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高橋洋一氏が野田増税路線を斬る

2011-09-11 10:57:32 | 歴史・社会
高橋洋一氏が、現代ビジネス「ニュースの深層」9月5日『事務方人事も財務省のやりたい放題ーー「増税を吹き飛ばす18兆円の日銀引き受け」を阻止する野田増税内閣の「財務省シフト」』と、ダイヤモンドオンライン「高橋洋一の俗論を撃つ!」、9月8日は「増税一直線の野田政権に告ぐ 増税に代わる財源を示そう」で相次いで発言しています。

高橋氏を応援する意味でも、主張のポイントをここに記述しておくこととします。

現代ビジネス「ニュースの深層」では、主に財務省-増税路線傾向の強い野田政権における布陣を解析しています。
『(野田政権は)民主党内に重点的な人員配置している。政調会長に前原誠司氏をもってきて、すべての政策が原則、政調会長の事前承認が必要とした。しかも、仙谷由人氏を政調会長代理に起用する方針だ。
このように党の重厚布陣になると、政府は軽量級でもいいとの考え方になっても不思議でない。その好例が安住淳財務相だ。40代で財務相に就任したのは田中角栄氏以来である。
政策を財務省官僚に丸投げして、財務省官僚がうまく政府部内を回せるように、事務方人事は財務省のやりたい放題だ。』

官僚の最高ポストである内閣官房副長官ポストには竹歳誠氏が就任しました。異例の現職国交省次官であり、国交省出身として初めてです。一時は前財務事務次官の丹呉泰健氏という噂もありましたが、現財務事務次官と親しいとされる竹歳誠氏に落ち着きました。

首相秘書官人事も財務省主導です。首相秘書官で年次が高い人が全体を取り仕切る慣行があるそうで、今回の秘書官人事では、厚労省の入省年次を下げ、財務省内エース級で主計局次長だった太田充氏を官邸に出して、財務省が首相秘書官の中でリードできる体制としました。

民主党内には増税に反対する者が多いですが、増税を志向する野田体制では、民主党内で非増税派が勢力を得たとしても、与野党協議に持って行くという戦法が可能です。
今の自民党は、復興増税にすでに賛成の立場です。野田政権は、反増税の多い民主党内よりむしろ自民党のほうが増税という政策では一致しているので、主戦場である党内を抑えつつ、そのまま与野党協議で増税へ舵取りする意向だというのです。

『その萌芽はすでにある。復興基本法と東電賠償法で、ともに自民党の修正を民主党が丸呑みすることによって成立している。復興基本法では、復興債の償還財源が言及され、今の復興増税の布石になっている。東電賠償法では、国民負担を減らすような法的整理でなく、国の責任という名目によって国民負担が増えるような条項が追加されている。
増税や電力料金引き上げという政策では、民主党と自民党はすでに事実上「大連立」をとっているようなものだ。しかも、それらの法案審議では密室審議によって国民負担増が決定付けられ、表の国会審議はほとんど行われなかった。
これらのやり方で、第3次補正予算や償還財源確保のための増税法案が、事実上の民主党と自民党の「大連立」によって決まられる可能性もある。』

ダイヤモンドオンライン「高橋洋一の俗論を撃つ!」では、『野田政権の進める増税は、復興増税(ホップ)、社会保障(ステップ)、財政再建(ジャンプ)の「3段跳び」の早いペースで進むだろう』とした上で、それぞれの段階において増税に代わる財源を示しています。

「ホップ」の復興増税
『増税ではない最も簡単な方法は、今年度予算の日銀引受枠30兆円のうち未使用の18兆円の活用だ。これなら法律改正なしで、しかも今の予算の枠内でできる。4月21日付けの本コラムで紹介しているので、ご存じだろう。最近、先の民主党代表戦に出馬した馬淵澄夫氏も主張している。
 ・・・
日銀引受は禁じ手であるという話がある。安住財務相も就任後の記者会見で、そう語っている。この程度は日銀のマネタリーベースを増加させずインフレのおそれがないとして、毎年行われているし、すでに今年度予算でも認められていることだ。安住財務相は、こうした事実さえも知らされずに、日銀引受は禁じ手といわされている。
次には償還財源にならないという反論があるだろう。しかし、・・・・・。
この18兆円の日銀引受枠の活用は、今の予算のままで、新たな法律措置も不必要で政府の判断だけでできる。しかも、財源問題、円高問題、さらにデフレ脱却の一石三鳥になる。
日銀引受枠18兆円と国債整理基金10兆円の他にも、労働保険特会5兆円、日本郵政株5~10兆円や日本たばこ産業株2兆円の売却など、手を付けるべきところはまだまだ残されている。』

「ステップ」の社会保障
『その財源を消費税に求めることは理論的におかしいことを、1月27日付けの本コラムで書いた。
こうした理論上の話以外にも、増税の前にやるべきことがある。浅尾慶一郎衆院議員(みんなの党)が2月28日衆議院予算委員会で指摘した、法人の情報把握不備による社会保険料の未徴収、いわば「消えた保険料」が12兆円もあることだ。』

「ジャンプ」の財政再建
前回のコラムのように、必ずしも増税ではなくデフレ脱却による名目GDP成長率アップによる増収で対応できる。』

『増税は、例えば歳入庁に反対する財務省と厚労省という強い既得権者を打ち崩せないので、弱い国民にしわ寄せするものだ。官僚に迎合して、その結果、増税となれば、国民からそっぽを向かれるだろう。
「ポップ」「ステップ」「ジャンプ」のいずれの増税に対しても、他の財源措置はある。そうした他の方法をまともに議論せずに、増税一直線となると、今の高い支持率も急落するだろう。』

「増税か日銀による金融緩和か」というテーマについては、論者によって主張は正反対であり、経済素人のわれわれにはどちらが正しいのか判断がつきません。ここは是非、専門家に激しく議論して戴き、正しい方向を導いて欲しいものです。
そのためにも、高橋洋一氏が発言し、その発言が政治家同士の議論に火を着けることを期待したいです。
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