馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

競走馬の中足骨外顆骨折のscrew固定 ギプスとキャスト

2022-09-12 | 整形外科

ばたばたと忙しい日。

昼前、中足骨の縦骨折の依頼。

外側皮質へ開きそうだ、とのこと。

てっきり朝の調教でやったのだと思い、なんとか午後にできないか考えたが、午後も延ばしがたい予定で埋まっている。

翌日の午後にやることにした。

きちんとキャストを巻いておけば、1日を急ぐことはない、たぶん。

          -

付随情報を送ってもらったら、競馬場で発症して帰ってきた現役競走馬だった。

キャストをはずしてX線撮影して、またハーフリムキャストを巻いてくれていた。

透視装置で見ながらscrew固定した。

骨折線は圧迫されてほぼ見えなくなった。

screwより遠位にわずかに見えるだけ。

麻酔覚醒起立のためにハーフリムキャストを巻いた。

後肢にハーフリムキャストをしたら、吊起帯を着けて起立させてもらうようにしている。

一度、反対側へ倒れ、キャストした肢が下になる危ない立ち方だった。

吊起帯を着けていて良かった。

立ってしまえば問題ない。

数日後にはキャストははずしてもらって問題ないだろう。

         ーーー

「ギプスなきところに整形外科なし」

と言われるくらい、ギプスは整形外科では重要。

ギプスはオランダ語Gips;石膏から来ているらしい。

だから、ギ”ブ”スは間違い。

そして、「石膏ギプス」もおかしい。

だいたい、石膏なんてもう使わない。

英語ではキャスト cast と呼ばれている。

castは、映画やTVドラマの配役を「割り当てる」ことから来て、俳優やスタッフのことを指したりする。

鋳造、鋳型を指すこともあり、ギプスがcastと呼ばれるのはこちらだろう。

「はめる奴」「型はめ」って感じかな?

           /////////////

電子カルテになって、絵が描けなくなった。

あんなものは請求書だ。

診療の記録と言えない。

あんなものを記録にしていては臨床家はダメになる。

もともとダメだからあんなものを使っているのか?

 

 

 

 



2 コメント

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Unknown (はとぽっけ)
2022-09-12 21:58:11
 第3中足骨?きれいに縦に割れたていたようですが、危なかったですね
 骨折線の真ん中あたりにもスクリュウーを入れたくなるのは素人考えなのですね。
 電子カルテと”請求計算コンピューター”は別物でしょ?電子カルテ、いいと思うけど
 墨絵のような景色を墨絵で描いたような。どうしてか違和感を覚えるけれど、深呼吸したくなる。
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>はとぽっけさん (hig)
2022-09-12 23:30:19
画面では骨の左側に走る線が見えてますが、これは骨折ではありません。関節面近くscrewでとまっている、わずかに見えているところが骨折です。

電子カルテそのものが悪いわけではありません。今使っているシステムができが悪いのです。

これは水墨画っぽいですかね。ただの風景ではなく、空気感だったり、気温、風、湿り気、そしてそこに立っている人の心情まで伝わってくるようです。
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