エマニュエル・トッド氏によるウクライナ戦争論評については、1年半前にこのブログでエマニュエル・トッド「米国はすでに敗北している」2023-11-27として紹介したことがあります。さらに最近、「西洋の敗北 日本と世界に何が起きるのか」エマニュエル・トッド (著)も購入したのですが、私には難解でした。
佐藤優氏によるウクライナ戦争論評については、副島隆彦、佐藤優 「よみがえるロシア帝国」 2022-11-16にて紹介したことがあります。
文藝春秋5月号

文藝春秋5月号には、下記2つの論説が掲載されています。
《エマニュエル・トッド「米欧の分断と日本の選択」(トランプ・ゼレンスキー会談の歴史的な決裂。日米安保はどうなるのか)》
《佐藤優「ベストセラーで読む日本の近現代史」(よかれと思ったことがすべて裏目に出る悲劇)》
そして、ウクライナ戦争の最近の推移について、二人の意見が一致するように見える部分がありましたので、その部分を以下にピックアップしてみます。
《エマニュエル・トッド「米欧の分断と日本の選択」(トランプ・ゼレンスキー会談の歴史的な決裂。日米安保はどうなるのか)》
『もともとウクライナは、自力ではロシアと戦えませんでした。2022年2月の戦争開始以降、さらに遡れば2014年の西側の支援を受けたマイダン革命、-プーチンに言わせれば、合法的に選ばれた大統領(親ロ派)が暴力的に追放されたクーデター-以降、ウクライナ軍は、長年にわたる米英の支援によって、ロシアが脅威に感じるほど増強されてきたのです。
ウクライナは、西洋、とくに米国の援助なしに戦争は継続できない。支援を受けてもロシアには勝てないことが明らかになった今、資金や武器のすべてを他国に頼ってきた“甘やかされた子ども”ウクライナに停戦・和平案を受け入れさせることは、理にかなっています。』
『「ロシア(勝者)vs米国とウクライナ(敗者)」なのに、米国とウクライナは別の陣営であるがごとくに装い、米国をより上位にいる“仲介者”のように見せる』
『(ロシアが)ウクライナに侵攻したのは、NATOの東方拡大と米英の支援によるウクライナ軍の増強によって、その「国境」が脅かされたからです。彼らにとってこの戦争は「防衛戦争」なのです。』
『現状で私が(日本に)お薦めしたいのは、欧州と米国のヒステリーに極力かかわらず何もせずに静観すること、しかしひそかに核武装を進めることです。』
『日本は核武装とともに通常兵器の増強も進めるべきです。これも戦争をより困難にするためです。戦争は、軍事的な勢力不均衡から生まれるからです。
もう一つ勧めたいのは、ロシアとの友好関係の構築です。安全保障面でもエネルギー面でも、何より日本の国益に適い、対中牽制のパワーバランスとして機能し、世界の安定に寄与するからです。』
《佐藤優「ベストセラーで読む日本の近現代史」(よかれと思ったことがすべて裏目に出る悲劇)》
『トランプ氏はウクライナを和平ゲームのプレイヤーと考えていない。』
『今回、米ロ間で取引が成立したのは、ロシアにとってウクライナが死活的に重要な地域であるのに対して、アメリカにとってはそうでないからだ。ウクライナは米ロの全般的関係改善に伴う「釣り銭」のような扱いを受けている。』
(アメリカと日本を含む)西側連合がロシアに対して勝利できないとの認識をトランプ氏が描き、この連合から抜け出して仲介者としてロシアに近づきました。
『トランプ氏のペースで交渉が進むと最終的な結果は、以下のようになると思う。勝者:ロシア、仲介者兼準勝者:アメリカ、敗者:ウクライナとヨーロッパ諸国、傍観者:日本。』『日本は、この事態を筋悪案件と認識し、体を躱し、敗者連合に加わるシナリオを避けつつある。日本はかなり狡猾な動きをしている。
ヨーロッパは悪いスパイラルに入っている。その背景には、ヨーロッパ人の無意識を支配している悲劇性があるというのが評者の見方だ。良かれと思ったことがすべて裏目に出るのだ。』
