弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

長妻厚労大臣と厚労省

2010-01-03 20:31:42 | 歴史・社会
12月29日の日経朝刊「公共事業削減 陰に思惑 政治主導 10年度予算の舞台裏」
来年度予算案の中で、診療報酬の決着について、財務省と厚労省の事務方がぎりぎりの腹の探り合いを続け、「0.05%引き上げ」で妥協できると踏みました。しかし長妻大臣は「0.3%引き上げ」にこだわり、事務局案を蹴ります。最終決着は23日になって首相官邸に持ち込まれ、結果は0.19%と10年ぶりのプラス改定です。
『事務方どうしの「相場観」を超える決着に、ある厚労省幹部は「財務省との関係を考えると背筋が寒くなる」と漏らす。』

「財務省との関係を考えると背筋が寒くなる」とはどういうことでしょうか。財務省は0.05%までの引き上げを認める考えだったのに、厚労大臣のおかげで0.19%も出すハメになった。この分は厚労省にいずれ他の部分で泣いてもらう、という意味でしょうか。

長妻厚労大臣と厚労省との関係については、以下の記事も気になりました。
厚労省に葬られた民主党マニフェスト学習院大学経済学部教授 鈴木 亘(このコンテンツは11月21日発売のフォーサイト12月号に掲載されたものです)
十月十五日に締め切られた予算概算要求において、厚労省の概算要求額は二十八・九兆円(一般会計)でしたが、これについて『一つだけまさに「異様な」予算を組んできたのが、他ならぬ厚生労働省である。』としています。
『第一に、自公政権下で立てられた八月の予算要求が全くといっていいほど削られていない。第二に、特別会計の無駄削減にも、ほとんど手が付いていない。第三に、最も驚くべきことは、民主党マニフェストのほとんどの項目が、実は今回の予算額に盛り込まれて「いない」ということである。』
『厚労省の「異様な概算要求」は、官僚たちのサボタージュを浮き彫りにした。』
『面従腹背の猛抵抗
こうした厚労省予算概算要求の「異常事態」から読み取れるのは、長妻大臣に対しておとなしく服従しているかに見える厚労官僚たちの実は激しい抵抗である。厚労省所管の独立行政法人・公益法人への補助金をたかだか千六百億円カットするために、大臣が国家行政組織法に基づく異例の「大臣命令」を出さざるを得なかった状況がこのことを雄弁に語っている。まさに「面従腹背」を地で行っている。
長妻大臣、副大臣、政務官の三役は現在、厚労官僚からのレクチャー漬けで洗脳されることを拒否して、必要に応じて担当者を執務室に呼びつける形で政策運営していると伝えられている。一般に、これは政治主導のために良いことのように思われているが、恐らく大臣らは、誰が何の担当であるか、誰がどんな情報を持っているかも分からない「情報過疎」の状態に陥っていると想像される。実は、官僚の最大の武器は、政治家との間の圧倒的な「情報格差」なのである。官僚たちは、レクチャー拒否を良いことに、「指示待ちサボタージュ」という形で大臣らが必要な情報にアクセスすることを拒否し、利権と無駄の温床に切り込まないよう必死に抵抗しているのである。』

各省の政務三役と官僚との関係については、省毎にだいぶ異なるようです。最も問題が山積している厚労省において、大臣と官僚との関係が全く機能していないとしたら、国民にとって大きな損失を生むことになります。
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2 コメント

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Unknown (とおる)
2010-01-04 05:26:36
あけましておめでとうございます。

しかし、政治主導、且つ、大臣側が自ら官僚からのレクチャー拒否をしているのに、今の状態を「支持待ちサボタージュ」とは、さすがに批判が支離滅裂な気がします。

大臣が時期的に遅れて官僚との懇談会をセッティングした時もマスコミを意識してか大臣自身が明らかな非友好的姿勢を貫いていましたし、現状の責を官僚に帰するのは、いくら何でも飛躍が過ぎるというものではないかと。

何でもかんでも官僚を悪者にすれば良いというものではないでしょう。外部から見る限り、長妻大臣サイドは、他省庁の大臣たちと比較してもちょっと態度がおかしいと思います
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官僚の責任 (ボンゴレ)
2010-01-04 10:40:29
とおるさん、明けましておめでとうございます。

長妻大臣側の対応に問題があることはそのとおりでしょう。

一方の官僚側が「大臣が非友好的であっても、われわれは国民第一、政治が目指す方向の仕事をし続ける」という態度であれば、もちろん官僚への批判は当たらないわけです。しかし、フォーサイト誌著者の鈴木亘氏が概算要求を見るところ、厚労省は全く自分勝手に動いているようである、ということですから、この場合は「どっちもどっち」ということで、官僚側も批判されてしかたないのではないでしょうか。

結果として、われわれ国民の益にならないことは間違いありません。
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