弁理士の日々

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自衛隊のアフガン本土活動断念

2008-07-22 23:02:37 | 歴史・社会
7月18日の朝日新聞朝刊は、自衛隊のアフガン本土派遣を見送るとの記事が1面トップです。
20日の産経新聞記事がネットで閲覧できます。
政府、自衛隊のアフガン本土活動断念 治安悪化、公明反対
7月20日19時43分配信 産経新聞
「政府・与党は、アフガニスタン支援をめぐり、アフガン本土での自衛隊による追加支援を断念し、新テロ対策特別措置法の延長で対応する方針を固めた。公明党の反対姿勢が強い上にアフガン本土の治安悪化が深刻で、8月下旬にも始まる臨時国会での新たな法整備は困難と判断した。」

先日も報告したように、ペシャワール会の中村哲医師の「アフガニスタンで考える」を読み、中村医師の目を通してアフガニスタンを見て以来、アフガニスタンの様子が今までと違って見えます。

アフガニスタンに駐留する米軍が増派されることによって、かえって治安が悪化するという現実があるようです。
「それを私たちが肌で感じるのは、私たちの山奥の診療所が二つ閉鎖に追い込まれたことからです。これは、それまで平和な農村地帯であったところに米軍が進駐してしまったためにやむをえず閉鎖したのです。NGO活動を守るため、と言って米軍が入っていくところ、米軍からの“誤爆”だとか、地元の人々からの顰蹙だとかが絶えません。ですから、それまでは活動できていたことができなくなっていきます。また、米軍が来たために、さらに紛争が拡大するという悪循環が各地で起こり、治安は悪化しつつあるのです。これが現在の状況です。」
「私たちは日々、地元の作業員、農民たち、その地域の人々と触れあっておりますので、大方において、反米感情が、いまだ日に日に高まっていることがわかります。」(同上図書から)


アフガニスタンにおける米軍、NATO、ISAFらの活動は、「絶対的悪であるアルカイーダを支持するタリバーンは絶対的悪」というスタンスで行われていると思います。
しかし、タリバーン政権が行った悪政とは、アルカイーダを匿ったこと、女性差別政策を採ったこと、バーミヤン遺跡を破壊したこと、ぐらいは知っていますが、その程度です。アフガニスタンの勢力争いの中で政権を獲得したのは実力でしょうし、アフガニスタン国内での麻薬栽培を撲滅近くまで持っていった実績があります。アメリカの後押しで成立したカルザイ政権は、麻薬栽培の大々的復活を止めることができません。
アフガニスタンを観察するに際しては、タリバーン勢力ですら多くあるうちの一党派と相対的に考え、「アフガニスタンの人々にとって今何をなすべきか」というスタンスで方向を定めるべきでしょう。

「アメリカとの良好な同盟関係維持のために自衛隊をアフガニスタンに派遣したいが、アフガニスタン国内では治安が悪化しており安全確保が難しいから自衛隊派遣は困難だ」というのでは寂しすぎます。
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1 コメント

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失礼します。 (作務)
2008-08-10 20:26:40
中村医師の言葉、以前に貴殿は戦争の真実を良く身に付けるべきです。
増して、アメリカが起こす戦争は全て石油利権絡みの、早い話 強盗団。
一部の支配者層が 大多数の市民の命を石ころ同然に見るのが戦争です。
幾ら、社会的地位や富を手に入れても、人間としての高い精神性を獲得しなければ、人生は無意味なものになります。 拝 http://blog.goo.ne.jp/samu_one
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