中央で割れてしまうと内固定を考えなければいけないが、頂部(近位端)だと摘出してしまった方が良い。
関節鏡手術で摘出できるが、種子骨は繋靭帯の中にできている骨なので、骨片を摘出するにも付着している靭帯を切り取らないといけないので、なかなか難しい。
調教を始めた1歳馬などでも種子骨頂部の骨折はしばしば見つかる。
手術するにしても、その後の競走能力を心配する関係者もいるだろう。
ケンタッキーのRood and Riddleの先生達が、術後の競走成績を報告している。
-
Racing performance after arthroscopic removal of apical sesamoid fracture fragments in Thoroughbred horses age <2 years: 151 cases (1989-2002)
関節鏡により種子骨頂部骨折片を摘出した2歳未満のサラブレッドの術後の競走成績
Equine Veterinary Journal (2007) 39 (1) 64-68
調査実施の理由:
2歳以上のサラブレッドにおける関節鏡による種子骨頂部の骨折片摘出の調査では高い成功率が報告されてきた。
しかし、当歳馬や1歳馬でこの手術を受けたサラブレッドの競走についての予後を述べた報告はない。
目的:
2歳未満のサラブレッド育成馬での種子骨頂部骨折の発生について述べ、151頭のサラブレッド当歳・1歳馬での関節鏡による骨片摘出後の競走成績の公算と成績を求めること。
方法:
種子骨頂部骨折片を関節鏡手術で摘出した2歳未満のサラブレッドの診療記録を調査した。
追跡情報は競走成績から得た。
Studentのt検定を用いて、手術を受けた競走馬の成績を、同じ母馬からの兄弟馬のそれと比較した。
成績:
骨折の92%(139/151)は後肢に起こり、8%(11/151)は前肢に起こった(前・後両方に起こった馬が1頭居た)。
前肢を骨折した馬は、後肢を骨折した馬のそれ(86%)に比べて、競走の公算がたいへん減少していた(55%)。
全体では、84%の馬が術後に競走し、母方の兄弟の競走成績と同様の競走成績を示した。母方の兄弟の78%(787/1006)が競走していた。
結論:
サラブレッドの当歳・1歳馬において後肢の種子骨頂部の骨折片の関節鏡による摘出は、競走馬としてたいへん良好な予後をもたらしていた。
前肢では予後はそれより悪かった。
前肢の内側種子骨の症例は最も予後が悪かった。
可能性のある関連性:
予後について知ることで種子骨頂部骨折についての情報が増え、関節鏡手術により競走が可能になる例を増やし、さらには既成のセリでの術後の1歳馬の価値を高める。
-
種子骨骨折の関節鏡手術については、今まで何度か書いてきたが・・・・・
http://blog.goo.ne.jp/equinedoc/d/20060724
http://blog.goo.ne.jp/equinedoc/d/20091010
それにしても、Rood and Riddleの症例数はすごい。
///////
28枚のx線写真を撮るのもたいへんだが、
馬の綺麗な立ち姿を撮るのもたいへんそうだ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます