全体の平均より高く、こうした「追い風」を商機とみなして営利法人が続々と参入します。

しかし負の側面もあらわになりました。例えば、21年度に全国で1万1403カ所あったGHのうち、不正請求や虐待などを理由に行政処分を受けたのは18カ所です。今回の「恵」の事件は、障害者の住まいの急拡大の、その隙に起こったものです。同社に限らず、実績や経験のあまりない営利目的の事業者の参入は質の低下を招きます。それでも、GHは利用者の家族にとって最後の砦。多くの入居者や家族は、事件を起こした同じGHを利用し続けたいと希望しているとのことです。

私が勤務するGHは単に営利目的で開業したのではなく、従来の障害者のデイ介護を通し、利用者が共同生活しているGHの色々な問題点を解決したいとの想いで新設されました。定員4名のところ今は2名ですが、二人とも昼間はその施設に通っている方ですので、その利用者の昼・夜全てを包括していることになります。   ~次回に続く~
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近況/職場の変化(その3)

2024年08月03日 04時50分34秒 | Weblog
私が職場変えとなったGHに、入所したいと切望していた利用者の一人が、悲しい結末となってしまった、との前回の話の続きとなります。GHへの入所が叶わなかった利用者の方は、Oさん。Oさんは、突然意識不明になって倒れ、寝たきりのまま意識は戻らず、一週間後病院で亡くなられました。それは6月のこと、GHが7月に開設をする直前でした。彼には以前から脳内障害がありました。

私は去年デイ施設で働き出して、気になる利用者の一人がいました。吃音の障害があり、とても早口で、最初の音や音節を繰り返し、殆んど聞き取れません。書くことは普通にできるので、彼のノートを通じてコミュニケーションは図ることは可能でした。「しつこくすると、サタン(悪魔)に取りつかれ、天国に行けない」とかの、ネガティブなことを書いて何かを訴えます。一方、素直で従順な面もありました。その方がOさんでした。

施設では月一回、誕生日会(利用者と職員の誕生月の)が行われます。去年の7月はOさんの誕生日会。会の最後で主役達の写真を撮った時です。「マスクを外して笑って!」といわれたOさんの顔が、明るく最高の笑顔でした。マイナス思考の彼がこんな笑顔が作れる、感動でした。翌日から、会った時互いにマスクを外して笑おうとの約束をしました。

私は昼からの勤務、利用者の昼食が終わって休憩時間に皆さんが座っているフロアに顔を出します。Oさんとの笑いの挨拶が終わると、読んでもらいたいことが彼のノートに書いてあり、それを私が見ることが習慣となります。OさんはAKB48の大ファンで、会いたくてしかたないのですが、「悪いことをしたら、AKBに絶対会えない」とノートに書いてあります。このマイナスのすり込みは、お母さんの影響だと徐々に判明してきました。

Oさんは過去精神科病院に入っていていたこともあり、夜間自宅を抜け出て異性に声を掛け(誤解されて)警察沙汰になったこともあったそうです。そのような息子を憂慮して、強く叱ることや拘束してしまうことが積み重なってきたのでしょう。お母さんの指導は、スピリチュアルに拘る印象も受けました(私は直接お母さんに会ったことはありませんが彼を通し)。

職場の職員の中には、何回も同じことを繰り返すOさんの言動を見かねて「Oさん!その話は何度も聞いていますよ。もっと違った話をして下さい」と、仕事の効率を優先し、いさめる方もいます。私は彼の話を否定せず、聴くことを尊重していました。彼との意思疎通を深める一つではないかとの思いからです。しかし利用者を車で送って行く際、運転している私の隣の席でOさんが何度も話しかけてくる時は、「運転中は皆さんの安全第一なので話しかけることは、今は止めましょう」と、ズバリ言うこともありました。

そのようなOさんの両親は、新設のGHへの入所は、ある段階まで賛同していました。そしてOさんは入所をとても楽しみにしていました。自宅では、ある時間帯から彼の居る部屋(2階)から、下には降りてこないように指示されていたようです。両親からしたら、彼の身の保護のための手立てだったのかもしれません。それがいいのかよくないかの断定はつきませんが、束縛のない生活を彼はGHに求めたことは確かです。

ところが両親は、GHへは行かせないと断ってきました。理由は経済的な面だとのことです。当施設の代表も、自宅でもGHでも掛かる生活費は一緒なので、費用はあまり変わらないと何度も説明したそうですが、両親は聞き入れなかったようです。それを知らされたOさんの落ち込み様は、尋常ではありませんでした。そのショックと亡くなられた因果関係はないでしょうが、私としては彼のような人こそ、家庭から離れGHで自立を目指して欲しかったと、無念さと悔しさを暫くは抑えられませんでした。

何故か最近彼は80歳迄生きたいというようになりました。それを伝える笑顔は天からの恵みのようでした。突然倒れた彼の病床に、奇跡を信じて施設全員で千羽鶴を折って届けました。皆の思いが届いたのか、眠るように息を引き取ったそうです。享年40歳。デイ施設に行くことを毎日楽しみにしていたと、皆さんに感謝していますと、後日お母様から連絡が入りました。

