風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

週刊金曜日1/21号 「花巻の風」最終回

2022-01-21 | 仕事

昨年2月から1年間連載させていただいた
週刊金曜日の「花巻の風」が、
今日発売の1/21号で最終回を迎えた。

スタート時から最初と最後に取り上げる方を決めていた。
最初はマルカンビル大食堂を復活させた上町家守舎小友康広社長。
最後は宮沢賢治の弟清六さんの孫である宮沢和樹さん。
良くも悪くも、花巻というまちと賢治さんは切り離せない。
「悪くも」と書いたのは、
何でもかんでも賢治さんをダシに使いがちという風潮があるからだ。
果たして泉下の賢治さんはそれを望んでいるのだろうか。
果たして賢治さんを「利用」する人たちは
賢治さんの想いや思想を理解しているのだろうか。
その風潮に、ひとり賢治さんや清六さんの思いを伝え続ける
和樹さんはどう感じているのだろうか。
そもそも賢治さんの想いや思想とは?ということを
改めて取り上げたかった。

実は和樹さんとは、和樹さんがイギリスから花巻に帰ってきて
林風舎をオープンさせた直後ぐらいから付き合いがある。
ほんのたまにだけど、会えば話が弾んで時間を忘れる。
なぜかというと、私の父と清六さんは
戦前から文芸を通じた仲間だったからだ。
私自身、子どもの頃から父に連れられて宮沢家を訪れ、
清六さんには可愛がってもらい、
大人になってからも大変お世話になった。
蔵書をいただいたり、自筆色紙をいただいたり、
仕事で賢治さんに絡むものがあれば忌憚のないご意見を聞きに
ひとりでお宅へ伺ったりもした。

父と清六さんとの思い出話や
自分なりの賢治さんについての思いや考えを
和樹さんと話すことはとても楽しい時間だ。
今回は取材ということもあり
これまでよりも、さらに突っ込んだお話ができた気がする。
私自身、賢治さんにはとても近しい感情を持つが
あまりそれを表に出すことはない。
賢治ファン同士の議論や、前述の「利用」から遠ざかり
ひっそりと賢治さんを思うようにしている。
思い切り賢治さんについて語れるのは和樹さんとだからこそ。

今回の記事は、そういう意味で楽しく書かせていただいたが
一方で、より深く賢治さんを知る仕事となった。
「花巻の風」は、地方で今吹いているリアルな風を
全国に伝えたいと思って始めた連載。
しかしその仕事を通じ、一番学べたのは私自身かもしれない。
1年を通じて取り上げた20名1団体の方々以外にも
まだまだたくさんの花巻のプレーヤーたちが
それぞれ自分なりの「求道すでに道」を実践している。
そんな人たちに勇気をもらい、リスペクトしつつ
今回の連載を閉じることにする。
連載のお声がけいただいた週刊金曜日編集委員の伊田さまに感謝。
お読みいただいた方々ありがとうございました。
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