N.A.White先生の名著、「Equine Acute Abdomen 馬の急性腹症」には結腸の側側吻合の方法が図示されている。
過去には結腸は切除したら側側吻合するしかないと考えられていたようだ。
この方法は自動吻合機を使っている。
速いかもしれないが、自動吻合機の欠点のひとつは、吻合部位が肥厚していたりするとステープルの長さが合わずリーク(漏れ)が起きることがある。
結腸を切除・吻合しなければいけないときは、吻合部分も損傷を受けている場合が多いので自動吻合機の使用については注意が必要だろう。
しかし、結腸を側側しても吻合部分は不自然で、腸管内容の通過はあまり良さそうではない。
自然な状態でも結腸骨盤曲はU字になっているので便秘を起こし易い部分だ。
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右はフロリダの有名な馬病院の先生達がVeterinary Surgery誌に発表した方法。
切除した結腸を手縫いで端端吻合するが、通過がよくなるように腹側結腸と背側結腸がくっついている部分を自動吻合機で切開・吻合している。
しかし、この場合も自動吻合機を使うことによる不安とコスト高は問題ではある。
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フロリダの先生達の方法と同じだが、自動吻合機を使わず、手縫いだけで行う。
これはなかなかいいかもしれない。
右の図は、Equine Veterinary Educationに掲載された
Katharine Gibson先生の図。
腹側結腸と背側結腸の間を切開・吻合しなくてもただ吻合すれば良いじゃない。という方法。
ただ吻合するには全層縫合のConnell縫合が早いとも書かれている。
私が採用しているのはこれ。
一番、単純で速い。
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この一番シンプルな方法は、Eqine Surgery 3ed. にも載っている。
くふうされているのは、背側結腸の方が断面積が狭くなるので、断面積を広げるために斜めに切除されている。
結局、このシンプルな方法が一番、速くて、安くて、安全なのかもしれない。
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外科処置はないと言っていいくらいなので、開腹手術は私には神業の領域です。
そんな私が思うのは、何事も(?!)シンプル イズ ベストなのかなぁと。
以前、子馬の鼠径部に広範囲に擦過傷が出来てしまい、軟膏を朝夕塗布していましたがよくならず、イソジン噴霧のシンプル処置に切り替えたら、こちらの方が良くなりました…
レベルも状況も違うので、やや見当違いのコメントですね…
失礼しましたm(_ _)m
治るための一番の要素は自然治癒力なんでしょうね。私達は自然治癒力がうまく働くように、邪魔しないように少し力を貸してやるだけのことが多いのだと思います。
外科手術もまた、自然治癒力がなければ傷つけて終わりです(悲)。