以前にも書いたが、砂のぼりと蟻洞は同じものなのか、違うのか。違うとしたらどう違うのか?
以下、日本の馬の蹄の研究の第一人者JRAのK野先生からの受け売り。
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砂のぼりは蹄壁中層だけに限定された剥離性の空洞。
蟻洞は蹄壁中層と蹄壁内層の間にできた空洞。
しかし、「砂のぼり」は成書にきちんとした記載がほとんどなく、定義があいまいなままらしい。
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生産地では「砂のぼり」が多い。冬に多く、後肢に多く、蹄側に多い。
これは、蹄鉄を着けていない馬が、冬の凍った硬い土の上で蹄を傷めるからのようだ。
とくに後肢の外側蹄側壁は剥がれ易い。
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乗馬や競走馬では蟻洞が多い。前肢の蹄尖部に多い。
これは前肢の方が負重が大きく、調教によって反回時に蹄尖部に強い負荷がかかるから。
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蟻洞には白線裂から続発する白線裂型。ラメラウェッジの形成を伴う蹄葉炎型。基礎疾患が見つからない単純型蟻洞がある。
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しかし!「砂のぼり」が進行すると蹄壁中層と内層の境界へ達する。
こうなると蟻洞と「砂のぼり」を明確に区分する意味がない。
そこで、蟻洞と「砂のぼり」をまとめて、蹄壁剥離症とまとめてとらえる方が妥当かもしれない。
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蹄壁剥離症(蟻洞と「砂のぼり」)とは別に白線裂という病名もあるが・・・・・
白線裂は「蹄壁の下部と蹄底とを結合している白線が、腐って空洞となっているもの」 (「競走馬の歩みと蹄」;松原茂平先生)とされている。
空洞ができていなくても、白線に病変があるものは白線病と呼ばれる。
空洞ができていなくても白線が腐っている場合は、薄削するなどの対応をしないと、次回の装蹄までに白線型蟻洞になってしまうことがある。
そのため、空洞がなくても白線が腐っているばあいは白線病として対処が必要であることを明記したとのこと。
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気管洗浄液から分離されたのは・・・・・・・
Rhodococcus equi ロドコッカス・エクイ。
今年は、暖かいせいか、早生まれが多くなったせいか、ロドコッカス肺炎の発生が早いように思う。
ロドコッカス肺炎の確定診断には、菌分離が必要です。
その仔馬の肺炎がロドコッカスによるものだと確定診断しておくことは、治療方針、予防対策を立てる上で重要です。
ロドコッカスが気管洗浄液から分離されたら・・・・肺に膿の塊ができていると考えた方が良いです。
風邪とか、気管支炎などというものではないのです。
蟻洞は(一時的には外因であれ)蹄壁の剥離(離開)をもたらす力が蹄の内部にも存在しているように思います。
どちらも形態の表現が主眼のように思えまして、病因論を括り込めるだけの根拠にはなりにくいかとも思えます。
私の浅学では表現しづらいのですが、Hig先生のブログには読むだけではなく
書き込むことでもあちこち確認して考える機会を与えて頂いております(笑)
X線像の症例も興味深いですが、構造の複雑さと感染(非感染)のパターンの多様さがそのまま症例の多様さにつながっていると思います。
角質と真皮と結合組織と骨膜が密接であり、それぞれに起きる問題は異なる症状をもたらすのだろうと思います。
また、相互に機能が依存しているため、病因を切り分けるだけの病態の再現が相当難しいのだろうとも思います。
土壌等の細菌叢は環境条件に左右されると思います。湿地条件のクロストリジウム等は温度湿度の条件が整わないと多発しないけれども、撲滅もできないと感じるらいしつこいと思います。
保健所では検出できないと否定してくれますが、だから存在しないという事にはならないと思うのです(笑)
病名には、「細菌性」「外傷性」など原因がついていて、そのことが病態にとっても重要な意味を持っているものがありますね。生産地での砂のぼりは、感染して跛行して始めて病気として扱われている面もあります。その点では病態の主体は感染だとも言えるかもしれません。乗馬・競走馬の蟻洞はどうなんでしょうか。
蹄内部は外から見えないことが、発見の遅れと、病態の理解が進まない要因になっているのでしょう。
蹄の感染は特定の菌が役割を果しているのでしょうか?興味のあるところです。
右前肢、軽い蟻洞です。(黒蹄です)
いつからは正確にはわかりません。多分半年くらい前から?…もっと前から?
