湯浅健二著「日本人はなぜシュートを打たないのか?」(アスキー新書)
私はサッカーファンを自認していながら、うかつにも湯浅健二氏のことはまったく知りませんでした。
今回上記の本を購入し、始めて湯浅氏の言説に触れることができました。
まず、湯浅氏のホームページ情報から、氏の経歴をチェックしておきます。
1952年 生まれ
1971年 神奈川県立湘南高等学校卒業(サッカー部に在籍)
1976年 武蔵工業大学 機械工学科卒業
1976年 ドイツ留学 ケルン国立体育大学およびケルン総合大学(哲学・社会学)入学
1977年 ドイツサッカー協会公認指導者資格「B級ライセンス」取得
1979年 ドイツサッカー協会公認指導者資格「A級ライセンス」取得
1981年 「サッカー教師養成コース」国家試験およびドイツサッカー協会公認試験に合格
1982年 読売サッカークラブ(現東京ヴェルディー)と、専業コーチとして契約
1983年より、同クラブトップチーム監督に就任したドイツ人プロ監督、グーテンドルフ氏のコーチ(パートナー)として日本リーグ、天皇杯、JSLカップなどに優勝
1986年 読売サッカークラブ退団 退団後、現在の会社を設立
現在 ●株式会社APインターナショナル代表 ●ドイツサッカーコーチ連盟会員
本の表題は「日本人はなぜシュートを打たないのか?」であり、帯には「『決定力不足』は、日本代表だけではない」と書かれていますが、本の内容はこのようなテーマに限定されるものではありません。氏の体験に基づき、「サッカーの試合に勝つためにはいかになすべきか」のノウハウ全般が書かれています。
氏のドイツ留学時代、所属していたアマチュアサッカーチームでの諸々のできごとをエピソードとし、そこから体得したサッカーの極意が語られます。実体験に基づいているので、いちいち納得できます。
今まで、これほど知的なサッカー談義をあまり聞いたことがなかったように思います。それほど新鮮でした。
○ 攻撃において、ボールがないところでのフリーランニングが大事で、何回ムダ走りになろうとも、それを繰り返さなければいけない(汗かきプレー、クリエイティブなムダ走り)。
○ 守備において、相手のボールホルダーを自由にプレーさせない「守備の起点」となることが大事。そのためには、全力ダッシュで開いてボールホルダーにチェイス&チェックを実行しなければならない。それが守備における「クリエイティブなムダ走り」だ。
そして、仲間と協力する組織的なディフェンスで相手からボールを奪取する。
○ 全員攻撃、全員守備のトータルフットボールでは、守備での汗かきプレーや、攻撃におけるボールがないところでのクリエイティブなムダ走りなど、攻守にわたってしっかりと動き(走り)つづけることが要求される。
○ 許されざる「アリバイ守備」
ジーコジャパン当時のあるゲームで、天賦の才には恵まれているその選手は、自分のパスミスでボールを奪われたにもかかわらず、突っ立って様子をうかがうだけになっていた。傍観するその選手のわきを中田英寿が二度もすり抜け、全力ダッシュで相手にチェイスしていった。
○ サッカーは本物の心理ゲームである
心理的な悪魔のサイクルに陥ると、その試合においてチーム力はがた落ちになる。監督が心理マネージャーとして選手全体の意識を高揚することにより、チーム力は大幅に増強する。
(これを可能にする監督の能力を、湯浅氏は「パーソナリティー」と表現していますが、日本語で当てはめるとすれば「人間力」でしょうか。)
自身の経験に基づく湯浅氏のサッカー理論は、日本代表のオシム監督の考え方(考えて、走る)とぴったり一致しているようです。
しかし、今から30年も前の、ドイツのアマチュアチームでの経験が、現在の日本代表にとっても新鮮であるほどの知識になり得る、ということが本当にあり得ることなのか、信じがたい気もします。日本のサッカーはそれほどに遅れているのでしょうか。
もし本当に日本のサッカーが遅れているのだとしたら、湯浅氏の見識をぜひ日本サッカーの高揚に向けて生かして欲しいと思うのですが、なぜ表舞台に出ていらっしゃらないのでしょうか。
