風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

市井の人たちの暮らしの営み

2022-01-23 | 社会
以前ここで紹介した写真集2冊。


60年前といえば私が生まれた頃だ。
もちろん記憶の中にその風景はないし、
大きくページを割いている東京のことも直接知らない。
にも関わらず、なぜかとても懐かしいのだ。



これは上野の近くで撮られた写真。
まだ着物姿の女性が多い。
他の写真では、渋谷宮益坂周辺に空き地が見える。
国電(JR)の窓は(エアコンが無いので)全開に開けられ、
駅ビルなどの写真はなく、素朴な駅があるだけ。
そういえば現在の都営浅草線開通前の押上駅の写真もあった。


こちらは昔の花巻電鉄の写真。
岩花線と呼ばれた中央花巻ー西花巻間、
現在の八森スポーツ裏手あたりを走っている。
この写真にも心を動かされた。
他には人々が電車に乗り込む西公園駅の風景など。

リアルで見た年代でも、まだ行ったこともない場所でも
なぜ懐かしく、胸がいっぱいになるのか。
なぜ高いお金を出して買ってまでこの写真集が見たかったのか。
(2冊合わせて3,100円)

この写真を撮ったアメリカ人は鉄道マニアで
ほとんどの写真に電車やSLが映っているのだが、
鉄道そのものよりも人に懐かしさを感じた。
それは恐らく、私が普通の、市井の人々の暮らしの営みに
強く心が揺さぶられるからなのだろう。
人の温もり、笑顔、家族、愛情、許容、慎ましい暮らし・・・
そんなものが当たり前だった時代だ。
昭和の後半、時代は高度経済成長が始まっていたものの
一般市民はまだ戦前からの価値観と生活慣習で暮らしていた時代。
そういうものに心惹かれる。
結局私は人と人との触れ合いが好きなんだろう。
時代とともに希薄になり、コロナで拍車がかかっているが。
「大衆の中に道理がある」は政治家だった伯父の言葉。
市民の中にこそ耳を傾けるべきことばがある。
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