『この思想構造を理解するのに役立つのがソポクレスの代表的悲劇「オイディプス王」だ。』としてオイディプス王の内容が記載されていますが、私には関連が理解できませんでした。
佐藤優氏によるウクライナ戦争論評については、副島隆彦、佐藤優 「よみがえるロシア帝国」 2022-11-16にて紹介したことがあります。
文藝春秋5月号

文藝春秋5月号には、下記2つの論説が掲載されています。
《エマニュエル・トッド「米欧の分断と日本の選択」(トランプ・ゼレンスキー会談の歴史的な決裂。日米安保はどうなるのか)》
《佐藤優「ベストセラーで読む日本の近現代史」(よかれと思ったことがすべて裏目に出る悲劇)》
そして、ウクライナ戦争の最近の推移について、二人の意見が一致するように見える部分がありましたので、その部分を以下にピックアップしてみます。
《エマニュエル・トッド「米欧の分断と日本の選択」(トランプ・ゼレンスキー会談の歴史的な決裂。日米安保はどうなるのか)》
『もともとウクライナは、自力ではロシアと戦えませんでした。2022年2月の戦争開始以降、さらに遡れば2014年の西側の支援を受けたマイダン革命、-プーチンに言わせれば、合法的に選ばれた大統領(親ロ派)が暴力的に追放されたクーデター-以降、ウクライナ軍は、長年にわたる米英の支援によって、ロシアが脅威に感じるほど増強されてきたのです。
ウクライナは、西洋、とくに米国の援助なしに戦争は継続できない。支援を受けてもロシアには勝てないことが明らかになった今、資金や武器のすべてを他国に頼ってきた“甘やかされた子ども”ウクライナに停戦・和平案を受け入れさせることは、理にかなっています。』
『「ロシア(勝者)vs米国とウクライナ(敗者)」なのに、米国とウクライナは別の陣営であるがごとくに装い、米国をより上位にいる“仲介者”のように見せる』
『(ロシアが)ウクライナに侵攻したのは、NATOの東方拡大と米英の支援によるウクライナ軍の増強によって、その「国境」が脅かされたからです。彼らにとってこの戦争は「防衛戦争」なのです。』
『現状で私が(日本に)お薦めしたいのは、欧州と米国のヒステリーに極力かかわらず何もせずに静観すること、しかしひそかに核武装を進めることです。』
『日本は核武装とともに通常兵器の増強も進めるべきです。これも戦争をより困難にするためです。戦争は、軍事的な勢力不均衡から生まれるからです。
もう一つ勧めたいのは、ロシアとの友好関係の構築です。安全保障面でもエネルギー面でも、何より日本の国益に適い、対中牽制のパワーバランスとして機能し、世界の安定に寄与するからです。』
《佐藤優「ベストセラーで読む日本の近現代史」(よかれと思ったことがすべて裏目に出る悲劇)》
『トランプ氏はウクライナを和平ゲームのプレイヤーと考えていない。』
『今回、米ロ間で取引が成立したのは、ロシアにとってウクライナが死活的に重要な地域であるのに対して、アメリカにとってはそうでないからだ。ウクライナは米ロの全般的関係改善に伴う「釣り銭」のような扱いを受けている。』
(アメリカと日本を含む)西側連合がロシアに対して勝利できないとの認識をトランプ氏が描き、この連合から抜け出して仲介者としてロシアに近づきました。
『トランプ氏のペースで交渉が進むと最終的な結果は、以下のようになると思う。勝者:ロシア、仲介者兼準勝者:アメリカ、敗者:ウクライナとヨーロッパ諸国、傍観者:日本。』『日本は、この事態を筋悪案件と認識し、体を躱し、敗者連合に加わるシナリオを避けつつある。日本はかなり狡猾な動きをしている。
ヨーロッパは悪いスパイラルに入っている。その背景には、ヨーロッパ人の無意識を支配している悲劇性があるというのが評者の見方だ。良かれと思ったことがすべて裏目に出るのだ。』
『この思想構造を理解するのに役立つのがソポクレスの代表的悲劇「オイディプス王」だ。』としてオイディプス王の内容が記載されていますが、私には関連が理解できませんでした。
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