ロドコッカス感染症の診断法としてのELISAには false positive も false negative もあることを書いた。
血清診断法ではあるのだが、「補助診断法として有効である」と私は抄録に書いている。
採血して、検査室へ送るだけなので、少ない手間で、多頭数実施することができる。
症状がない子馬たちの検診に使うもの良いだろうし、
病状把握の一部として使うこともできる。
確定診断法ではないので、少なからぬ致死的リスクが伴う抗菌剤治療の前には、気管洗浄液から菌分離を試みて確定診断しておくことが望ましい。
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新生子馬だけがロドコッカスに感染するのはIgGレベルが低いからではないか?
とは誰でも考えることだ。
私たちは、700頭ほどの子馬で、IgGとロドコッカス感染症の関係をかつて調べた。
IgGが800mg/dl以上の子馬と未満の子馬では、2倍ほどロド感染発症の率に差があった。
しかし、統計的には有意さは示せなかった。
IgGが低い子馬は、早く生まれたとか、小さく産まれたとか、生まれたときに弱かったとか、病気したとか、母馬を亡くしたとか、様々なマイナス要因を抱えていることが多い。
それらも感染要因、発症要因に含まれてくることも考えると、
IgGだけでは子馬をロドから守ることはできないのだろう。
そして、Rhodococcus equi 強毒株という奇妙な病原性を持った細菌に対する抵抗性で、大きな働きをしなければならないのは液性免疫よりは、細胞性免疫なのだろう。
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母馬をロドELISAで調べて抗体保有状況を調べようとする人も居る。
学術報告にもなっていて、年齢層が高い繁殖牝馬が抗体保有率が高いと述べられていたりするが、ウソだ。
同じ環境に居ても、母馬たちはロドコッカスなど物ともせず生活している。
抗原刺激を受け、抗体産生し、液性免疫で感染から身を守っているのではないのだ。
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診断用のロドELISAに用いている菌株はR.equi強毒株ではない。
強毒株を抗原として用いたELISAも行うことはできるが、どの子馬も強い反応を示して、感染子馬をスクリーングするのには役に立たない。
どの子馬も強毒株に感作され、強毒株への抗体を急いで作るのだ。
しかし、病巣を作られてしまった子馬は、病原性プラスミドを持たない株への抗体も量産してしまう。
それが血清診断にも使える、ということだ。
強毒株への抗体と相関しているかもしれないが、通常行っているELISAで検出しているのは強毒株への防御抗体ではない。
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同じ牧場に生まれて、同じ管理をされていてもRhodococcus equiに暴露されることに耐えていく子馬、
感染して病巣を作られてしまうが自力で克服していく子馬、
症状を示し病巣が大きくなり治療が必要になる子馬、
治療しても治らず予後不良になる子馬、と差が出る。
根本に何が違うのかは難しい。
風邪をひきやすい人と風邪なんて滅多にひかない人の差もわかっていないし、
コロナ(COVID19)で重症化する人とそうでない人の差も、年齢層や基礎疾患以外には知られていない。
COVID19ワクチン後も抗体価の推移だけが取り上げられているが、それは調べる方法があり調査しやすいからで、もっと大事なところはわかっていないのだろう。
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ほとんど病気したことがない丈夫なヤツだった。
10歳寸前で血管肉腫で死んだ。
ゴールデンレトリーヴァーの宿命であり、天寿であったかもしれない。
オラ君、天寿は時代とともにあるのでしょうね。
今朝の1曲
平井堅 ♪いとしき日々よ♪
どーぞ。 各自で
結核予防は未だに古典的方法が採られています。ロドは病気としてかなり似ているのですよね。