弁理士の日々

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高橋洋一氏と埋蔵金

2007-12-22 11:19:32 | 歴史・社会
「週刊ポスト」1月11日号の広告に、「内閣参事官『埋蔵金50兆円はここにある』!」の表題で高橋洋一氏が出てきています。これは買わないわけにいきません。

高橋洋一氏が雑誌「諸君!」で語った内容については、11月27日29日12月3日に記事にしました。また、永田町の埋蔵金騒動について12月7日に書きました。
埋蔵金騒動と高橋洋一氏の関係に興味があったのですが、ポスト誌記事によると、まさに埋蔵金騒動の震源地に高橋氏がいるようです。
というか、自民党与謝野馨氏と高橋洋一氏との間の壮絶なバトルの結果であるようです。
「『財務省の守護神』といわれる与謝野馨・前官房長官が会長を務める自民党財政改革研究会が11月21日、『霞が関に埋蔵金はない』という報告書を提出。それに対し、中川秀直・元幹事長が、国家予算の余剰金を示して自民党内で埋蔵金論争が勃発したのだ。
 結果は意外なものだった。埋蔵金の存在を否定してきた財務省が、突然、“やっぱりありました”と、特別会計から約10兆円もの剰余金を差し出したのである。
 実は、中川氏に『埋蔵金のありか』を献策した人物こそ、今回登場する高橋洋一氏なのである。」

高橋氏は、小泉政権では竹中平蔵氏とのコンビで存分に力を発揮しました。安倍政権に代わっても安倍さんから声をかけられ、内閣参事官として参画していたことまでは、諸君!の記事にありました。
今回のポスト誌によると、安倍政権時代、内閣改造で与謝野氏が官房長官になると、経済社会総合研究所に出向を命じられます。辞令には退職期限まで来年3月末と切られており、霞が関の露骨な見せしめだったとのことです。
高橋氏と与謝野氏との対立のきっかけは、05年の政府系金融機関統廃合問題のときです。経済財政諮問会議で高橋氏が廃止を主張すると、与謝野氏から「財務省の了解を得ているか」聞かれ、高橋氏が「当然していません。これから戦うんです」といったら、「それじゃ、だめだね」と。
高橋氏の今の職場は、研究所の倉庫だったところに机を置かれ、財務省の“社史編纂”のようなことをやらされているそうです。


冒頭の自民党財政改革研究会報告書に“特別会計の余剰金の話をしている人がいるが、埋蔵金伝説のようなものだ”と書かれており、高橋氏は“この報告書は自分たち(中川氏、竹中氏、高橋氏)への挑戦状だな”と感じます。高橋氏にとっても沽券にかかわるはなしだし、それなら伝説かどうか調べてやろう、と埋蔵金探しをはじめ、夜な夜な資料を見て、いわば趣味でやったそうです。
埋蔵金はありました。
「財政融資資金」と「外国為替」の2つの特別会計に合わせて約40兆円、ほかにも「国有林野」「労働保険」「空港整備」などの特別会計を加えれば、総額50兆円近い金が眠っているのです。

「私、財務官僚とサシで議論すると、かなりの確率で勝っちゃうわけです。だから、財務省は黙って10兆円を出した。」
この問題を財務省が今回放置して通常国会の予算審議の最中に野党から追及されたら、予算案が吹き飛んでしまう、だから財務省はそうなる前に、10兆円を認めざるを得なかったとの見立てです。その結果、財務省は与謝野氏に恥をかかせる結果となりました。


高橋氏の埋蔵金発掘は、05年、小泉政権の経済財政諮問会議で、各省庁に指示して全ての特別会計の「資産負債差額」つまり、余剰金をいくら持っているかを試算させたのが最初です。高橋氏の“レーダー探査”によって明らかにすることができました。その結果、財務省はその年、財政融資特会からの12兆円をはじめ、5年間で20兆円を出すことを決めます。この時、財務省は「これで全て。もう埋蔵金はない。」といっていたのに、今回、また10兆円出てきた。
05年のレーダー調査で唯一、資産負債差額の公表を拒否したのが国土交通省の道路特別会計でした。高橋氏の予想では、何兆円かわからないけれども、財政融資、外国為替特会に次いで3番目に埋蔵金を持っている可能性があるとのことです。

「諮問会議はそういうもの(埋蔵金)を探すのが仕事だし、スタッフも予算もあるんだから毎年やればいいのに、何もしていない。不思議ですよね。レーダー探査の仕組みを作るのは難しいけれど、それは私が役所からボコボコにやられながらやっていたんだから、あとは表計算ソフトに数字を入れて、ボタンを押せばパーッと出てくるんですよ、埋蔵金が。どの特別会計にいくらあるか、3日もあれば計算できる。大田(弘子・経済財政担当)大臣もそのやり方を知っているはずですが、面倒くさいんでしょうかね。」

高橋洋一氏、今は懲罰人事のような扱いを受けているようです。しかしこれをバネにして、さらに官僚機構の病巣にメスを入れてくれる予感はします。期待しています。
コメント (2)
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