通常の装蹄時期より前に落鉄しやすかったです。しかし、他の蹄です。
気にしていたので、いつもコンコンと4蹄をノックして、音をチェックしていましたが、現在良好な蹄より、問題の蹄の方が健常な感じに思えました。が!
次の装蹄の時は、右前蹄の 先、外側に穴が発覚しました。
結構大きくてびっくりしました!!……が、本(馬)人は、至って元気、飼いも
常に完食。大勒でも押さえられない時がある位のエネルギー。
しかし、皮膚が弱く、季節の変わり目には、いつもケイクンを出します。
装蹄師さんは、「どんどん運動させて良いですよ!」と、
おっしゃってるので、ひとまずは、ホッとしていますが、
皮膚が弱い……すなわち、雑菌に弱い……
など、やはり、免疫力に問題が有るのでしょうか……
もちろん厩舎には、他の馬もたくさんいますが、他の馬に蟻洞は見受けられない様に思います。
私の馬は、ケイクン、湿疹、出易いです……。
馬の歳も有るのでしょうか?蟻洞は?………
もの言わぬ、多くの馬が、健康に過ごせる様、いろいろ教えて欲しいです……。
蟻洞ですか。いつも装蹄されていて、運動で蹄尖に負担がいつもかかる乗馬や競走馬に多いようです。
敷料がオガだと増えるとか、餌との関係なども言われていますが、実にケースバイケースなのでしょう。
カテゴリーの「蹄病」をクリックしていただくと、蹄に関する記事が出てきますので参考にして下さい。ヘイキューブの過給はチェックしてみる必要があるかもしれませんね。
装蹄師さんのおかげで、今は、かなりよくなりました!
あと、もう一削り!と言った所まで、降りて来ました。
相変わらず、本人(馬)は 元気です。
今は、白繋のケイクンがひどくこまっています。本当に皮膚が弱いのです・・・
かなりです・・・
とにかく乾かす、ホコリをとる、以外に何か良案があれば教えて下さい。
一時的には抗生物質を投与するという方法もありますが、私はお勧めしません。細菌感染があるので、抑えなければいけないのですが、抗生物質にたよらない方法をとりたいところです。人のアトピー性皮膚炎のようなものだと考えると良いのかもしれません(皮膚の専門家には違う!と叱られるかもしれませんが)。清潔にすることもたいせつですが、あんまり洗ったり刺激するとかえって悪化するようです。軟膏もピタリとはまると良くなるんですけど・・・
確かに、気にし過ぎて、洗い過ぎていたのかも分りません。
人様によっては、運動後の砂や泥を洗い流して・・・・ともおっしゃる
また別の考えでは、馬体がどんなに臭おうとも絶対(???)濡らさない・・・ともおっしゃる・・・(そんなご無体な…)
また、ミョーバン粉末がよいとの情報も・・・
トホホ・・・です。
それも度合いですね・・・
しばらくは、やわらか目ハケブラシで、ホコリ落として注意してみます。
なにせ、ヤツはちょっと何かあると、ものすごく大げさにアピールする所があり・・・
健康な時でも、装蹄師さんの単なる歩様チェックで、念入りに蹄触られた後
(オレはこっちの蹄、おかしいのか~~~!?)
と言わんばかりに、跛行しながら厩舎に帰る始末・・・
余談、長く、失礼致しました。