弁理士の日々

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ジョブズ説得術と報連相

2021-09-28 17:37:38 | Weblog
没10年ジョブズ氏、発明の内幕 側近に学ぶ上司説得術
2021年9月27日 日経新聞朝刊 シリコンバレー支局 奥平和行 
『人気ゲーム「フォートナイト」の開発元である米エピックゲームズが米アップルを訴えた裁判で一審判決が出た。エピックが控訴の方針を示しておりスマートフォンのアプリ配信サービスが独占に当たるかどうかを巡る争いの先行きは不透明だが、証拠開示の手続きのなかではっきりしてきたことがある。
「スティーブ、上記の目標に同意してくれますか」。アップル幹部が結びにこんな文言を記した電子メールを送ったのは2007年10月のことだ。宛先は最高経営責任者(CEO)だったスティーブ・ジョブズ氏。この幹部はアプリ開発を外部企業に解放することを求め、ジョブズ氏を説得しようと試みた。』

上記の話は、「外部企業のアプリを配信するサービスの発明者は、ジョブズ氏か他の人か」という議論です。
記事は更に、『周囲はどのように「頑固で気難しい」と言われたジョブズ氏に再考を促したのか。』というテーマに移ります。
その第2点
まず結論を伝えるのではなく質問の形を取ることで、そのアイデアを自分で思いついたように仕向ける手段も有効という。

これって、日本で知られている「ほうれんそう」(報告・連絡・相談)と通じています。
「ほうれんそう」は、サラリーマンが身につけるべきマナーのように言われていますが、私はそうではなく、「面倒な上司に自分が思うように動いてもらう手管」だと思っています。
上司は、突然に部下から意見具申され、それが自分が考えている方向と異なっていたら、あるいは自分の意見が全く準備されていなかったら、まず否定してしまう懸念が大きいです。「面倒な上司」ならなおさらです。
それに対して、部下が上司にこまめに報告・連絡していれば、上司はその案件についてある程度頭の中に準備ができているでしょう。そこで最後の「相談」です。部下は「こうすべきだ」と結論を述べるのではなく、「相談する」ことが肝要です。上司は、相談を受けて一緒に考え、部下が糸口を披露すれば、「こうすればいいんじゃないか?」というアイデアに導かれます。そのアイデアは実は部下が準備し、上司の思考をその方向に導いたのですが、上司にしてみれば、自分が思いついたアイデアのように感じていますから、アイデア実現に積極的になるでしょう。
こうなればしめたものです。部下は上司の賛同を得て、自分が実現したい方向に邁進することができます。
ただし、実現の暁には、上司が「これは俺のアイデアだ」と自慢することになります。それを受け入れる、即ち「名より実を取る」というスタンスが部下にない限り、難しいものがあるでしょう。

いずれにしろ、場所が日本だろうがアメリカだろうが、そして相手が普通の上司だろうがジョブズだろうが、「上司説得術」は同じである、ということを感じることができました。
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