馬の整形外科の教科書。
この20年、AO法と呼ばれる方法、方式が馬の整形外科手術でも主流を占めてきた。
その手技について、障害別に書かれている。
有名な先生方が執筆担当者であり、Dr.Bramlage と Dr.Richardson の名も並んでいる。
Barbaro が骨折した時、ペンシルバニア大学New Bolton Center へ運ぶようにアドバイスしたのが、Dr.Bramlage であり、主治医となったのが Dr.Richardson だった。
二人は、馬の骨折治療の分野ではまさに双璧であり、素晴らしい業績を残し、今も素晴らしい臨床を続けておられる。
Dr.BramlageやDr.Richardsonの学術報告には、いつもその症例数の多さ、レベルの高さに感銘を受ける。
一例一例が治ったことに驚かされるような症例が、成功率を云々できるほど数多く含まれているのだ。
Barbaroの骨折に治療できる可能性があるという判断は、馬の骨折分野の最高の権威であり、最高の現役馬整形外科医によってなされたのだ。
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私が送ったメールへの返事に、Dr.Richardson は書いておられた。
「Barbaro を治療してきたことをたいへん光栄に感じている」と。
Barbaroの骨折は、BarbaroがBarbaroでなければ、治療することは考えられないような重症だった。
しかし、治癒する可能性が充分あったことは、その経過から示された。
いつか、致命的な粉砕骨折の馬が治療救命されるだろう。
それは、そう遠い将来の話ではないと思う。
僕は存じませんでしたが、骨折治療の権威Dr.Richardson とメールのやり取りできることはすばらしいですね。
私は一方的に教えを請うばかりです。それでも、アドバイスをくれるのは人柄と教育者としての習性、そしてプレッシャーのかかる症例を抱えている仲間への想いのなせるわざなのでしょう。
この8ヶ月は質問するのを遠慮していましたが、せめてこんなおりには励ましを贈りたいと思いました。
コメントありがとうございます。畑違いの方の感じ方を聞けるのもネットならではで、興味深いです。
内固定手術をしていると、「大工仕事だね」と言われることがあります。金属で骨を固めるのですが、プレートもスクリューも折れてしまうことがけっこうあります。
そして、金属で補強すればするほど、骨は脱灰し弱くなります。
しっかり固定して、術後すぐから動けるようにする。「命は動き、動きが命」がAO法のコンセプトでもあります。
チタン製のプレートやスクリューが主流になっていくのでしょうが、ステンレス製の3倍以上の値段です。コストもまた問題です。
いずれは、骨化するハイドロキシアパタイト製のスクリューやプレートが応用されるのかもしれませんが、まだ普及しそうにはありません。
金属製でも、新しい器具が提案されていて、評価し、取り入れ、追いついていくのがたいへんです。