馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

異物による横行結腸閉塞

2012-12-20 | 急性腹症

ひどくはないが疝痛が治まらない当歳馬。

3日目になっても一般状態も悪くならない・・・・しかし疝痛が再発する。

なんだ???

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Dsc00759_4 試験的開腹手術を決断したが、はっきりした異常はわからなかった。

結腸骨盤曲辺りの色調がわずかにおかしいので、骨盤曲を切開し、内容を排泄させていると・・・・・

結腸の基部の中に何かある。

不整形でけっこうな大きさがあり、硬いが押すと変形する。

この異物のために径が細くなる横行結腸が閉塞したようだ。

なんとか移動させて術創から出すが、背側結腸の一番細くなる部分はとても通過しない大きさだ。

で、その部分で切開して取り出した。

そして切開創を閉じて最後の探査をしていると・・・その奥に同じような感触の物がもう1個触る。

それで同じことをもう一度繰り返した。

 Dsc00774                           -

 出てきたのはこちら。

グロテスクだが、砂利と植物繊維が絡んでいて・・・・

しかし、塊の芯になっているのは繊維で、ちゃんと末端処理したロープの端も含まれていた。

どうやらロープを食べてしまい、それがほぐされながら消化管を通過してきたが、内径が急に細くなる横行結腸で詰まってしまったようだ。

馬も暇にまかせてとんでもないものを食べてしまう。

回腸で詰まることもあるし、横行結腸で詰まることもあるし、小結腸で詰まることもある。

それらの部は太さが細くなるか、あるいは水分を失う部分だからだ。

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Dsc_1015 大型犬は馬より異物による腸閉塞が多いようだ。

学生のとき、食欲不振が続く土佐闘犬がテニスボールを食べていた症例を診たことがある。

「飼い主のしつけの問題なんですけどね」

と言っていた獣医さんも居たが・・・・・

とてもそんなしつけはできないと思っている獣医さんもいる;笑。