永六輔さんが亡くなった。気骨とユーモアに溢れ、多彩な分野で活躍した戦中派の死を心から悼みたい。ともに中年御三家を結成した小沢昭一さん、野坂昭如さん、そして菅原文太さんと、芯のある人たちが相次いで召されている。
参院選について、俯瞰、あるいはロングの視線で分析した論考に幾つも目を通した。小人たる俺は、インサイダーとして関わったこの1年について記したい。
緑の党アジア太平洋会議に日本代表団の一員としてニュージーランドに赴いた三宅洋平氏は、臨時党大会(昨年7月)にもオブザーバーとして参加する。東京選挙区での出馬を数カ月、要請してきたが、固辞される。市民派には痛手だったが、佐藤かおりさん(女性と人権全国ネットワーク共同代表)が手を挙げてくれた。公示直前の三宅氏の立候補は青天の霹靂だったが、俺は三宅氏の当選と佐藤さんの供託金クリアに期待した。
<言霊>と<チャランケ>を頻繁に用いる三宅氏を、当ブログで絶賛してきた。チャランケとは膝を突き詰めて語り合えば理解に至るという意味(アイヌ語)で、多様性を重視する三宅氏に相応しい。バーニー・サンダースやポデモスについて早くから言及しており、直接民主主義が議会を変えた世界の潮流を認識している。
緑の党の比例区候補として出馬した前回、三宅氏は東京で6万票以上を獲得した。この数字が基礎票といえるが、一方の佐藤さんは全くの無名で、<弱者に光を>という訴えも7万人弱にしか届かなかった。聴く者の心を飛翔させる三宅氏、社会と個の痛みを紡ぐ佐藤さん……。対照的な両者の言葉に耳を傾ける人は、さらに増えていくはずだ。
佐藤さんのビラを心待ちにしていそうなアパートや一戸建てを中心に、ポスティングを担当した。行く先々で出くわしたのは公明党や共産党のポスターである。<組織票≒悪>と決めつける人もいるが、公明党と共産党は互助会的な要素が強い。困った時に助け合う関係の構築は学ぶべきではないか。ちなみに、「東京選挙区では公示前のポスティングが50万枚、投票直前はひたすら電話作戦」と某党の選対関係者が話していた。三宅氏をもってしても、風だけでは当選圏に届かないのだ。
無為に過ごした自身の反省を込め、2年前、30年ぶりに政治の現場に復帰した。このままでは若い世代は大変なことになる、このままじゃ死ねないという思いはお節介なのか。安保法制を成立させ、福祉切り捨てに邁進する自公政権を若者たちは支持している。数字で表れた事実に、無力感を覚えた。
<永田町の地図>でしか政治を量れない保守派――左右の切り分けではなく現状肯定派――が、いまだ幅を利かせている。〝熱い夏〟の最大の功労者だった小林節氏が、反戦争法、辺野古基地建設反対、反TPP、脱原発、格差と貧困の是正etcを掲げて「国民怒りの声」を立ち上げた時、メディアや自称リベラルは「パイを奪い合うだけ」と否定的な対応に終始した。俺はその時、確信した。欧米や香港、台湾で起きた<国会の地図>を外から廃棄する地殻変動は、この国では起きないだろうと……。
都知事選はどうか。報道されている多くは誤りだ。先月末、<野党統一候補は古賀茂明氏>という流れになったが、民進党のストップで頓挫する。その後、〝本籍自民党〟の長島昭久、〝改憲派〟の松沢成文の両氏をダミーに、水面下で様々な動きがあった。最初からダメ出しされていた古賀氏はピエロで、民進党と立ち位置が対極の宇都宮氏は、<野党統一>の紋所に泥を塗るヒールになるだろう。
前回の知事選から2年半、宇都宮氏は支援者と都議会に足を運び、都政について提言してきた。鳥越俊太郎氏の見識を疑う余地はないが、立候補会見はどこか要領を得なかった。心の中で<永田町の地図>を燃やした俺は、〝日本のサンダース〟こと宇都宮氏を応援する。いや、サンダースこそ〝アメリカのウツケン〟と呼ぶべきという声もある。宇都宮氏はこれまで統一地方選で緑の党の候補、そして今回の参院選でも佐藤さんに寄り添ってくれた。恩を返さないと罰が当たる。
