飛節は離断性骨軟骨症 OCD が多いので、生産地にいる私達がもっともよく関節鏡手術を行う関節だ。
子馬の細菌性関節炎も多い。
(左;飛節の致命的な骨折)
(右;足根骨の致命的な?骨折)
が、構造が複雑で、理解するのが難しい関節かもしれない。
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飛節は4つの関節腔からなっている。
足根下腿関節(脛骨距骨関節)、近位足根間関節、遠位足根間関節、足根中足骨関節、である。
ふつう、飛節の関節腔として意識されているのは、脛骨距骨関節である。
この関節はたいへん広く、よく動く。
円い距骨滑車の上に脛骨が乗っかっているので、構造上は非常に不安定に思える。
よく内側が腫れたとか、外側が腫れたとか、後まで腫れてきた。と関節液の増量を表現する人がいるが、1つの関節腔なので、柔らかいところが膨らみ、目立つところが腫れて見えるだけだ。
この脛骨距骨関節と近位足根間関節(距骨と足根骨の関節)はつながっている。
飛節(脛骨距骨関節)の関節鏡手術をすると、近位足根間関節へつながっている孔が見える。
脛骨距骨関節の骨軟骨片はそのポケットのような孔を通って、しばしば中心足根骨の前へ落ちるので、関節鏡で覗き込んで取り出さなければいけない。
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遠位足根間関節と足根中足骨間関節は8-38%の馬でつながっているとされている。
それぞれの関節腔を穿刺する方法があるのだが、つながっているかもしれないと思っていないと、関節内麻酔の結果を間違って解釈する可能性が出てくる。
足根間関節や足根中足骨関節は、DJD 変形性関節症を起こすことがある関節で、その場合、どの関節が痛みの元になっているか慎重に判断しなければならない。
かつては、痛みの元になっている関節腔をドリルで穿孔し、骨癒合を進めることで痛みを軽減しようとする治療が海外ではよく行われていたようだ。
近年は、痛い関節にアルコールを注入すると、ドリルで穿孔するより早く痛みが消えるようなので好まれている。
しかし、この関節内アルコール注射は、それに先立ってその馬の関節のつながりを確認しておかないと、DJDを進行させてしまいたくない関節にまでDJDを引き起こしてしまう可能性がある。
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104頭の馬で調べた報告では、12頭の馬で、遠位足根間関節は近位足根間関節(距骨と足根骨の関節)とつながっていたとされている。
この調査では遠位足根間関節と足根中足関節がつながっている馬は居なかった。
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左の馬は遠位足根間関節と足根中足関節の両方に問題があるように思われる。
右の馬は、遠位足根間関節だけの問題なのかもしれない。
いずれにしても、治療するならどの関節が痛みの元になっているのか慎重に調べる必要がある。
関節へのアルコールは毒性ありと漠然と思っていました。
速いおんまさんが望まれる世界なのでしょうけれど、怪我をしないおんまさんがいいなぁ、、、とも思います。
関節の名前の色分けはいいですね!画像にぬりえも楽しめましたし。(笑)
でも、致命的な、、、、は痛すぎて。
関節へのアルコールは毒性あり。です。その毒性で軟骨が壊され、化学的に関節融合されることで痛みを感じなくなるのでしょう。
無事これ名馬と言いますが。壊れるまで走る、鍛えられるとしたら、強い馬、速い馬ほど壊れるわけです。
x線画像から痛みを感じられる。名医の条件かもしれません。