梶哲日記

鉄鋼流通業会長の日々

日常と非日常

2016年12月31日 11時10分32秒 | Weblog
今年は、26日から始まる週が仕事修めとなります。その一日を使って、仕入先の鉄鋼メーカーと窓口商社に、わが社の常務と一緒に年末の挨拶に伺いました。回る先はアポを取らずに訪問し、担当者が不在であれば名刺を置いて、よろしく伝えてもらうことが恒例となっています。

その日私は車で会社に出社せず、一軒目に回るメーカーに直に行って、その会社の受付で常務と待ち合わせしました。当然のことながら自宅から電車を乗り継いで目的地に向かいますが、普段車で通勤している私にとっては、これは慣れない行為です。

混雑している通勤電車に立ちっぱなしで乗ることは、少し苦痛を感じますが、車内の様子が色々観察出来て興味深いものがあります。その日乗り合わせた電車内で、女性が倒れてしまいました。目まいか何かでしょうか、直ぐ立ち上がって次の駅で自力で降りましたので事無きとなりました。こんなことも私にとっては非日常の世界です。

この年末の挨拶回りにしても、年始仕事始めに同じように新年の挨拶回りをしますが、年一回のことであり、これは普段の日常ではなく、特別である非日常です。それこそお正月も非日常であり、私達の生活は、日常と非日常が組み合わさっています。

話しは少し変りますが以前新聞に、コンビニのセブンイレブンが、何でその名がついているか今の若者は知らない人が増えたとの記事が載っていました。初期の頃は、朝の7時から夜の11時までしかオープンしていなかったら。それでも「空いてて良かった!」とコマーシャルにあったように、当時としては長時間営業が重宝がられました。

そのコンビニがアルバイト等の人手不足で24時間営業が困難になって、夜間の営業時間を短縮せざるを得ないとの状況が、その記事に併記されていました。これは外食産業でも、同じ現象が起きていることは言うまでもないことです。
 
年末に来て、宅配便の遅配が今問題となっています。ある宅配便会社の荷物問い合わせ窓口は、電話が繋がらない状況まで追い込まれているようです。インターネット販売の加速、慢性化しているドライバー不足、更に冬の道路事情が加われば当然の結末です。

と言っている私も先日デパートに注文したおせち料理は、大晦日に日にち指定をして届けてもらっています。コンビニも空いているから真夜中に行く、宅急便も時間指定を受けてくれるから頼む、インターネット販売も買った物が直ぐ届けられるから注文する。

最初は特別のサービスだったものが、平常化して当たり前になってしまう現象の恐ろしさと、人間の尽きない欲望。非日常が日常になってしまった、その弊害が今起こってしまったのかもしれません。

昔に戻ることは不可能です。しかし便利な世界の裏には、無駄な費用の発生、夜間行動の人間の機能障害等は、確実に起こっている現象です。

昔の非日常は、もっとおおらかな世界であったように感じます。お正月だからおせち料理を食べるのではなく、本来の意味を考えてお正月を迎えたいと思います。皆様には、どうか良いお年をお迎え下さい!
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忘年会登山

2016年12月24日 09時46分25秒 | Weblog
年の瀬も押し迫った週末です。かねてより予定していた、大学の山のクラブの同期と忘年会を行いました。朝の6時30分の東海道線の普通車に乗る為、東京駅の10番線のホームが集合場所です。熱海で乗り換えて沼津に向かいます。地元静岡と愛知からの仲間も沼津で加わり、総勢10名。初日土曜日は登山、翌日曜日は三島市を散策する、一泊二日の忘年会です。

伊豆半島の付け根に沼津アルプスなるものがあります。天城山系から流れてくる狩野川が駿河湾に注がれる、少し手前南方に位置し、200~300mの山々が独立峰的に並びます。地元の愛好会がそれらの山道を整備して、そう名付けたものです。山稜まで登ると、北には富士山、眼下に駿河湾を見下ろせて、眺望が素晴らしいのが沼津アルプスです。

沼津駅から路線バスに乗って15分位で最初の山の登山口に着きます。街中から山を登る感じです。天気は上々。この時期ですが、歩いてから20分位で額に汗が。最初の香貫山からの富士山は抜群の眺め、目の前に大パノラマが広がります。


昔の仲間と山に入ると不思議な感覚になります。大学の現役時代にタイムスリップします。体力は勿論衰えましたが連帯感は全く変わりません。私の帰属する、一つの拠り所としてはこの山仲間であることを、つくづく実感します。

皆は40年前の私の足の古傷を気遣ってくれて途中で下山し、全山制覇は叶いませんでしたが、山中で食べたおでんは最高でした。いまだに本格的登山を続けている一人が、大鍋やコンロまで持参してくれて、熱々のおでんを食べることが出来ました。

下山して一般道を歩いて沼津の浜に出ます。食品関係の仕事をしている一人が、鮑とイベリコ豚を持って来てくれていましたのでステーキにして豪快に食べ、数名が持参したお酒を分け合って、駿河湾を目の前に燦々と注ぐ太陽の下、昼食のパート2。

