「あいときぼうのまち」について記す予定だったが、外せないテーマが見つかったので、次稿に回すことにする。
先週末から吉報が相次いだ。「海砂市叙景」で感銘を受けた熊切和嘉監督の最新作「私の男」が、モスクワ映画祭でグランプリに輝く。音楽は「海砂市叙景」同様、ジム・オルーク(元ソニック・ユース)が担当し、ヒロインは「ヒミズ」、「地獄でなぜ悪い」(ともに園子温監督)で強烈な印象を受けた二階堂ふみである。
POG1位指名のティルナノーグが、前評判ほど弾けなかったもののデビュー戦を飾った。W杯では決勝トーナメント1回戦で、40年来応援しているオランダが、絶体絶命から逆転勝利を収めた。「いい流れだ、この勢いで」と吉報を心待ちした杉並区議補選だが、夢は現実にならなかった。
11人が立候補し、組織票を持つ自民、生活者ネットワーク、共産の3人が当選した。他にも民主、みんなの党、生活の党の公認候補、元職3人が顔を揃える中、地盤も知名度もない川野たかあき候補(緑の党推薦)は、6位とはいえ8000票強を獲得する。投票率が30%弱では浮動票頼みの候補には厳しい。
先週土曜日、選挙戦最終日に応援に駆け付けた。<ミッション1>は、街宣場所の荻窪駅北口から少し離れたドン・キホーテ前のロータリーで、横断歩道を渡ってくる人、バスを降りた人に、ラウンドガールよろしくクルクル体を回しながらパネルを見てもらうことだが、反応はイマイチだった。若者は「変なおっさんが宣伝してる。パチンコ?」ってな具合。中高年は一応見てくれるが、「川野って誰?」と怪訝な表情を浮かべている。
<ミッション2>は重要で目立つ任務だった。宇都宮健児氏の後ろに立ち、「応援弁士 宇都宮けんじ」と書かれたパネルを掲げることだ。愛嬌も機動力もない俺にピッタリとの判断だろうが、数少ない当ブログの読者は、俺が膝と肩の痛みを癒やすため接骨院に通っていることはご存じだ。風が強く、支えるのはホネだった。前に倒れて宇都宮氏の脳天直撃となれば……。俺は応援団長のように必死の思いで、旗ならぬパネルを掲げ続けた。立ち位置が変わると、聴衆の反応がビビッドに伝わってくる。宇都宮氏の説得力ある演説はさすがというしかない。
俳優だった川野さんは山本太郎議員に誘われ、反原発の思いを引っ提げ政治の世界に入った。だが、自身の演説では認可保育園と緊急一時保育の拡充、区内の非正規雇用削減、低所得者への家賃援助、健康保険無資格者ゼロ、特養ホームの増設など、生活に即した主張を繰り返していた。
俺が思い出したのは、都知事選の際の星野智幸のブログだ。原発にテーマを特化した細川陣営を批判し、以下のように記していた。
<ただ生命を維持しているだけとしかいいようがない若者の貧困、孤立する高齢者の一人暮らしや夫婦等々、今この一瞬が死活問題として、生死の瀬戸際に立たされている人がものすごくたくさんいる。広く捉えれば、福祉の問題ということになる>
福祉の充実を前面に出した川野さんは、来年の統一地方選で再チャレンジするという。「落選したら鳶の仕事やるかな」と話していたように、川野さんは37年間、逞しく世を渡ってきた。今回の得票数があれば、緑の党推薦候補で川野さん以外、もう1人、いや2人の当選も可能だと思う。再度の機会はもちろん、地元(中野区)で立つ人がいれば縁の下で協力したい。
当日午後は川内原発再稼働反対集会が明治公園で開催された。ハシゴも考えていたが、応援の方を優先する。緑の党で反原発その他の政治的課題に先頭で取り組んでいるのは杉原さんだ。デモを終えて合流した杉原さんと、公職選挙法の矛盾について話した。ビラやチラシを聴衆に撒くことはできず、積極的に尋ねてきた人のみに配布可能という縛りがある。供託金制度は治安維持法と軌を一に発布された普選法の精神を現在に置き換えたものだ。先進国に例を見ない不自由な制度は、日本が民主国家ではないことを端的に示している。
ラストデーしか応援できなかったけど、自由の胚胎を感じることができた。役に立たないアラカン男に出来ることは限られているが、政治を動かすエンジンが義理と人情であることは重々承知している。緑の党に入会してからまだ4カ月だが、高邁な意志と熱い気持ちを併せ持つ人たちと出会えた。世界が広がった気がする。
