今の腕時計


D800E + AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G

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最近は興味が靴に移ってしまい、時計の方はご無沙汰になっている。
しかし話題としては出なくても、毎日腕時計は身につけている。
かえって新しい動きが無い分、実際に使う機種が定まってきた。
日常に自然に取り込まれることで、自分にとっての時計の価値がはっきりしてきたと言えるだろう。

実は(ご存知かもしれないが・笑)僕は腕時計をたくさん持っている。
とはいっても高級品はごく一部で、大半はクォーツや二束三文のアンティークである。
数だけは多くて、積上げられた時計ケースに、それぞれしっかり収納されている。
時計ベルトとの相性を探るべく、ちょっと変わったものをみつけると、次々に落札していたからだ。

しかし実際に使うものは、数機種に限られている。
eBayなどで個人から購入した60年代以前のアンティークは、一日に数分狂うものがざらにある。
精度の面で実用性が低いので、日常に使うにはさすがに不便で、滅多にケースから出さなくなった。
時折眺めて楽しむ嗜好品である。

またクォーツは、機械式に比べるとどうしても趣味性に欠け、結局はどの機種も使わなくなってしまった。
電波時計だけは、正確な時間が必要な時に持ち出すが、腕につけて歩くことはほとんどない。
不思議な事に、電池で動く時計の場合、体がそれを敏感に察知するようで、着けていて何となく不快感がある。
あるいは機械式時計の発する規則的な鼓動を、無意識のうちに快く感じているのかもしれない。

では、どの機種を使うことが多いか。
以前にも一度書いたかもしれないが、あれから時を経ているので、現状を述べてみようと思う。

やはりというか、案の定というか、現在一番使用するのはオメガのシーマスター・アクアテラである。
無難・・といえばその通りなのだが、実用性と趣味性のバランスがいいのだろう。
白い文字盤に清潔感があるのがポイントで、意外に人の目にとまり、その時計いいね、と言われることも多い。
華があるのに嫌味が無いのが、この時計のいいところだ。

アクアテラのケースを中心に、その日の服装に応じてベルトを交換する。
黒くしたい時は、ジャン・ルソーのアンチスエットレザーのブラック、濃茶の場合は、同じくジャン・ルソーのカーフのブラウン、明るい茶色が欲しい場合は、J.C.ペランのバッファローのタンのベルトを付けている。
靴やズボンベルトの色とは、あえて一致させず、意図的にずらす事も多い。

一方仕事の時は、古い手巻きのロレックス・オイスター・デイトを使っている。
アクアテラと、時計のレイアウトは似ているのだが、性格的には正反対の存在と言っていいだろう。
こちらは徹底的にストイックで、華やかさを排した時計である。
文字盤は色褪せて薄茶色に変色しており、小さくて何の装飾もないのだが、意外にも腕の時計を目で追う人が多い。
地味過ぎて、かえって目立つようだ(笑)

仕事用としては、ベストに近い時計だと思う。
お葬式につけて行っても、驚くほどマッチする(笑)
最初は「凄みを感じさせるほどの普通さ」に感嘆したが、その時期を過ぎると、空気のように何も感じない存在になってきた。
購入した時に、お店の人から「半年くらい遊べますよ」と言われたが、まったくその通りで、最近は見ても特に感動は無く、純粋に道具として使っている。
そういう時計なのだろう。

オイスター・デイトには、現在J.C.ペランのバッファローの黒いベルトを付けている。
誂えたににしては、地味で面白みの無いベルトである。
特に気に入っている訳ではないのだが、この時計の場合、あまり目立って欲しくないので、そのベルトをつけたままにしている。
あまりに地味なので、もう一捻りしたものに、近く替えたいとは思っているが・・・

ウィークデイは、そのふたつの時計で済ますことが多い。
通勤時はアクアテラで、会社に着くとオイスター・デイトに付け替える。
それがひとつのパターンとして定着している。
一方休日は、もう少し自由な時計を選択する。

一番多いのは、ヴァシュロン・コンスタンタンのオーバーシーズだろう。
人知れず贅沢な気分に浸れる時計で、一応耐水性が高いので、それなりに実用性もある。
ただし少しメカが神経質なので、扱いは慎重に行わなければならない。
重いしベルトの交換も出来ないが、ステンレスのベルトの着け心地が極上なので許せてしまう。

もうひとつは、ユリス・ナルダンのサンマルコである。
あまりに鮮やかなブルーの文字盤ゆえ、存在感が強烈で、そこだけ異次元の世界になってしまう。
気楽につけて歩ける時計ではない。
典型的なチョイ悪系の時計といえるだろう。
僕のキャラクターとは合わないので、服装を合わせるのが大変である(笑)

針が少し見にくいのだが、実用性を求める時計ではない。
ただしクロノメーターなので精度は驚くほど高い。
ベルトはジャン・ルソーのシャークのブラックが定番になっている。

パテック・フィリップのカラトラバ3923は、一時よく休日につけて歩いていた。
しかし、ブランドの格からいって、普段使いにするのは、やはりおかしい。
わかる人にしかわからない時計ではあるが、そういう使い方だと、わかる人には嫌味に見えるかもしれない。
現在は出番を減らし、結婚式や御呼ばれの時にのみ使用するようにしている。
作りの精密感や、リューズを巻いた時に手に伝わる質感はさすがである。
ベルトはジャン・ルソーのアリゲーターのブラックと、J.C.ペランのクロコダイルのブラウンを、場に応じて使い分けている。

フレデリック・コンスタントのインデックス・オートマチックは、高級品ではないが、時折つけてみたくなる不思議な時計だ。
クリーンで端正で、大きさが程よいためか、物欲しげな感じがせず、知的に見える。
休日などに、ひとりで楽しむ時に着けることがある。
カン幅20mmと汎用性が高いこともあり、ベルトも自由な組合せが選べる。
かといってあまり高級なベルトもアンバランスなので、モレラートやヒルシュなど、既成品から程よいものを選んでいる。

大体以上が、現在実際に使うことのある時計である。
もうひとつ、あえて挙げるなら、ジャガー・ルクルトの2針アンティークがある。
非常に品のいい都会的な時計で、冠婚葬祭の時に、こちらを選ぶ時もある。
日本のお店で購入したので、ちゃんとメンテナンスが施されており、精度も実用範囲内に調整されている。
ルクルトには、ジャン・ルソーのオーストリッチのブラックのベルトをつけている。

こうしてみると、やはり比較的新しくてブランド力を持つ時計を、選んでいるのがわかる。
年齢から言って、あまりに若作りのものや、安っぽいものをするわけにもいかないのだ。
腕時計で時間を見ることは意外に多いので、ある程度の精度も保証してくれないと困る。

今後時計が増える事は少ないと思うが、それでもあと2、3、欲しい時計が無いわけではない。
またしばらく経つと、愛用の時計も変わっているかもしれない。
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