 
その日の宿泊は、三島駅に近いビジネスホテル。最上階に天然温泉の大浴場がある、そんな風呂にもゆっくり入れる時間に着きました。夕食は、駿河湾で獲れた新鮮な魚と地酒が美味しい居酒屋で。皆さん、体力は衰えましたが、お酒の量は変りません。

他の同年配の人からは、60歳を過ぎるとクラス会や何かの同期会が急に増えた、との話をよく耳にします。回顧主義になるのか、時間にも余裕が出来て改めて同世代と付き合ってみたいのか、同じベースで話し合える仲間がそうそう出来なくなってきているのか、理由は色々あると思います。私自身は全てに当てはまるように感じます。

二日目も好天に恵まれました。飲めそうな水が流れる街中にある源兵衛川、源頼朝が平家打倒の挙兵に際し祈願したことでも知られる三嶋大社、富士山の伏流水が一日100数万tも湧き出る様子が見られる柿田川公園。そんな箇所を殆ど歩いて回りました。三島で有名なうなぎ屋さんで昼食を取り、また東海道線普通電車に乗り帰路につきました。

山のクラブ仲間なので、ついつい歩き過ぎてしまうのが癖です。二日間で歩いた歩数は3万5千を越えました。山登りをする、このような忘年会が恒例になるかもしれません。
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良いサービスを得る(その2)

2016年12月17日 05時41分07秒 | Weblog
その居酒屋は日本酒専門店だけあって、各テーブルから、全国の銘酒がずらりと並んでいる黒板が見えます。おおよそ50銘柄位でしょうか。それを注文すると、店員さんが一升瓶を持ってテーブルに来て、目の前でグラスに注いでくれます。

一杯500円前後です。一杯頼んで飲んだ後、黒板を良く見ると「飲み放題あり!」と書かれていました。店員さんに、一杯飲んだけれど飲み放題に切り替えてもいいかと尋ねると、「勿論いいですよ」と。飲み放題の料金を聞くと、2500円とのこと。

「ということは、5杯以上飲まないと元が取れませんね。体に悪いから止めときます」と私が言うと、その男の店員さんは大爆笑。その後、「お酒の注ぎ方も上手ですね」と店員さんに伝えると、益々気を良くしてくれたのか、最後まで笑顔が絶えませんでした。

サービスを受ける時に、その係りの人なり店員さんなりの名前を言ってあげると、その人はとても喜んで、親しみを持ってくれます。他人にとってみると自分の名前など親しくなければ他人事ですが、自分にとってみると自分の名前は特別なものだからだと思います。

新幹線での体験です。友人と複数で乗り合わせ、車内販売を利用する時のことです。お酒やつまみを買い求める際に、さりげなく車内販売の係りの人のネームプレートを見ておいて、最後お金を払う際に「○○さん、ありがとう!」と言いますと、満面の笑みがはね返って来ます。

プレートに名前が書かれているのに、どこで私の名前を知ったのかのようなリアクションです。次の列車に行って戻って来る時には、また買うかも知れないのでと、よろしく伝えます。すると戻って来る時は、他人ではないような感じで応対をしてくれます。名前を呼んでくれる人などいなのでしょう。

家電量販店の店員さんにしても、居酒屋の店員さんにしても、新幹線の車内販売の係りの人にしてみても、店主や経営者ではないので料金を安くしてくれるとか、何かをサービスで貰えるとかのような特典はありません。

しかしその表情や対応は、お客さんによって違っているのではないでしょうか。より質の良いサービスを受けられるには、お客と店員さんとの互いの相乗効果が、そこにはあるように感じていました。

日めくりカレンダーに、“相手に合せてみる。それが、コツ。〈自分が正しい〉と思っても、なかなか望んだ通りにはならない。相手に合せるときに、状況は好転する”、そのような言葉が載っていました。

お金を払っているのだから、客だから、店員の教育をするのは店側がするのが当たり前だ。そのように〈自分が正しい〉と思っても、なかなか望んだサービスは得られない。少し近づいて、店員さんに合わせれば、サービスは好転する。と、解釈出来ます。



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良いサービスを得る

2016年12月10日 04時44分58秒 | Weblog
葛西に在る同じ床屋さんに、もう20年以上も通っています。座れば「何時もの通りですね?」と聞かれて「ハイ!」と答えるだけで、一々髪形を説明する必要もなく、主人とも気が合って、他の床屋さんには行けなくなってしまいました。
 
50歳中頃の主人ですが、最近“倫理法人会”に誘われているそうです。理容の機器を販売していた営業マンが、その会社を辞めて、現在は市議会の議員をされている、そんな人から声が掛かるのだそうです。床屋の主人は未だ入会する気持ちはないそうですが、倫理法人会の例会には、ビジターとして何回かは参加しているようです。

先日主人から、ある講師を招いた例会の録音CDを頂きました。「苦難の会社経営の中で学んだ倫理の教え」との内容で、早速聴いてみました。手広く商売を展開し、お金の使い方を間違って、倒産寸前まで追い込まれた経営者。その失敗を活かし、その後商売を替え、今は会社を息子に任せ、それまで気付いた経営の法則を広めたい。その話に引き込まれました。

