京都から更新している。親戚宅(寺)に寄宿し、母が暮らすケアハウスに通う日々が当分続く。
羽生3冠が糸谷八段の挑戦を3連勝で退け王座を守った。羽生は第2期叡王本戦トーナメント初戦で第1期を制した山崎を下し、「人類VSコンピューター最強対決」に一歩近づいた。羽生という巨大な壁に行く手を阻まれた糸谷と山崎は、共に森信雄門下だ。森の一番弟子である故村山聖八段の短い生涯を追った「聖の青春」(大崎善生著)が映画化され、11月に公開される。
原作を読んでいるが、HPにアップされた予告編を見ただけで号泣状態になる。死を踏まえて全力で生きた村山に、難病と闘って斃れた妹が重なってしまうからだろう。映画館にはタオル持参で足を運ぶつもりだ。村山を松山ケンイチ、羽生を東出昌大が演じるか、キャスティングの妙と感じたのは森役のリリー・フランキーだった、
WOWOWといえばスポーツと映画がメーンコンテンツだが、最近はドラマの充実が著しい。オリジナルドラマの質は地上波を凌駕しており、海外ドラマも話題作、問題作が次々にオンエアされる。時間に限りがあるので年に数本、決め打ちしているが、録画していた「ジャーナリスト事件簿~匿名の影」(再放送、全6話)を先日、一気に見て、深い感銘を覚えた。
「ミレニアム3部作」以降、世界を席巻する北欧ミステリーの一作で、舞台はノルウェーだ。続編製作が決定し、アメリカのFOXがリメーク権を入手したことも話題になっている。ネットなどITをフルに活用しながら、人間の心の深層に迫っていく作品で、デジタルとアナログの見事なコラボといえるだろう。
ノルウェーといえば最新の調査で,民主主義度世界1位、報道の自由度世界3位にランクされている。自由の精神、政治参加、情報公開、社会福祉が浸透した国だが、本作の背景にあるのは、政官財に加え大学、教会、メディアが醸成する濃密な闇だ。「日本とあまり変わらないな」と妙に安心してしまう。
軸になっているのは、<兄弟の相克と和解>だ。冒頭では毎話、同じ回想シーンが流れる。逃げる弟を追う兄が映し出され、棒が振り下ろされたかに思えた刹那、フェードアウトする。三十数年後、真逆の構図がノルウェーを震撼させる。敏腕ジャーナリストのペテルが、匿名の情報を元に金融界の大物である兄ダニエルの横領を暴露したのだ。
兄を告発したペテルに、世間は厳しい目を向ける。経済犯罪局の捜査でシロとされたから尚更だ。ペテルを家に呼んだダニエルは息子アンドレアスの保護を依頼した直後、自殺した。その日からペテルはアンドレアスにとって憎悪の対象になる。ダニエルはペテルとだけでなく、牧師である父トーレとも大きな確執を抱えてきた。
収束したかに思えた事件だが、ペテルの元に信じ難い情報がもたらされる。元恋人で犯罪捜査局員のヴィビケから「匿名の告発メールを送ったのはダニエル自身だった」と伝えられるのだ。数年後、ペテルとダニエルの妻エヴァ立ち会いの下で閲覧することを条件に、ダニエルの弁護士から資料が届く。
俺を含め日本人が本作を正しく理解出来ないのは、キリスト教が底にあるからだ。共犯者たちの絆は、信仰を守るため息子イサクを焼き殺したアブラハムの行い(創世記)に則っていた。<沈黙を守れば子供に手を出さない>という黙契が、ある事件によって<掟を破れば子供の命はない>の脅しにすり替わり、ペテルの目前で兄を含め3人の男が自ら命を絶つことになる。ちなみに、アブラハムを父トーレ、イサクをダニエルに置き換えることも可能かもしれない。
エヴァ、アンドレアス、そして元上司マティーセンも真相究明に協力するが、最も貢献したのは犯罪捜査局を辞したヴィビケだった。黙契を脅しに替えた張本人を知った上で再度見てみると、伏線はしっかりちりばめられていた。勘の鋭い人なら途中で気付くかもしれない。
北欧発の映画やドラマで感嘆させられるのは生活水準の高さだ。ノルウェーの1人当たりのGDPは日本の倍近いし、住居も立派だ。国の成り立ち、作り方を日本はどこかで間違えてしまったのだろうか。