効率を追求したくなる仕事でもある介護職の本来の責務って何でしょう。家族の擁護にも頼らざるを得ない利用者の自立ってどういうことでしょう。我々に色々問題提起をし、後は考えてと、Oさんは自由な世界に旅立っていったように思えてなりません。私にとってはそのような想いが入り交じったGHでもあります。そこで心機一転、働くことになりました。   ~次回に続く~
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近況/職場の変化(その2)

2024年07月27日 04時38分20秒 | Weblog
障害者GH(グループホーム)とは、一言で表すとすれば、「障害者向けの支援付シェアハウス」です。日本の社会福祉には、高齢者福祉(介護保険法による)、児童福祉(児童福祉法による)、障害者福祉(障害者総合支援法による)があります。そのサービスは、自宅での支援、事業所での支援、住まいの支援となります。

あらためて障害者GHは、障害者福祉の中の住まいの支援「共同生活援助」となります。一般的にGHというと、高齢者向けの認知症GHがイメージされがちですが、これとは法律も財源も対象者も異なります。この障害者GHは、様々な方が利用しています。例えば次のような方々、一人暮らしを目指して生活のトレーニングをしたい方、家族がいなくなり一人きりになってしまった方、病院を退院して行き先がない方、家族も障害を持っていて家族での生活が困難な方、等々です。

利用者(入居者)は、費用負担をほとんどせずに、支援を受けながら生活できる。事業者(運営者)は、利用者からサービス料を徴収しなくても、税金を財源とした給付報酬(売上)が得られる。これが両者のメリットです。使用できる物件には、一般的な戸建て住宅、アパート、マンションなど。スタッフが常駐したり、定期的に訪れたりして必要な支援を行います。利用者は、日中は仕事や日中活動サービスに出かけ、夕方に戻りまた翌朝に出掛けます。まさに家の代わり、シェアハウスのような場所です。

因みに、平成23年から令和元年までの障害者の推移です。身体障害者数386万人→436万人、知的障害者数62万人→108万人、精神障害者数287万人→419万人。この数字が示すように、平成28年に約78万人だった障害福祉サービス全体の利用者数は、令和2年には約90万人となり、わずか4年で約12万人も増加しています。ここ数年障害者GHが急増していますが、全国的にはまだ足りていないのが現状です。

このような障害者GHを、私が一年二ヶ月働いた施設の代表が新設しました。そこのデイサービスの施設に従来のGHから通所する利用者は、必ずしも恵まれているGHに居るわけではなく、代表は以前から肌で感じていました。食事は宅配の冷凍食品を解凍しただけで、職員は利用者と一緒に食卓にも着かない。利用者側にも問題はあるかもしれませんが、職員と会話がなく利用者は部屋に閉じこもってしまうだけ。代表は施設に長年通所する、今の利用者に、「アットホームで且つ規律が保てるGHを提供できないか」との想いがつのっていました。

今年の初めです。毎月一回職員が集まって会議を行いますが、その席上で代表より、「皆さんの近くで空き家物件があったら教えて下さい」との話がありました。私自身普段空き家など関心がなく、自宅の近くで通り過ごしていた所に、何と空き家らしき一軒(廃屋に近い)がありました。代表に伝えると、市川市役所に掛け合い、その物件より有利な戸建て住宅を紹介されました(実際に動いてくれるのは県から委託を受けた支援ワーカー)。

障害者GHが運営されていた所で、事情があって今年3月で出て行くとの好物件でした。既にGHとしての設備は全て整っているので、居抜きで使えます。話しはとんとん拍子で進み、不動産の家主さんとスムーズに賃貸契約も結べ、行政への申請のやり取りは時間を要しましたが、めでたく7月開所にこぎ着けました。事業所の審査は、煩雑で厳しいものがありますが、自治体の財源(税金)を給付する形なので当然の要請となります。

その新設のGH職員(世話人)は、デイサービスをしている施設の職員から募ることになったので、私は手を挙げました。その理由は、新設のGHが私の自宅から歩いて5~6分で。従来の施設に通うより(片道通勤時間約45分)、よっぽど近かったからに他なりません。結局、私はGHの管理責任者として任命されることになりました。経験が浅い私を、代表が指名してくれたことはとても感謝しています。

具体的な勤務内容です。昼間利用者はいませんので、夕方4時に入り翌朝9時までの、いわゆる宿直です。世話人1名で4名の利用者(現在2名)の援助をします。他に世話人がいますので、私は週3日の当直(週労40時間)となります。身体障害者(知的・精神障害者のみ)はいませんので、夜間のトイレなどの介助はなく、深夜~明方3回の見回りはありますが、何もなければ普通に寝ることはできます。しかし朝夕の食事の提供や施設の掃除そして生活支援も行います。一人なのでデイサービスと違い自由度はありますが、逆に責任の重さを感ずるようになりました。

このように、新たな職場での私の勤務となりました。実はもう一人GHを希望していた利用者の方がいましが、入所も叶わず、悲しい結末となってしまいました。   ~次回に続く~

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