風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

本質的な疑問

2020-10-16 | 世界・平和


今週の朝ドラ「エール」が秀逸。
これは朝ドラ史上に残る作品になるのではないか?
鉄男の微妙な変節。
セリフを極限まで削り、
ほんの5〜6分の間に淡々と描く重大な局面。
日常の中に突然やってくる悲劇。
「無為な死」を視聴者に否応なくぶつけてくる。
「終戦」ではなく「敗戦」と表現したナレーション。
後世の「わかったふり」史観ではなく
当時の人々はこう感じていたであろう視点・・・。

「僕何も知りませんでした。ごめんなさい」
の言葉が心に響いた。
そして「誰のために戦うのか」
という本質的な疑問を投げかけてくる。
誰もが死にたくない。
それは味方のみならず「敵」も同じ。
ならどうして戦わなければいけないのか。
いったいその殺し合いは何のために行われているのか。
「仇を討つ」「愛国の崇高な意志」「無駄死にさせるな」
これらは生きているもののエクスキューズ。
あるいはプロパガンダ的な詭弁。
祐一とともに責任もまたひとりひとりが背負っている。

どんな時代も、どこの国でも
犠牲になるのはいつも市井の人たちや弱いものたちだ。
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