梶哲日記

鉄鋼流通業会長の日々

共同記者会見

2013年06月29日 09時53分15秒 | Weblog
鉄鋼業界紙の四社による、東鉄連正副会長の共同記者会見がありました。副会長三人の内、今回二人は都合が付かず欠席されました。従って齊藤会長と私だけの会見となり、集まった記者の方々は七名となり、取材される側としては緊張感漂う雰囲気となりました。

この共同記者会見は年に一回程行われており、マーケットの動向や業界の抱えている問題、あるいは東鉄連事自体の活動などについて意見を述べる場となってきました。去年は、新日本製鉄と住友金属工業が合併した直後に開催されました。

今年度、会長は四年振りに交代しました。就任間際の齊藤新会長の抱負や、団体としての新たなテーマを話すチャンスでもあり、他の二人の副会長も欠席されましたので、一時間半の会見の殆どが、東鉄連の運営についての話しに費やされました。

話しは変わりますがこの会見の一週間前に東鉄連理事会が開催されました。理事会は、九つの各地区団体員から派遣された約三十名の理事によって構成されていて、年に四回開かれます。その中の地区の会長だけで構成されているのが常任理事で、常任理事会は年六回開かれます。

従来の理事会は、殆どが事務局からの報告・承認事項が多く、協議事項はあるものの活発な意見交換はなされず、参加者の多くは発言をせずに終わってしまうという状態でした。そのような理事会を刷新しようとしました。

現状の運営を何とか改革したいと、新年度になって正副会長で話し合う機会を持ちました。先ず理事会を刷新していこうとする動きはその一つの表れです。その結果、前回の理事会では、ほぼ全員から意見を出してもらうことが出来ました。

東鉄連自体の存在意義が今明確ではない。常任理事会が何をやっているか分からない。この理事会が全くおもしろくない。市場調査、経営情報、事業企画と委員会があるが機能しているとは言えない。等々様々に、皆さんが真剣に発言されたと言うことは、何か切っ掛けさえあれば積極参画する意識が強いと私は感じました。

共同会見で記者の方から「業界景気の厳しい時代が続き、会員の東鉄連に対する想いも変化し、会員に対する東鉄連の機能をどう考えますか」との質問がありました。「東鉄連が何をしてくれるかの前に、東鉄連の構成員である私達が、今何が出来るのかを問うべきだ」と、私はお答えしました。
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雑草から学ぶ

2013年06月22日 05時54分01秒 | Weblog
『植物の世界では弱い存在とはいえ、逆境を生き抜く知恵と戦略を備えているそれが雑草の強み。踏みつけられるのは誰でもがイヤなもの。人も雑草も同じです。でもそんな逆境に遭遇してもしっかりと受け止め、さらにプラスに転じることが出来るのです』。雑草の生態を、長年研究されている人の話しです。

『例えば、カタバミは表面がネバネバしています。だから服や靴底にくっつきやすい。人に踏まれてタネを新天地に運び子孫を残すのです』。雑草は、踏みつけられることがプラスと言い切ります。

『庭の草をむしるとすぐにまた生えてくる経験をお持ちでしょう。光を浴びて、地中にある雑草のタネは芽吹きます。草むしりにより土の中に光が差し込み、ライバルが抜かれ、いなくなる。それはまさに発芽の好機となります』。雑草から多くを学べる、そのような記事が新聞に載っていました。

話しは変わりますが、息子がお金を盗まれました。ボウリングやカラオケや様々なスポーツを24時間楽しめる施設に行った時、ロッカーに財布や荷物を入れて遊んでいたところ、そのキーを落とし気が付いて戻ってみると後の祭りだったとのこと。

「父さんは財布を落としたことはある。どれ位入っていた」、息子がそんな質問をしてきました。「どうしたの、ああそうなのか大変だったな。父さん、そう10万円以上は入っていたかなあ」と私。実は家内から、息子が1万5千円を盗まれたことは既に聞いていました。

「それで、その時どう思った」と私は、今度は息子に質問を向けました。「うん、学生証も保険証も残っていたし、それだけで済んだので良かったのかもしれない」「キーを落としたのは自分だし、今度は気をつけなくちゃあ」と息子は答えました。

私としては、息子がプラス思考なのかマイナス思考かを確かめたかったのです。そのような災難に遭った時がチャンスです。大学生になってバイトで貯めた金を盗られたのは悔しいでしょう。しかし世間には善人もいれば悪人もいるのです。

