某大学に講義に行ってきた。
日本の獣医科大学で一番教育環境が整っていると言う人もいるらしい大学。
(私は良く知らないし、同意しないけどね)
臨床に進もうかと思っている学生は半数いるか居ないかなのだろうし、大動物臨床に進もうと思っている学生はさらに限られているし、中でも馬の臨床をやってみたいと思っている学生は数人居るかいないかなのだろう。
そういう学生を相手に私のような馬臨床医が講義をするのは・・辛い。
-
博物学とか社会的興味を感じて聴いてもらうか、国家試験のための知識を思い出す時間だと思ってもらうか、自分や家族の健康や医療のために役立つ話題を見出してもらうか・・・
今回は40名ほどの学生さんが相手だったので、指名して問いかけて答えてもらった。
あるミュージシャンが言っていた。
「ライヴってさ、1対50じゃなくて、1対1を50組と思ってヤリたいんだよねッ」
って、感心してあやかりたかったんだけど・・・・・玉砕した。と、思う;笑。
-
まあ、馬に乗ったことがある学生さんは10人足らず。
ということはほとんど馬に触ったこともないのだろう。
そういう人に馬の骨折の内固定の話や、開腹手術の話をしても、ねエ~
-
しかし、道化を演じなくてはならなくても、頼まれれば学生相手に話をするのも一馬医者として義務だとも思っている。
気づいたり、確認したこと。
馬のレントゲン写真を見せて、「これ馬のどこの骨?」と尋ねてもほとんどの学生にはわからない。
骨の名前は、それが前肢(腕)か後肢(脚)か混乱してしまっている学生もいる。
ほとんどの学生はあと1年余りで自分が動物のお医者さんとして資格を持つという意識はない。
「生理食塩水って何%の食塩水?」「ブドウ糖って1g何キロカロリー?」「体の水分って何10%?」などという一般常識のような、高校の生物や家庭科(今は「生活」っていうのか?)で習うような、習わなくても知性と教養がある人なら知っているようなことも知らない。
午後はこれから自分が名前を呼ばれて問いかけられると思っていても睡魔に耐えられない;笑。
-
馬の臨床の話だから。じゃないよね?
人も犬も牛も、骨の名前などは共通だし、輸液剤なども同じだ。
生理学も薬理学も内科学総論も、基本は動物種で違っているわけじゃない。
やっぱりどっかおかしいゼ。
//////
革命思想家、吉田松陰から、革命実行家、高杉晋作へと続く長州の系譜。
吉田松陰も高杉晋作も、人として尊敬できるか、身内になりたいか、もし現世にあって犯罪者にならないか、わからない。
しかし、二人が、持って生まれた天分だけではなく、少なくとも教育により啓発され、偉業をなしたことに違いはない。
その危うさはともかく、間違いなく、奇跡的な・・・・偉業であり、悲喜劇でもある。
お仕事の合間に、練習したり、講義もなさるのがすごいと毎度思います。
受講なさった学生の方々はきっと今日の講義を、今すぐではないにしても、また、直接ではなくても、役立ててお仕事なさるときがくるでしょう。がんばってお勉強を続けていただきたいなぁ、と思います。
一般教養になるとか、国家試験に役立つとか、人生を考え直すとか;笑、何か参考にでもなれば良いのですが、ほとんどの学生は話の中身も忘れてしまうのでしょう。
実は今回の学生たちには、話をするのは3回目でした。な~んにも覚えちゃいないようでした。
ただ、4、5年生にもなってそんなことでは不安になりますね。
自分の大学でもそうでしたが、テストは得意でも臨床現場や社会でそれがどう生かされるかについては想像することすらできない学生は結構たくさんいましたよ。
うちの新人さんもよく「○○(病名)ってどんな感じですか?」
となんともつかみどころのない質問をしてきます。
どんな感じって、いったいなにが知りたいのかすら分からない。。。
恐らく、それに遭遇したとき『今の自分は何を知らない。だから何ができて何ができない。』すら考えもせず、知らないからなんとなく聞いただけってことだと思うのですが。
大学時代は知りたい欲求ばかりでスポンジのように吸収しましたけど、スポンジのように流れ出てしまっていたかもしれません(^^ゞ(^^ゞ(ダブル)
そのまままだ吸収したい自分が今でも居ますけど、忘れる方が早くもなっています(^^ゞ(^^ゞ(^^ゞ(トリプル)
若いうちに学んで置けよと言いたい~~~年寄りのおせっかいm(__)m
医学部も看護学校も、将来の責任を教えて、知識と技術を叩き込みます。獣医学科はどうなのか心配になります。薬学部がそうし始めたように、獣医教育も臨床に進む者とそうでない者に分けた方が良いのかもしれないと思ったりもします。
「どんな感じ」って言うのは、病気の「はじめに」とか「緒言」の部分を聞いているんでしょうね。「疫学」「症状」「診断」「治療」「予後」「予防」の細部までとても及んでいませんということなのでしょう。
馬医者修養物語ですね。
学生がsutemaru先生の講話を聴く機会もあったら好いのかもしれませんね。
好奇心とか、知識欲とか、体力、集中力も大丈夫かなと心配になりました。でも彼らが試験用紙に示す反応はすごいんですよ;笑。
そうなんです。私の社会勉強と精神修養にはなります;笑。
う~ん、体力勝負ですか。座って話を聴く体力のない20代。立って話し続けなければならない50代はどうしてくれるんでしょうか!;笑。