次回髪を切る時でもよかったのですが、その感動を伝えたく、二日後にまたその床屋さんを訪れました。私の反応を大変喜んでくれました。丁度お客さんも居合わせなかったので、立ち話で15分、例会の様子を熱っぽく主人は語ってくれました。

人から認められ、人に受け止めてもらえる。そうされたら、誰でも嬉しくなるでしょう。CDを渡してどう感じたのか気になっていたのでしょうが、直ぐ私が出向いたことで、主人はそれを素直に表してくれました。

人から無視され、人に物扱いにされる。そうされたら、誰もが悲しくなるでしょう。もし次回髪を切りに行った時、その話題を私から出さなければ、CDなど渡さなかったらよかったと後悔するでしょう。

話しは変りますが、家内と一緒に家電量販店に行きました。新しいテレビを買い求める為です。既に一台ありますが大分古くなり、もっと大きな画面のテレビを前々から欲しかったこともあり、最近は大型テレビの価格も安くなったようで行ってみました。

最初に近寄って来た店員さんが、親切に説明をしてくれました。或るメーカーのテレビがその量販店で一押しの商品で、かなり割安だとのことでそれに決めました。想定していた予算より下回ったので、またポイントも溜まって、後日ブルーレイディスクもその店に買いに行きました。

またその店員さんに出くわしました。前回会っていますので、商談もスムーズに進みます。会計のカウンターで、その方のお休みの曜日を何気なしに尋ねてみると、嬉々として答えてくれました。場合によっては、休みを返上して私達に合せますとの勢いです。

こんな一言で、それ程喜んでくれるとは思ってもみませんでした。自分をすっかり信用してくれたと感じたようです。私達も気を良くして、その後外食して帰ることにして、日本酒専門店なる居酒屋に入りました。  ~次回に続く~
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道について

2016年12月03日 10時02分37秒 | Weblog
自宅から会社に車で通勤する道路ですが、ネックが一つあります。それは踏切を越えなくてはならない為、そこで必ず渋滞するのです。市川にある私の自宅は京成電鉄の本線の北側にあって、一旦南側の旧千葉街道に抜けるのですが、東西それぞれ2キロ位横に逃げても踏切があります。いわば市川市街の道路事情で、長年のネックとなっていました。

11月それが解消しました。通称浦安・鎌ヶ谷線が全線開通することに伴って、京成線とこの新道が立体交差(アンダーパス)することになったのです。この道が、何とわが家の直ぐ近くに完成したのです。開通して3週間経ち、この新道に車が集中するかと思っていました。しかし、当初混雑はしましたが、従来の踏切に戻る車もあったのでしょうか、このところ緩和されてきました。お蔭で、通勤時間が5~10分短縮されました。


30年以上も前の事、私は営業担当者として北関東のお客様を回っていました。高速道路としては、関越道、東北道、常磐道は既にありましたが、それを横に結ぶ外環や圏央や北関東道等が無かった時代です。縦に走る高速道に近いお客様であればいいのですが、そこから外れたり県を跨いだりすると、結構な時間を要しました。

現在は営業に同行してお客様を回ります。横を繋ぐ高速道が整備され、更に一般道でもバイパスが通る等、交通事情は飛躍的に良くなりました。新しい道路が出来ると、街並みも人の流れも一変してしまいます。道路には不思議な力が隠されています。

ついこの間、浦安のわが社から車で銀座に向かいました。一般道の湾岸道路を先ず行って、東雲の先を右折して、豊洲から勝どきに抜ける道を行こうとしました。湾岸から銀座にストレートに行けるこの道は、割と新しい道路です。

私は初めて通る道で、湾岸から右折する交差点を行き過ぎてしまいました。その先の交差点を右折して、暫く直線の道がありましたので進んで行くと、回り込むように少し戻り、本来行きたかった豊洲の道がクロスして来ました。

そして右手に忽然と現れた大きな建物が、そうなのです、今年築地から移転するはずだった豊洲市場なのです。その前から築地方面に真っ直ぐの建設中の道があり、その先に大きな橋がありますが、工事は中断されています。有明から新橋に抜ける環状第2号線です。2020年東京五輪までに開通は困難とされています。この辺一帯は、時間が止まっていかのような不気味な感じを受けました。

道は中国では、「タオ」と発音します。道は人や物が通るべきところではあるけれど、宇宙自然の普遍的法則、道徳的な規範、美や真実の根元、であるとも言われてきました。 

また道は、目的と目標だとも言われます。道は、何の為に(目的)何をする(目標)。道は、心(目的)と形(目標)とも言い表されます。このように、道には深い意味があります。

冒頭の話しに戻りますが、自宅から会社に行くルートが新しく出来ました。その先でも会社に行くルートは複数選べます。会社に行って仕事をする為に(目的)、色々な通過点を選択する(目標)。道を、簡単に言えば、私はそのように捉えています。
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