日本人はなぜシュートを打たないのか? (アスキー新書 018) (アスキー新書 18)湯浅 健二アスキーこのアイテムの詳細を見る |
私はサッカーファンを自認していながら、うかつにも湯浅健二氏のことはまったく知りませんでした。
今回上記の本を購入し、始めて湯浅氏の言説に触れることができました。
まず、湯浅氏のホームページ情報から、氏の経歴をチェックしておきます。
1952年 生まれ
1971年 神奈川県立湘南高等学校卒業(サッカー部に在籍)
1976年 武蔵工業大学 機械工学科卒業
1976年 ドイツ留学 ケルン国立体育大学およびケルン総合大学(哲学・社会学)入学
1977年 ドイツサッカー協会公認指導者資格「B級ライセンス」取得
1979年 ドイツサッカー協会公認指導者資格「A級ライセンス」取得
1981年 「サッカー教師養成コース」国家試験およびドイツサッカー協会公認試験に合格
1982年 読売サッカークラブ(現東京ヴェルディー)と、専業コーチとして契約
1983年より、同クラブトップチーム監督に就任したドイツ人プロ監督、グーテンドルフ氏のコーチ(パートナー)として日本リーグ、天皇杯、JSLカップなどに優勝
1986年 読売サッカークラブ退団 退団後、現在の会社を設立
現在 ●株式会社APインターナショナル代表 ●ドイツサッカーコーチ連盟会員
本の表題は「日本人はなぜシュートを打たないのか?」であり、帯には「『決定力不足』は、日本代表だけではない」と書かれていますが、本の内容はこのようなテーマに限定されるものではありません。氏の体験に基づき、「サッカーの試合に勝つためにはいかになすべきか」のノウハウ全般が書かれています。
氏のドイツ留学時代、所属していたアマチュアサッカーチームでの諸々のできごとをエピソードとし、そこから体得したサッカーの極意が語られます。実体験に基づいているので、いちいち納得できます。
今まで、これほど知的なサッカー談義をあまり聞いたことがなかったように思います。それほど新鮮でした。
○ 攻撃において、ボールがないところでのフリーランニングが大事で、何回ムダ走りになろうとも、それを繰り返さなければいけない(汗かきプレー、クリエイティブなムダ走り)。
○ 守備において、相手のボールホルダーを自由にプレーさせない「守備の起点」となることが大事。そのためには、全力ダッシュで開いてボールホルダーにチェイス&チェックを実行しなければならない。それが守備における「クリエイティブなムダ走り」だ。
そして、仲間と協力する組織的なディフェンスで相手からボールを奪取する。
○ 全員攻撃、全員守備のトータルフットボールでは、守備での汗かきプレーや、攻撃におけるボールがないところでのクリエイティブなムダ走りなど、攻守にわたってしっかりと動き(走り)つづけることが要求される。
○ 許されざる「アリバイ守備」
ジーコジャパン当時のあるゲームで、天賦の才には恵まれているその選手は、自分のパスミスでボールを奪われたにもかかわらず、突っ立って様子をうかがうだけになっていた。傍観するその選手のわきを中田英寿が二度もすり抜け、全力ダッシュで相手にチェイスしていった。
○ サッカーは本物の心理ゲームである
心理的な悪魔のサイクルに陥ると、その試合においてチーム力はがた落ちになる。監督が心理マネージャーとして選手全体の意識を高揚することにより、チーム力は大幅に増強する。
(これを可能にする監督の能力を、湯浅氏は「パーソナリティー」と表現していますが、日本語で当てはめるとすれば「人間力」でしょうか。)
自身の経験に基づく湯浅氏のサッカー理論は、日本代表のオシム監督の考え方(考えて、走る)とぴったり一致しているようです。
しかし、今から30年も前の、ドイツのアマチュアチームでの経験が、現在の日本代表にとっても新鮮であるほどの知識になり得る、ということが本当にあり得ることなのか、信じがたい気もします。日本のサッカーはそれほどに遅れているのでしょうか。
もし本当に日本のサッカーが遅れているのだとしたら、湯浅氏の見識をぜひ日本サッカーの高揚に向けて生かして欲しいと思うのですが、なぜ表舞台に出ていらっしゃらないのでしょうか。