もし、宇都宮氏が降りたら……。地殻変動に向けて、不自由な選挙制度の改革、武器輸出反対運動に協力し、脱成長を学ぶ。さらに、自由の気風を育む様々なイベントに参加と、アラカンには結構ハードだ。
参院選について、俯瞰、あるいはロングの視線で分析した論考に幾つも目を通した。小人たる俺は、インサイダーとして関わったこの1年について記したい。
緑の党アジア太平洋会議に日本代表団の一員としてニュージーランドに赴いた三宅洋平氏は、臨時党大会(昨年7月)にもオブザーバーとして参加する。東京選挙区での出馬を数カ月、要請してきたが、固辞される。市民派には痛手だったが、佐藤かおりさん(女性と人権全国ネットワーク共同代表)が手を挙げてくれた。公示直前の三宅氏の立候補は青天の霹靂だったが、俺は三宅氏の当選と佐藤さんの供託金クリアに期待した。
<言霊>と<チャランケ>を頻繁に用いる三宅氏を、当ブログで絶賛してきた。チャランケとは膝を突き詰めて語り合えば理解に至るという意味(アイヌ語)で、多様性を重視する三宅氏に相応しい。バーニー・サンダースやポデモスについて早くから言及しており、直接民主主義が議会を変えた世界の潮流を認識している。
緑の党の比例区候補として出馬した前回、三宅氏は東京で6万票以上を獲得した。この数字が基礎票といえるが、一方の佐藤さんは全くの無名で、<弱者に光を>という訴えも7万人弱にしか届かなかった。聴く者の心を飛翔させる三宅氏、社会と個の痛みを紡ぐ佐藤さん……。対照的な両者の言葉に耳を傾ける人は、さらに増えていくはずだ。
佐藤さんのビラを心待ちにしていそうなアパートや一戸建てを中心に、ポスティングを担当した。行く先々で出くわしたのは公明党や共産党のポスターである。<組織票≒悪>と決めつける人もいるが、公明党と共産党は互助会的な要素が強い。困った時に助け合う関係の構築は学ぶべきではないか。ちなみに、「東京選挙区では公示前のポスティングが50万枚、投票直前はひたすら電話作戦」と某党の選対関係者が話していた。三宅氏をもってしても、風だけでは当選圏に届かないのだ。
無為に過ごした自身の反省を込め、2年前、30年ぶりに政治の現場に復帰した。このままでは若い世代は大変なことになる、このままじゃ死ねないという思いはお節介なのか。安保法制を成立させ、福祉切り捨てに邁進する自公政権を若者たちは支持している。数字で表れた事実に、無力感を覚えた。
<永田町の地図>でしか政治を量れない保守派――左右の切り分けではなく現状肯定派――が、いまだ幅を利かせている。〝熱い夏〟の最大の功労者だった小林節氏が、反戦争法、辺野古基地建設反対、反TPP、脱原発、格差と貧困の是正etcを掲げて「国民怒りの声」を立ち上げた時、メディアや自称リベラルは「パイを奪い合うだけ」と否定的な対応に終始した。俺はその時、確信した。欧米や香港、台湾で起きた<国会の地図>を外から廃棄する地殻変動は、この国では起きないだろうと……。
都知事選はどうか。報道されている多くは誤りだ。先月末、<野党統一候補は古賀茂明氏>という流れになったが、民進党のストップで頓挫する。その後、〝本籍自民党〟の長島昭久、〝改憲派〟の松沢成文の両氏をダミーに、水面下で様々な動きがあった。最初からダメ出しされていた古賀氏はピエロで、民進党と立ち位置が対極の宇都宮氏は、<野党統一>の紋所に泥を塗るヒールになるだろう。
前回の知事選から2年半、宇都宮氏は支援者と都議会に足を運び、都政について提言してきた。鳥越俊太郎氏の見識を疑う余地はないが、立候補会見はどこか要領を得なかった。心の中で<永田町の地図>を燃やした俺は、〝日本のサンダース〟こと宇都宮氏を応援する。いや、サンダースこそ〝アメリカのウツケン〟と呼ぶべきという声もある。宇都宮氏はこれまで統一地方選で緑の党の候補、そして今回の参院選でも佐藤さんに寄り添ってくれた。恩を返さないと罰が当たる。
もし、宇都宮氏が降りたら……。地殻変動に向けて、不自由な選挙制度の改革、武器輸出反対運動に協力し、脱成長を学ぶ。さらに、自由の気風を育む様々なイベントに参加と、アラカンには結構ハードだ。