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弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

姫路城の瓦屋根の漆喰

2025-03-16 10:33:44 | 趣味・読書
姫路城訪問 2025-03-14で紹介したように、姫路城を訪問してきました。
姫路城は白鷺城と呼ばれ、白壁だけではなく、瓦屋根も白い漆喰で塗り固められています。下写真がそれです。

屋根瓦の白漆喰塗り

屋根の色が変わっていく? 世界遺産 姫路城の屋根修理のヒミツによると、
姫路城の屋根は、いぶし瓦を使い、筒状の丸瓦と平たい平瓦を組み合わせる本瓦葺きという工法で葺かれています。姫路城の場合は、さらに瓦と瓦の継ぎ目である目地に漆喰を施し耐久性を高めています。これは池田輝政が築城したときと同じ手法です。
漆喰は施工後、経年により汚れやカビで黒く変色していきます。竣工後から5年ほどで以前のようなグレーの屋根になるといわれています。

平成の大修理の前、「白鷺城」と呼ばれていた姫路城の屋根はグレーでした。それが、大修理のあと、瓦に施した漆喰が真っ白なので、姫路城の屋根は白く輝いており、大修理前とは違う、「白過ぎ城」だ、との声が上がったそうです。上のサイトの写真、屋根も真っ白ですね。
しかし今回われわれが訪問した姫路城の屋根は、全体のイメージとしては白ではなくグレーでした。

⑰西の丸から見た⑬天守閣
上の写真、それから冒頭の屋根瓦部分の写真でわかるように、屋根のうちで雨が当たる部分はグレー、雨が直接当たらない部分は白、ということでツートーンになっています。結果として全体としては「白過ぎない城」に戻ったようです。経年変化は早かったですね。
NHKの新プロジェクトXで、姫路城平成の大修理における屋根瓦の白漆喰塗りの物語が放映されました。
番組の記憶をたどると・・・
平成の大修理で、屋根の漆喰塗りの工事はX社が受注しました。ところが、X社は姫路城の屋根の漆喰塗りに特有の技術を保有していなかったのです。
普段から姫路城の修理を行っており、屋根の漆喰塗り技術を保有している会社がありました。Y社です。Y社のBさんがその技術を保有していました。
X社のAさんは、左官の高度の技術を有する職人でした。X社が工事を受注したので、Aさんが中心になって施工することになったのですが、左官のプロとはいえ、姫路城の屋根独特の技術はわかりません。
窮地に立ったX社のAさんは、技術を保有しているY社のBさんに教えを請いに行きます。本来であれば、受注をのがしたY社が、競争相手のX社に技術を開示する義理はありません。それはAさんも分かっています。しかしAさんは腰を低くしてBさんに接触しました。
そこでY社のBさんは、X社のAさんに技術を開示することを決断するのです。
一番上の屋根の写真でわかるように、瓦に塗った漆喰の縁の部分が5mmほど盛り上がっています。この盛り上がりを造ることが、一番大切なコツであり、左官のプロであっても一朝一夕ではこの技術が習得できません。AさんをはじめとするX社の職人たちは、Bさんに教わりながらコツを習得しました。
こうして、姫路城の屋根瓦の漆喰塗りは、無事に完成できたのです。

この話、美談ではありますが、そもそも、なぜ技術を保有しているY社が受注しなかったのか、という点が問題です。
ここからは想像ですが、一般競争入札でX社はY社よりも安値で応札し、結果として機械的にX社に発注してしまったのではないか。
発注元が、
 姫路城の屋根瓦の漆喰塗りには特別な技術が必要
 特別な技術を保有しているのはY社
という点を把握していれば、見積額の高低ではなく全体の必要性からY社に発注すべきだったのです。この想像が正しいのであれば、今回のトラブルは発注元の凡ミスです。もしX社のAさんが高い技術を有しながら腰を低くしてBさんに教えを請う勇気を持っていなかったら、もしBさんが意気に感じて競争相手に技術を開示することをしなかったら、姫路城の屋根の漆喰塗りは失敗していたことでしょう。
技術移転にX社からY社に費用が支払われたかどうかは番組ではわかりませんでした。もし技術移転料が支払われており、結果としてX社は赤字で工事を完了したとしたら、X社の営業の凡ミスです。工事には高度な技術が必要なことを理解せず、安値で応札してしまったのが原因だからです。

ところで、姫路城の屋根瓦にはなぜ漆喰を塗り込めているのでしょうか。
ネットで以下の記事を見つけました。
瓦職人の目線で検証: 姫路城の漆喰~その①
瓦職人の目線で検証 その② 姫路城の屋根しっくい
『姫路城のシックイ工法は、首里城(沖縄県)と熊本城以外の日本の他の地域の城郭や仏閣では例がない。
水はけの悪いシックイは、”本瓦葺き”の特徴と 本平瓦と丸瓦の優位性を抹殺している。
時を同じくして世界文化遺産となった木造建築の”法隆寺”を想い合わせると、その差は歴然。』
この記事の意見からすると、「姫路城屋根瓦の漆喰塗りはやめた方が良い」ということのようです。
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