私が社会人になった一年目ですから、今からもう35年も前の話です。私は大学の4年間は山登りのクラブ(ワンダーフォーゲル部)に所属していましたので、その同期の仲間を中心に、山梨県北部にある渓谷がとても綺麗な、その沢登りを企画しました。
「沢登り」とは普通の登山道を行く形態の登山では無く、基本的には沢の水が流れているところを渡渉しながら、あるいは滝がある岩場をよじ登りながら頂上を極めるものですから、それなりの経験と技術は必要となります。またその沢の難易度によっては、ザイルワークも要求されます。
当時会社は、土曜日出勤が当たり前の時代でした。山中で一泊する行程を組みましたので、参加者には土曜の休みを取ってもらうことで、或る週末の土日に決めました。大学のクラブ以外の参加者もあり、結局10名ほどが集まりました。山登りは殆ど初めてと言う男性や、山登りの経験者はあるが沢登りは初めてと言う女性もいました。
さて、その当日は、朝から肌寒い雨が降りしきっていました。早朝、中央本線の塩山駅で列車を降り、そこからバスで一時間以上掛かって麓のドライブインでもある御茶屋さんに到着しました。そこからしばらく林道を歩いて行ったところが、沢登り開始の場所でした。
その直前、心なしか雨足が強くなって来ました。その御茶屋さんに入り、しばし様子を見ることとなりました。折角休みを取ってここまで来たのだから行ってみたい気持ちと、この雨の中果たして無事に行けるのかの不安が、その時皆の胸中では交錯していたことは確かです。しかしこの二時間程の様子見が、この躊躇が、その後の出来事の敗因となるとは誰も予期は出来なかったのです。
一人で山に行く単独行以外は、多くなればなる程メンバー編成をして、リーダーやサブリーダー、そしてその他メンバーと、役割を明確にするのが常識です。当然経験や知識の豊富な者がリーダーやサブとなり、不慣れな人をリードし、万一の遭難に対処する為にもこの役割を決めることは重要です。
そのパーティーのリーダーは、現役時代に沢登りの経験も豊かで、私とも何回も一緒に山行を重ねたクラブの同期がなり、私はサブリーダーでした。 《次回続く》
「沢登り」とは普通の登山道を行く形態の登山では無く、基本的には沢の水が流れているところを渡渉しながら、あるいは滝がある岩場をよじ登りながら頂上を極めるものですから、それなりの経験と技術は必要となります。またその沢の難易度によっては、ザイルワークも要求されます。
当時会社は、土曜日出勤が当たり前の時代でした。山中で一泊する行程を組みましたので、参加者には土曜の休みを取ってもらうことで、或る週末の土日に決めました。大学のクラブ以外の参加者もあり、結局10名ほどが集まりました。山登りは殆ど初めてと言う男性や、山登りの経験者はあるが沢登りは初めてと言う女性もいました。
さて、その当日は、朝から肌寒い雨が降りしきっていました。早朝、中央本線の塩山駅で列車を降り、そこからバスで一時間以上掛かって麓のドライブインでもある御茶屋さんに到着しました。そこからしばらく林道を歩いて行ったところが、沢登り開始の場所でした。
その直前、心なしか雨足が強くなって来ました。その御茶屋さんに入り、しばし様子を見ることとなりました。折角休みを取ってここまで来たのだから行ってみたい気持ちと、この雨の中果たして無事に行けるのかの不安が、その時皆の胸中では交錯していたことは確かです。しかしこの二時間程の様子見が、この躊躇が、その後の出来事の敗因となるとは誰も予期は出来なかったのです。
一人で山に行く単独行以外は、多くなればなる程メンバー編成をして、リーダーやサブリーダー、そしてその他メンバーと、役割を明確にするのが常識です。当然経験や知識の豊富な者がリーダーやサブとなり、不慣れな人をリードし、万一の遭難に対処する為にもこの役割を決めることは重要です。
そのパーティーのリーダーは、現役時代に沢登りの経験も豊かで、私とも何回も一緒に山行を重ねたクラブの同期がなり、私はサブリーダーでした。 《次回続く》