風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

「おや ときどき こども」

2020-10-20 | 読書

福岡で学習塾や単位制高校を経営する著者による教育論。
その考え方はほぼ私が以前から考えていたことと同じで共感できる。
しかし考えていただけの私とは違い
実践の中で、なおかつ日々現実と向き合いながらの体験は
説得力と納得性があって重い。
昔の自分もそうだったが、
ほとんどのこどもが未来に不安を抱えているだろう。
しかし未来だけでなく、現状の環境にも悩む子はたくさんいる。
そして迷っているのは、実は子だけではない。
親もまた戸惑い、迷い、不安の中にある。
だからこそ子に対して高圧的に出たり、
自分の価値観を押し付けたり、
転ばぬ先の杖とばかり余計な手出しをしたりするのだ。

帯にもある通り
親や先生方ばかりじゃなく、すべてに人たちに読んでもらいたい。
なぜならかつては誰しもこどもだったのだから。
「躾け」や「教育」は押し付けになりがちだがそうではない。
読んで字の如く「教え育てる」もの。
そのためには自分がこどもだった頃を思い出せば良い。
さすれば子が何を感じ、どう考えているかがわかってくる。
その上で寄り添い、信頼し、
必要最小限の言葉をかけつつ自らの背で語れば良い。
夫婦もそうだと思うが
対峙するのではなく、ともに歩く感覚でいいんじゃないかな。
子が小さいうちは子の前を、
自分の考えを持ち始めたら並んで、
巣立ちの季節が近くなったら子の後ろを。

「おや ときどき こども」鳥羽和久:著 ナナロク社
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