羽生3冠が糸谷八段の挑戦を3連勝で退け王座を守った。羽生は第2期叡王本戦トーナメント初戦で第1期を制した山崎を下し、「人類VSコンピューター最強対決」に一歩近づいた。羽生という巨大な壁に行く手を阻まれた糸谷と山崎は、共に森信雄門下だ。森の一番弟子である故村山聖八段の短い生涯を追った「聖の青春」(大崎善生著)が映画化され、11月に公開される。
原作を読んでいるが、HPにアップされた予告編を見ただけで号泣状態になる。死を踏まえて全力で生きた村山に、難病と闘って斃れた妹が重なってしまうからだろう。映画館にはタオル持参で足を運ぶつもりだ。村山を松山ケンイチ、羽生を東出昌大が演じるか、キャスティングの妙と感じたのは森役のリリー・フランキーだった、
WOWOWといえばスポーツと映画がメーンコンテンツだが、最近はドラマの充実が著しい。オリジナルドラマの質は地上波を凌駕しており、海外ドラマも話題作、問題作が次々にオンエアされる。時間に限りがあるので年に数本、決め打ちしているが、録画していた「ジャーナリスト事件簿~匿名の影」(再放送、全6話)を先日、一気に見て、深い感銘を覚えた。
「ミレニアム3部作」以降、世界を席巻する北欧ミステリーの一作で、舞台はノルウェーだ。続編製作が決定し、アメリカのFOXがリメーク権を入手したことも話題になっている。ネットなどITをフルに活用しながら、人間の心の深層に迫っていく作品で、デジタルとアナログの見事なコラボといえるだろう。
ノルウェーといえば最新の調査で,民主主義度世界1位、報道の自由度世界3位にランクされている。自由の精神、政治参加、情報公開、社会福祉が浸透した国だが、本作の背景にあるのは、政官財に加え大学、教会、メディアが醸成する濃密な闇だ。「日本とあまり変わらないな」と妙に安心してしまう。
軸になっているのは、<兄弟の相克と和解>だ。冒頭では毎話、同じ回想シーンが流れる。逃げる弟を追う兄が映し出され、棒が振り下ろされたかに思えた刹那、フェードアウトする。三十数年後、真逆の構図がノルウェーを震撼させる。敏腕ジャーナリストのペテルが、匿名の情報を元に金融界の大物である兄ダニエルの横領を暴露したのだ。
兄を告発したペテルに、世間は厳しい目を向ける。経済犯罪局の捜査でシロとされたから尚更だ。ペテルを家に呼んだダニエルは息子アンドレアスの保護を依頼した直後、自殺した。その日からペテルはアンドレアスにとって憎悪の対象になる。ダニエルはペテルとだけでなく、牧師である父トーレとも大きな確執を抱えてきた。
収束したかに思えた事件だが、ペテルの元に信じ難い情報がもたらされる。元恋人で犯罪捜査局員のヴィビケから「匿名の告発メールを送ったのはダニエル自身だった」と伝えられるのだ。数年後、ペテルとダニエルの妻エヴァ立ち会いの下で閲覧することを条件に、ダニエルの弁護士から資料が届く。
俺を含め日本人が本作を正しく理解出来ないのは、キリスト教が底にあるからだ。共犯者たちの絆は、信仰を守るため息子イサクを焼き殺したアブラハムの行い(創世記)に則っていた。<沈黙を守れば子供に手を出さない>という黙契が、ある事件によって<掟を破れば子供の命はない>の脅しにすり替わり、ペテルの目前で兄を含め3人の男が自ら命を絶つことになる。ちなみに、アブラハムを父トーレ、イサクをダニエルに置き換えることも可能かもしれない。
エヴァ、アンドレアス、そして元上司マティーセンも真相究明に協力するが、最も貢献したのは犯罪捜査局を辞したヴィビケだった。黙契を脅しに替えた張本人を知った上で再度見てみると、伏線はしっかりちりばめられていた。勘の鋭い人なら途中で気付くかもしれない。
北欧発の映画やドラマで感嘆させられるのは生活水準の高さだ。ノルウェーの1人当たりのGDPは日本の倍近いし、住居も立派だ。国の成り立ち、作り方を日本はどこかで間違えてしまったのだろうか。