弁理士の日々

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高橋洋一「霞が関埋蔵金男が明かす「お国の経済」」(4)

2009-08-24 20:28:53 | 歴史・社会
ブログのテンプレートがバージョンアップしたらしいのですが、文字の大きさが小さくなりました。今までのが大きな文字で、変更後に標準サイズになったようです。
私としてはどちらでもいいのですが、今まで大きな文字に見慣れていたので、ずいぶん小さくなった気がします。
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前回に続き、高橋洋一著「霞が関埋蔵金男が明かす「お国の経済」 (文春新書)」の第4回です。

《第4章 公務員制度改革の闘い》
・公務員の権限が大きな日本
(外国に比べて日本は)公務員は少ないけれど、一方で、日本はGDPと同じ、五百兆円ぐらい資産を持っている。そうすると、公務員一人あたりのカバーしている権限や活動範囲はすぐこ大きいんです。普通の国の資産はGDPの10パーセントぐらいだよ。」

・財務省にゴマをする「財政タカ派」
マスコミは記者クラブ制によって役人に首根っこを押さえられているから、役所の批判はできない。
学者も、役所の政策を批判する記事を新聞に書いたりすると、すぐに役所から「先生のペーパーについて議論したい」と連絡が入り、丁重に反論され、些細なデータの誤りを役人から指摘される。学者はこういうのは弱いので、たちまち役所に取り込まれる。役所からデータをもらって分析できるので、自然と役所に迎合的になり、そして審議会に入る。

・上げ潮派は多勢に無勢
「上げ潮派」なんて厳密に言えば日本に三人しかいない。中川さん、竹中さんと私だけ。それでも「上げ潮」と言われて、「財政タカ派」と並び称されるんだから、光栄なもんですよ。

・増税の前に、嫌がられても歳出カット
「『財政タカ派』の人は『大きな政府』志向だから、歳出カットをあんまり言わない。こっちは歳出カットを言って、地方がピーピー言い出して、もうみんながいやがって、こんなに切られるんだったら増税の方がいいと言うぐらいになってから増税した方がいいと言っているわけ。」

・「財務省は成長が嫌い?」
「成長して税収が増えると歳出も増えるのがいやなのでしょう。歳出カットが財務省の責任みたいになるでしょう。成長しないと歳出増の要求は少ないんだよね。一方で、増税は政治家の責任になるから、財務省的には増税してもらった方が楽なんだ。」

・見えない官僚支配
実態は、「官僚」が大臣や国会議員にいろいろと取り入って、「内閣」や「国会」を上手にコントロールしている。

・キャリアを廃止せよ
「こんなおかしな『官僚内閣制』を打破するために、安倍政権のときには渡辺行革相と一緒に『国家公務員制度改革』に取り組んできたわけ。
改革の肝はなんといっても、『年功序列の廃止』と『天下りの斡旋禁止』。」
「いま取り組んでいるのは、改革の第二弾。『キャリア制度の廃止』『内閣人事庁の創設』『国会議員と公務員の接触制限』の三本柱。」

・部下がまいた怪文書
「改革への素朴な疑問」なんて怪文書、書いたのは当の行革事務局の幹部だってバレバレ。官僚たちはこれを手に永田町を走り回った。

・三つの民営化、「に」の挿入
高橋氏と竹中さんが政策金融機関の民営化に関わったときの話。霞が関用語では「民営化」には三つの意味がある。一つめが民有・民営という形態をとる「完全民営化」。二つめはNTTのように政府が株式を所有し、経営形態だけは民営にする「特殊会社化」。三つめは農林中央金庫のように、政府が根拠法律だけを持つ形。
高橋氏もこの仕組みはよく知っているから、経済財政諮問会議ではしっかりと「完全民営化」という言葉を使い、もちろん法案にもそう書いた。ところが最終段階の持ち回り閣議で、官僚の事務方が持ってきた法案には「政策金融機関を完全に民営化する。」と、なぜか「に」の一文字が入っていた。「完全に民営化」なら「完全に特殊会社化する」という道もあり得る。
閣議なら事前に書類をチェックできるけれども、このときは持ち回り閣議にかけられ、各大臣にそれぞれ書類を持っていきその場でサインをもらうだけ。
たまたまこのときは、高橋氏らのスタッフが「に」に気付いて、竹中大臣に「サインしないでください」と連絡しておいたので、事なきを得た。
「どんなに有能な大臣が一生懸命勉強しても、とても一人では官僚に立ち向かうことは無理。これに対抗できる役人をスタッフとして使えない限り、健全な『議院内閣制』はあり得ないでしょう。」

・大臣には人事権がない
現状では大臣の人事権はすごく弱くて、事務次官がつくった人事リストをただ承認するだけ。
竹中さんが総務大臣になったときも、事務次官がもってくる人事リストを何度つきかえしても、同じ幹部候補のメンバーを担当だけ入れ替えてもってくるから、なかなか手こずった。
内閣人事庁ができると、こういったバカげたことがなくなる。
大臣が幹部を決めるときには、今までの事務次官がつくったリストに加えて、内閣人事庁が推薦するリストも参照できるようにする。
官僚にとっては、痛いところを突かれたと言ったところでしょう。自分たちが一手に握っていた人事権が弱まり、外部から人材が流入してくれば、営々と築き上げた昇進ピラミッドがぶっ壊れるに決まっている。既得権を失いたくない幹部や幹部昇進が近い上の世代ほど、なにがなんでも大反対するわけだ。

以下次号
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