風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

林檎党

2022-01-10 | 文化
社会人になった頃MacもWindowsも無かった。
使ったのはFDベースのMS/DOSのマシン。
ほとんど既存のWPや表計算ソフトを使う形だった。
あとは統合ソフトと呼ばれるヤツ。
それでごく簡単なプログラミング使って仕事をしていた。

転職した会社ではオフィスコンピューターを使っていた。
ガチガチに業務用プログラムを組んだもので
個人用の統合ソフトとのデータのやりとりには
DOSのコマンドが必要でやたら面倒だった。
Apple社のMacintoshと呼ばれるPCと出会ったのは
そんな中、視察に訪れた新潟の印刷会社にて。
驚いた。
画面を「デスクトップ」と呼ぶ概念、
操作もGUI(Graphical User Interface)による
コンピュータースキルがなくても簡単に使える技術。
それまでの、定型業務にしか使えなかったソフトと違い
自分なりに自由に使えるアプリケーション。
事務作業はもちろん、これからのデザインに使うのはこれだ!と
勤務先の印刷会社に帰ってすぐ1台買ってもらった。



Apple Macintosh SE30。
当時の価格で80万円を超えていたと記憶している。
(これに沖電気のレーザープリンターもセットで購入)
これにMicrosoft ExcelやDTPソフトのAldus PageMakerを乗せ
それまでよりも事務作業が飛躍的に便利になった。
コンパクトでシンプルな筐体デザインも秀逸で、
私はすぐにApple製品のファンになった。
PageMakerはDTPの概念を作り出した画期的なアプリケーションで
それまで使っていたノートWPとは使い勝手に格段の差があった。

その後、MicrosoftからWindows3.1が発売され
その使い勝手の良さで日本でも爆発的にヒットし、
私も使ってみたのだが、当時はMacの便利さとは雲泥の差。
というか、MacのGUIの真似としか思えず
その裏側で、相変わらずMS/DOSが動いていると思うと
まったく使う気にはなれなかった。

そのうちに、会社でも制作部門でMacが導入され始め、
(それまでは1台1千万以上するバカ高い専門機か手作業だった)
使うアプリはPageMakerからQuark XPressへ。
社内でも役員や幹部を中心にMacがひとり1台となっていき
社内文書はすべてQuark XPressで作られるようになった。
私は自宅でも当時出たばかりのスケルトンiMacを買い
年賀状や持ち帰り仕事などに加え
徐々にインターネットにもダイヤルアップで繋ぐようになった。

その間、世間ではまずAppleのipodが
それまで主流だったsonyのWALKMANを凌駕し始める。
カセットテープやCD、MDなどのメディアを使わず
データだけを記録して音楽を聴くことができる画期的なモノは
筐体の極端なコンパクト化と、Macに共通するシンプルなデザインで
一気に一世を風靡した。

そしてiPhoneの登場となる。
ネットにつながる携帯電話はそれまでもあったが
電話よりもネット重視の使い勝手と、これまた秀逸なデザイン。
そして高性能なカメラ機能。
ここまで来てiPhoneは「電話『も』できるデバイス」となった。
この概念を生み出したのもAppleならではだ。

仕事ではあっという間にQuark XPressからAdobe CSが主体となる。
(のちに月額課金制のAdobe CCへ移行)
社内文書はwordが主体となったが、DTPはInDesignへと替り
元々のPageMakerが基となったものに戻ったことになる。
私が独立した現在も、iMacとMacBook Airの併用、
アプリはwordとExcel、Adobe CCが主体となり、
データの受け渡しはpdfを使う形となり、業界的にもこれが主流だ。

私が使ったMacはSE30→Mac Portable→Powerbook
→スケルトンiMac→iMac(会社で)→Macbook Pro→Macbook Air(現役)
そしてメイン機のiMac。
Mac以外では一時SHARPやTOSHIBAを使ったが、ほんの一時。
iPodはiPod mini→iPod shuffleを2世代。
iPhoneは5→6→8plus→11と買い替えてきて4台目だ。

ということで、私は林檎党。
なぜかというと、もちろんPCの使い勝手はもちろんなのだが
(特にこの業界はMacが主流なので)
このメーカーが一貫してイノベーターであり続けるからだ。
GUIの概念はMacから始まり、Windowsはその真似としか思えなかった。
記憶型デジタル音響機器は現在では様々なメーカーから出ているが、
その概念も最初はipodからだった。
スマートホンも、今ではAndroid製品がたくさん出ているけれど
最初にその概念を作り上げたのもAppleだ。
タブレットもipadから始まっている。
いくらApple製品を凌駕する機能を身につけようとも
Apple製品以外は全て後塵を拝してきた歴史がある。
製品を作るだけではなく、常に新しい概念や文化を生み出すメーカー。
それがApple。
もしかしたら概念や文化だけではなく
たらしいビジネススタイルやファッションまで
Appleは生み出しているのではなかろうか。
コメント
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