雑草の世界を見ると予測不可能な逆境も決して悪いことではない。根性論には限界もあるが、ピンチをチャンスに変える知恵があれば自ずと道が開けるものだ。雑草が我々に教えてくれる。と稲垣栄洋さんという方が語っていました。
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先代を良く知る方と(その2)

2013年06月15日 10時12分39秒 | Weblog
もう30年以上も前になりますが、わが社の社員で独立された方がいらっしゃいます。製鋼メーカーに自社で切断したスクラップを納入するという、当時のわが社の商売を踏襲して会社を興され、努力されしっかりと基盤を築かれました。

現在ご自身は会長となられ、後を継いだ息子さんが社長となり、順調に業績を伸ばされています。今までの工場が手狭となり、この度新たに土地を求め工場を新設されました。先日その御祝いにと、新工場へ伺いました。

社長を訪ね事務所に入って行くと、そこにI氏が居られたのです。20年振りでした。既にその電炉メーカーを退職され、たまにその会社に遊びに来ていると言うのです。その電炉メーカーとその会社は長年取引が続いていたのです。

I氏が曰く、「先代は強引だった。うちの圧延ラインのスケール回収作業を既存の業者が長年やっていたのに、最後はオーナーに直談判して、粘り勝ちで梶哲さんに替わったんだ」「私の所にも朝早くから日参されるし、根気負けしたね」。

「でも折角切り替えてあげたのに、それからも色々あってさあ、正月休み中の作業が全部出来ないだとか、作業賃をもっと上げてくれだとか、勝手だったね」。悪意で言っていない気持ちは伝わりましたが、私は頭を下げるばかりでした。

多少の無理があってもこれと思ったことをやり通す。それが先代の良さでもあり欠点でもありました。今まで聞いたことがない、先代に対する苦情とも懐かしさともとれる話をI氏から伺って、私はむしろ前向きに受け止めました。

高度成長時代のある意味おおらかなある側面貪欲な、先代のそのバイタリティー。私にそれが有るのか無いのか議論ではなくて、I氏が熱く先代を語って頂いたことに、素直にありがたく思いました。そして翌日I氏には、先代のお詫びも含めて御礼の手紙を差し上げました。

「人生の勉強をさせてもらった。先代の御父さんは立派な方でした。私の人生の鏡でお手本として勉強させて頂きました。今回梶さんとあそこで再会できたのも先代のお蔭ですね。あそこの会長とは会う度に必ず先代の話しで盛り上がります」。そのようなお便りを、I氏より後日頂戴致しました。
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先代を良く知る方

2013年06月07日 17時31分41秒 | Weblog
わが社がスクラップの事業から撤退して14年が経ちます。スクラップ部門の現場社員の高齢化と後継の若手社員の確保難、更にその事業での厳しい採算問題が長年あったことで、撤退を決断しました。

当時わが社のスクラップ事業は、溶断業者から仕入れたスクラップを、江東区東雲鉄鋼団地に在った工場に集め、ほぼ人海戦術で選別したり加工をしたりして一定のサイズにし、上級屑として製鋼メーカーに納めていました。

納入先は鋳物メーカーと電炉メーカーでした。鋳物メーカーとは小型の電気炉で製鋼し、それを型に入れ凝固させて自動車や機械の部品などを製造するところ。電炉メーカーとは大型の電気炉で製鋼し、それを圧延して主に建築用鋼材を製造するところです。

わが社は鋳物メーカー向けが主力でした。炉が小さいため、その材料はハガキ大位に細かく切りそろえないと収まりません。従って殆どのスクラップは裁断しなくてはならず、手間がかかる分、価格は高く買って頂きました。

例えば肉厚が厚過ぎるとか、鋳物メーカーに収まらないものは、全て電炉メーカー向けとなります。江東区に在った電炉メーカーが、長年の取引先でもあり東雲工場の近くでもあり、当時わが社では唯一の納入先でした。

実はその会社とは、スクラップの納入より前に、圧延工場から発生するスケールを回収させて頂いていたことがあり、昭和40年代からのお付き合い。当然のことながら、わが社の先代の時からのお取引先でした。

先代が平成2年に亡くなり暫く経って、私も落ち着いた頃、その会社に挨拶に伺ったことがあります。購買担当部長のI氏がお相手をして下さいました。先代の若かりし頃を良く知っている方です。昔の話しで盛り上がり、長時間居座ってしまったことが記憶の中にあります。

スクラップ購買担当は、電炉メーカーにあっては、会社の根幹に携わる任務です。オーナー経営者からの信任が厚く、I氏は役員になっておられました。

それから20年以上経過し、わが社はスクラップを撤退して、I氏とはお逢いすることも無いと思っていました。 ~次回に続く~
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