入れ替わり


Z9 + NIKKOR Z 50mm f/1.2 S

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知人があるショップのオーナーと、数ヶ月前から打ち合わせを続けてきた。
資材が高騰して今までの価格が維持できなくなり、それに替わる新製品を開発していたのだ。
ところが今になって、急遽先方からこの話は白紙に戻して欲しいとメールが来た。

驚いた知人は、ショップのオーナーに直接電話して事情を聞いた。
急激な円安のせいで、大きく計画が狂ってしまったのだという。
新製品どころか、事業そのものを見直す必要に迫られているらしい。

金融機関とも話し合った結果、事業の一部を縮小して、新しく仕入れることは止めて、在庫も圧縮することになったという。
生き残るためには、先の見通せない事業からは思い切って撤退し、可能性のある分野に絞るしかない、という結論に至ったのだそうだ。

ほんの数か月で、30円も円安になってしまったのだ。
今年初めに立てた計画では黒字が出る予定だったそうだが、円安による為替差損が膨大な額に膨らみ、毎月大きな赤字が出るようになってしまった。
新製品の開発を進めてきたが、今から新たな製品を売り出すほどの余力はなく、申し訳ないが話は無かったことにして欲しい・・ということであった。

海外から仕入れるものの価格がどんどん上昇している。
さらには輸送費も大幅に上がった。
そこに円安の直撃である。
もうどうしようもない状態で、価格を5割上げても合わないという。

中国や東南アジアから輸入したものには、ブランド力がまったく無いのが痛い。
品質面では悪く無いものだとしても、高級品として売ることは出来ない。
あくまで「お値打ち品」であり、値段を上げればピタリと売れなくなる。
結局はライバルとの値引き合戦となり、やがては原価割れを起こして商売として成り立たなくなる。

恐らく輸入に頼っているところは、多くが同じ状況に陥っているという。
国際情勢の激しい変化に、一方的に振り回されているのだ。
これから円安絡みの倒産が増えるだろう・・というのが、そのオーナーの予想であった。

知人によると、輸入品の販売が中心の得意先の中で、他にもそういうところが出始めているという。
この苦境をどう切り抜けるつもりなのか・・と聞いたところで、打つ手は無く答えは返ってこない。
この分だと、小さいところの多くは、何も出来ずに消えていくのではないか・・と知人は見ている。

一方でもう少し余力のあるところは、海外の製品が高騰した分、国内で何とか調達できないかと動いている。
そちらはそちらで右往左往しており、知人のところにも数社から問合せが来た。
しかしそういう会社は、価格で天秤にかけているだけなので、為替が戻ればまたあっさり向こうに戻っていくだろう。

いよいよ円安に耐え切れなくなってきたのか、急に動きが激しくなってきたのを感じると言う。
今までの得意先が消えて、新しいところから接触があり、どんどん入れ替わっていく。
その動きの激しさに知人も驚いているが、先の読めない現在の状況で、どう立ち回るべきなのか・・・
難しいところである。
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