弁理士の日々

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JAPAiNと言われたことを覚えておこう

2008-04-15 20:20:23 | 歴史・社会
英エコノミスト誌が、「JAPAiN」と題した特集記事を掲載したのは2月23-29日とのことです。日経新聞では、3月12日に紙面1面を割いて抄訳を掲載しました。

JAPAiN(苦痛に満ちた日本)
(副題)「世界第2位の経済がいまだに立ちすくんでいる・・・」

この記事の内容については、日本の政治、経済に携わる人たち、そして国民が強く肝に銘じるべきと思うのですが、ネットで調べても全訳を手に入れることができません。

取り敢えず、日経新聞の記事から気になるところを拾ってみます。

「民主党はいまや成長を目指す経済改革どころか、あらゆる政策協議を滞らせる力を持つに至った。」
「経済運営を担当する閣僚にも失望感が広がっている。大田弘子経済財政相は1月に開会した通常国会で、もはや日本は『経済は一流』と呼ばれる状況ではないとまで述べた。この認識は確かに正しいが、それにどう対処するかについては、残念ながら大田氏はほとんど語らなかった。」

「日本企業は・・・悲しいかな、生産性は極めて低い。」「大規模投資と低成長の結果、日本の投資に対するリターンは米国の半分だ。」

設備投資や輸出が伸びているのに個人消費が伸びません。企業は記録的な利益を計上しながら、賃金水準が上がっていないからとします。「政治家は・・・もっと賃金を上げるよう迫っている。だが企業が慎重なのは、政治家が無能で予測不可能なこととも無縁ではない。」

「日本に必要なのは根本的な経済改革だ。」として、外資規制の緩和、輸入食品の関税引き下げ、農業補助金の削減、貿易自由化の促進、外資系企業に対する税制優遇、企業を補助金漬けにしている制度の廃止、労働市場の流動性向上、財政規律の強化(現時点の累積財政赤字はGDPの約180%に相当)、年金基金や保険会社の説明責任の強化、民営化の推進などを挙げます。
 経済財政諮問会議の伊藤隆敏東大教授の言として、同会議が提唱する改革を実行すれば日本は年2%の成長率を達成できるが、しなければ1-1.4%程度の低成長に留まる、との予測を紹介します。
「日本は改革を断念したようだから、教授が正しければこれからは低成長しか期待できない。この責任は能力や先見性に欠ける政治指導者と、彼らが行う政治の混迷にある。」

「第一の責任者は安倍前首相だ。・・・学校での愛国心教育などお気に入りの国家主義的な取り組みに邁進した。
 それ以外の問題にあまり目を向けなかった安倍氏は地方の衰退や賃金の伸び悩みに配慮せず、官僚の不祥事にも、深刻化する年金記録問題にも注意が行き届かない。短命だったが、安倍内閣では閣僚の不祥事が続いた。参院での敗北は、その報いだったと言える。」
「第二の責任者は自民党内で隠然たる勢力を誇る旧世代の大物たちだ。彼らは福田氏を担ぎ出した。」「福田政権になると、決定権は派閥と長老たちの手に戻った。大連立をめぐる小沢自民党代表と福田首相との秘密会談を仲介したのは、日本最大の部数を持つ読売新聞グループ本社の渡辺恒雄会長だった。
 旧世代はクーデターに成功し、政治の主導権を取り戻した。構造改革は滞り、貿易障壁撤廃に向けた交渉にもブレーキがかかっている。財政均衡を目指す税制改革も先送りされた。ある改革派官僚は民営化や規制緩和を推進してきた官僚のやる気が低下しているといっている。」

「福田首相は日本の問題を安倍氏より理解している。・・・
 だが首相には、こうした目標をがむしゃらに追求する行動力も求心力もないと、連立与党も野党も考えている。08年度予算案を見ると、自民党のお得意様である農家と土木建設業者が、このところ無縁だった大盤振る舞いにあずかっていることがわかる。

 そして第三の責任者は民主党の小沢代表である。民主党には市場志向の改革を指示する若手政治家が大勢いる。彼らは、戦後ほぼ一貫して自民党の一党支配が続いてきたことに問題があるとし、主要政党による政権交代があれば日本の政治はよくなると考えている。おそらく小沢氏も同じ考えだろう。
 だが豪腕でならす小沢氏は専横なワンマンの一面を持ち、僚友に相談せず取引をする傾向がある。これは透明性と説明責任を掲げる政党の党首としてはまことに好ましくない。しかも機を見るに敏な小沢氏は次第に一貫性の欠如を示すようになってきた。たとえば農家の味方を標榜するのは、農村地帯の比重が高い参院選では妥当な戦略だとしても、自民党の古くさい政治家と何ら変わらない。」
「代表の座をめぐって意見対立が起きるようなことがあれば、民主党は空中分解しかねないとわかっている。小沢氏が離党を決意したら(何しろその前歴がある)、何人かの議員は行動を共にするだろう。そうなったら民主党は参院での優位を失う。」

「さらに非難されるべきは、相反する主義主張を抱えこんだままの自民・民主両党であり、参院と衆院を別々の党が支配する事態を想定していなかった憲法であろう。さらに言えば、国家運営についての選択肢を有権者に示す手段としてではなく、個人や一族郎党の利益を実現する手段として政治をもてあそぶ風土こそが問題である。」
「そして最後に、有権者も責任の一端を負うべきである。」
-----以上--------

エコノミスト誌の記事が、どの程度真実をついているのか判断できませんが、ポイントを突いているような気がします。
外国の雑誌にここまで言われる前に、日本の論壇がもっと激論を交わして欲しいものです。
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