風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

ラジオ

2022-01-15 | 文化
中学、高校時代の1970年代、
周囲の友人たちの間ではラジオの深夜放送が人気だった。
TBSの「パックインミュージック」や文化放送の「セイ!ヤング」、
そして日本放送の「オールナイトニッポン」など。
しかし私自身はそんなに夢中になって聴いたわけではなかった。
それでも、もちろんネットなどない時代。
テレビすら家に1台茶の間にあるだけというメディア環境の中、
中高生が自由に扱える唯一のメディアがラジオだったから
(一応)勉強しながらもイヤホンを耳に差しっぱなしだった。

私が聴いていたのは、
まず23時からのNHK-FM「クロスオーバー11」。
石橋蓮司さんのイメージナレーションを挟みながら
今でいうフージョンやAORなどを流していた。
ここでStuffやThe Crusaders、Weather Report、
Chuck Mangione、Herbie Hancock、Larry Carltonなど
当時の新しいJAZZを知った。

24時までそれを聴き、AMのIBC(岩手放送)ラジオに変える。
24時半までは岩崎宏美などの番組があったけれど
それはおざなりに聴き(その間だけは勉強がはかどる)、
24時半からの30分は「コッキーポップ」だった。



当時「ニューミュージック」と呼ばれた新しい音楽の震源地は
ヤマハが主催するし、全国からエントリーがあった
「ポピュラーミュージックコンテスト(ポプコン)」だったが、
それとコラボした番組だった。
中島みゆきも、NSPも、八神純子も、ツイストも、
長渕剛も チャゲ&飛鳥も、雅夢も、あみんもすべてその番組で知った。
今でもオムニバスアルバムを聴くことがあるけれど
全然古くないんだよなぁ。
1曲だけ入賞して姿を消したミュージシャンも多いけれど
歌はいつまでもそのまま残り、ちゃんと生きている。

そして25時(午前1時)からは「オールナイトニッポン」。
とはいえさすがに聴き通すには辛い時間なので
せいぜい30分か1時間ぐらいでベッドに入る毎日だった。
当時のパーソナリティで好きだったのは所ジョージさんやタモリさん。
読まれる投稿ハガキの出し主はみんな同世代だったから
共感もできるし、面白かった。
今でいうところの、ある意味SNS的だったのかもしれない。

10年ほど前の誕生日に
東京で知り合った音楽仲間にクロスオーバー11のCDをもらった。
これもまた今スマホのストレージに入っていてよく聴く。


もちろんこちらも全く古く感じない音楽だけど
合間のナレーションを聴いていると、あの頃の情景が浮かんでくる。

 やがて 1日が無限のかなたに消えようとしている
 深い夜のしじまに 遠くの記憶を呼び戻し
 忘れかけていた歌がよみがえる
 今日もまた
 それぞれの思い出をのせて過ぎてゆくこのひと時
 クロスオーバー・イレブン

それはコッキーポップの大石吾郎さんのオープニングナレーションも。

 黙っていれば友達になれない、
 叫ばなければ消え去ってしまう。
 私たちが生まれてきた時から
 育ててきた何かを伝え合うために、
 ちぎれかけた世界の心と心を繋ぎ合うために、
 私たちの歌が今ここにある

このナレーションだけで、当時の気持ちまで蘇るようだ。

大学に入ってからはもう「オールナイトニッポン」は卒業した。
「クロスオーバー11」と同時に聴き始めたのは
(上京してFM東京が聴けるようになったので)「ジェットストリーム」。
これもまた雰囲気は『クロスオーバー11」的だった。
高円寺の狭いボロアパートで、ひとりで、あるいは友人たちと
酒を飲みながらこの番組がBGMだった。
自分が大都会の一塵になった侘しさとともに。
コメント
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