ひどくはないが疝痛が治まらない当歳馬。
3日目になっても一般状態も悪くならない・・・・しかし疝痛が再発する。
なんだ???
-
試験的開腹手術を決断したが、はっきりした異常はわからなかった。
結腸骨盤曲辺りの色調がわずかにおかしいので、骨盤曲を切開し、内容を排泄させていると・・・・・
結腸の基部の中に何かある。
不整形でけっこうな大きさがあり、硬いが押すと変形する。
この異物のために径が細くなる横行結腸が閉塞したようだ。
なんとか移動させて術創から出すが、背側結腸の一番細くなる部分はとても通過しない大きさだ。
で、その部分で切開して取り出した。
そして切開創を閉じて最後の探査をしていると・・・その奥に同じような感触の物がもう1個触る。
それで同じことをもう一度繰り返した。
出てきたのはこちら。
グロテスクだが、砂利と植物繊維が絡んでいて・・・・
しかし、塊の芯になっているのは繊維で、ちゃんと末端処理したロープの端も含まれていた。
どうやらロープを食べてしまい、それがほぐされながら消化管を通過してきたが、内径が急に細くなる横行結腸で詰まってしまったようだ。
馬も暇にまかせてとんでもないものを食べてしまう。
回腸で詰まることもあるし、横行結腸で詰まることもあるし、小結腸で詰まることもある。
それらの部は太さが細くなるか、あるいは水分を失う部分だからだ。
///////
学生のとき、食欲不振が続く土佐闘犬がテニスボールを食べていた症例を診たことがある。
「飼い主のしつけの問題なんですけどね」
と言っていた獣医さんも居たが・・・・・
とてもそんなしつけはできないと思っている獣医さんもいる;笑。