酔生夢死浪人日記

 日々、思いついたさまざまなことを気ままに綴っていく

小沢、サルコジ、天皇賞etc~春の雑感あれこれ

2012-04-28 20:12:42 | 戯れ言
 1980年代半ば、帰省した俺に、父は「この男はいずれ天下を取る」と予言した。この男とは当時、〝竹下派七奉行〟のひとりとして表舞台に登場したばかりの小沢一郎氏である。父は政治通ではなかった。根拠は姓名判断で、父は鑑定家レベルといえるほどその方面に明るかった。予言はほぼ的中したが、決定的な反証が身近にいた。パーフェクトな名を授けながら、期待にそぐわぬ息子である。

 姓名判断などハナから信じていなかった俺だが、齢を重ねるうちに感じ方が変わってきた。俺には能力がなく、善根を積んでいるわけでもない。遊びには精力を注ぐが、世を渡る努力とは無縁だ。そんな老いたキリギリスが不景気のさなか、〝素浪人ライフ〟を満喫している。命名による開運だとしたら、父に感謝するしかない。

 強制起訴されていた小沢氏に無罪判決が下った。<小沢=絶対悪>の世論誘導には違和感を覚えていたが、いまだ〝小沢幻想〟に憑かれている信者には首をかしげざるをえない。3・11以降、小沢氏が原発の是非を含むエネルギー問題で提言したことはあっただろうか。東北選出議員として被災地で汗水流したという報道もなかった。小沢氏は政治家としての肝というべき<発信力>が欠落している。TPPについても、小沢氏は沈黙を守った。消費税増税反対は正しいが、内実より<マニフェストを裏切った>という筋論に終始している。

 3・11以降、政治の世界に地殻変動の兆しが見える。小野寺五典衆院議員(自民党、宮城6区)は震災後、選挙区(気仙沼など)を回って特定郵便局の役割を実感し、「郵政民営化に賛成してよかったのか自問自答した」(論旨)と語っていた。小泉政権時に席巻した従米と排外主義に則った<居丈高なショナリズム>は収まり、経済発展より環境を重視し、絆や子供たちの未来を最優先に考える<柔らかなナショナリズム>が浸透しつつある。

 TPP反対や脱原発はその流れを示す例で、民族派、保守、中道、リベラル、左派が恩讐を超えて共闘するケースが頻繁に見られる。永田町の政局に拘泥する小沢氏とその周辺が新たな動きをキャッチし、潮流の軸になるとは到底思えない。

 来月6日の決選投票に世界の耳目が集まるが、サルコジ仏大統領は虚偽の演説でピンチに立たされている。昨年春の来日時、東京止まりだったのに、「福島に行った」と事実と異なる内容を語ったことが問題になっている。

 サルコジ大統領の顧問といえばジャック・アタリだ。その著作「21世紀の歴史」(06年)は示唆に富む内容だったが、リーマン・ショックと世界同時不況という現実が、同書を名著の座から引きずり下ろす。アタリはAIGとシティ・グループを絶賛し、多くのフランス人が信じる公平、平等といった価値に冷淡だった。サルコジ≒アタリは明らかで、サルコジが新自由主義をフランスに導入した結果、軋轢が生じる。フランスの伝統に立脚する<柔らかなナショナリズム>と、移民排斥やEU脱退を主張する<居丈高なナショナリズム>が、反サルコジの機運を形成しているようだ。

 役所広司、萩尾望都、辻原登が紫綬褒章を受章する。〝発見〟したばかりの辻原の名に複雑な思いがするが、日本の作家や映画監督は、作品と勲章は別物と考えているらしい。「苦界浄土」などで水俣病を告発した石牟礼道子さんにまで叙勲の内示があったというから驚きだが、当然のように断った。ちなみに、〝本籍アメリカ〟の小泉元首相は、叙勲制度そのものに疑義を呈していた。

 昨日(27日)の朝日1面に興味深い記事が掲載された。天皇、皇后の意思を受けた宮内庁は、<葬送の簡略化>を検討しているという。俺は当ブログで、昭和天皇や皇室の構造的な在り方を批判してきたが、現在の天皇には親近感を抱くことさえある。中道からリベラル、左派は好意的で、保守派は距離感を覚える……。現在の天皇は歴史上、例を見ない奇妙な座標に位置している。

 04年秋の園遊会で、「日の丸掲揚、君が代斉唱が日本中の学校で行われるように尽力しています」と得意げに語りかけた米長邦雄9段(現将棋連盟会長、当時東京都教育委員)を、天皇は「強制にならないことが望ましい」と諌めた。天皇と皇后は3・11後、高濃度の放射能が計測された福島県内にも足を運び、被災者を慰問した。天皇は左翼色の濃い沖縄の地方紙を購読しており、「選挙権があったら護憲派の社会党に投票するのでは」なんてジョークがかつて語られたこともあった。<葬送の簡略化>指示は、天皇の民主主義への理解の深さゆえと考える。

 最後に天皇賞予想、いや、その前に青葉賞の結果について。POG指名馬フェノーメノ(怪物の意味)が快勝し、ダービーで皐月賞上位馬に挑む。これまでディープブリランテに頼っていたPOGで、フェノーメノが新エースになった。ダービーは夢の2頭出しになる。継続騎乗の可能性が高い蛯名を勝利騎手インタビューで見て驚いた。43歳とは思えないギラギラしたオーラが溢れていたからだ。

 初騎乗で結果を出した蛯名と対照的に、フェノーメノで2度へぐった岩田が男を下げた形になる。乗りに乗っている蛯名、自分の腕を証明したい岩田は今頃、打倒オルフェーヴルの秘策を練っているに違いない。前走で狂気の血を覗かせたオルフェが大外18番枠に入り、俄然面白くなった。

 今年7勝と絶不調の藤田の奮起にも期待し、馬券は⑧ギュスターヴクライ(蛯名)、⑮ヒルノダムール(藤田)、⑯トーセンジョーダン(岩田)、⑱オルフェーヴル(池添)の3連単ボックス24点で。あしたは久しぶりにWIN5を買う予定だ。


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