先週末から吉報が相次いだ。「海砂市叙景」で感銘を受けた熊切和嘉監督の最新作「私の男」が、モスクワ映画祭でグランプリに輝く。音楽は「海砂市叙景」同様、ジム・オルーク(元ソニック・ユース)が担当し、ヒロインは「ヒミズ」、「地獄でなぜ悪い」(ともに園子温監督)で強烈な印象を受けた二階堂ふみである。
POG1位指名のティルナノーグが、前評判ほど弾けなかったもののデビュー戦を飾った。W杯では決勝トーナメント1回戦で、40年来応援しているオランダが、絶体絶命から逆転勝利を収めた。「いい流れだ、この勢いで」と吉報を心待ちした杉並区議補選だが、夢は現実にならなかった。
11人が立候補し、組織票を持つ自民、生活者ネットワーク、共産の3人が当選した。他にも民主、みんなの党、生活の党の公認候補、元職3人が顔を揃える中、地盤も知名度もない川野たかあき候補(緑の党推薦)は、6位とはいえ8000票強を獲得する。投票率が30%弱では浮動票頼みの候補には厳しい。
先週土曜日、選挙戦最終日に応援に駆け付けた。<ミッション1>は、街宣場所の荻窪駅北口から少し離れたドン・キホーテ前のロータリーで、横断歩道を渡ってくる人、バスを降りた人に、ラウンドガールよろしくクルクル体を回しながらパネルを見てもらうことだが、反応はイマイチだった。若者は「変なおっさんが宣伝してる。パチンコ?」ってな具合。中高年は一応見てくれるが、「川野って誰?」と怪訝な表情を浮かべている。
<ミッション2>は重要で目立つ任務だった。宇都宮健児氏の後ろに立ち、「応援弁士 宇都宮けんじ」と書かれたパネルを掲げることだ。愛嬌も機動力もない俺にピッタリとの判断だろうが、数少ない当ブログの読者は、俺が膝と肩の痛みを癒やすため接骨院に通っていることはご存じだ。風が強く、支えるのはホネだった。前に倒れて宇都宮氏の脳天直撃となれば……。俺は応援団長のように必死の思いで、旗ならぬパネルを掲げ続けた。立ち位置が変わると、聴衆の反応がビビッドに伝わってくる。宇都宮氏の説得力ある演説はさすがというしかない。
俳優だった川野さんは山本太郎議員に誘われ、反原発の思いを引っ提げ政治の世界に入った。だが、自身の演説では認可保育園と緊急一時保育の拡充、区内の非正規雇用削減、低所得者への家賃援助、健康保険無資格者ゼロ、特養ホームの増設など、生活に即した主張を繰り返していた。
俺が思い出したのは、都知事選の際の星野智幸のブログだ。原発にテーマを特化した細川陣営を批判し、以下のように記していた。
<ただ生命を維持しているだけとしかいいようがない若者の貧困、孤立する高齢者の一人暮らしや夫婦等々、今この一瞬が死活問題として、生死の瀬戸際に立たされている人がものすごくたくさんいる。広く捉えれば、福祉の問題ということになる>
福祉の充実を前面に出した川野さんは、来年の統一地方選で再チャレンジするという。「落選したら鳶の仕事やるかな」と話していたように、川野さんは37年間、逞しく世を渡ってきた。今回の得票数があれば、緑の党推薦候補で川野さん以外、もう1人、いや2人の当選も可能だと思う。再度の機会はもちろん、地元(中野区)で立つ人がいれば縁の下で協力したい。
当日午後は川内原発再稼働反対集会が明治公園で開催された。ハシゴも考えていたが、応援の方を優先する。緑の党で反原発その他の政治的課題に先頭で取り組んでいるのは杉原さんだ。デモを終えて合流した杉原さんと、公職選挙法の矛盾について話した。ビラやチラシを聴衆に撒くことはできず、積極的に尋ねてきた人のみに配布可能という縛りがある。供託金制度は治安維持法と軌を一に発布された普選法の精神を現在に置き換えたものだ。先進国に例を見ない不自由な制度は、日本が民主国家ではないことを端的に示している。
ラストデーしか応援できなかったけど、自由の胚胎を感じることができた。役に立たないアラカン男に出来ることは限られているが、政治を動かすエンジンが義理と人情であることは重々承知している。緑の党に入会してからまだ4カ月だが、高邁な意志と熱い気持ちを併せ持つ人たちと出会えた。世界が広がった気がする。