弁理士の日々

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北朝鮮のテポドン2号発射と日本政府の対応

2012-07-28 11:20:48 | 歴史・社会
4月13日に北朝鮮長距離ロケットが発射された直後の日本政府の広報対応については、このブログでも北朝鮮長距離ロケット発射と日本政府の対応北朝鮮ミサイル対応の検証チーム報告書で論じてきました。

防衛省は6月15日、発射をめぐる対応の検証報告書を発表したとのことです。最近になって、Spike's Military Affair Review記事で知りました。

北ミサイル発射確認は3時間後 首相は軍事機密を囲い込み
2012.7.1 12:00 [防衛オフレコ放談]産経ニュース
『北朝鮮が4月13日に長距離弾道ミサイルを発射してから3カ月近くたつ。防衛省は6月15日、発射をめぐる対応の検証報告書を発表した。国民への発射情報の公表が遅れたことについて「情報発信と安心感の提供という観点が十分でなかった」と不手際を認めたが、政府高官の証言を集めると発射確認をめぐる混乱と、民主党政権の危機管理のお粗末さが改めて浮き彫りとなる。』

さらに7月4日には以下の報道もありました。
北ミサイル発射に米「迎撃は本国防衛のみ」と通告
2012.7.14 08:20 産経ニュース
『北朝鮮が4月に長距離弾道ミサイルを発射した際の米軍の迎撃態勢と日米の情報共有の全容が13日、分かった。米海軍は7隻のイージス艦を展開させ、大半が海上配備型迎撃ミサイル(SM3)を搭載。うち1隻を北朝鮮に最も近い黄海に配置したのは日本側の要請だった。米政府は発射前の協議で日本側に「ミサイルを迎撃するのは米国の防衛目的に限る」との対処方針も通告してきていた。
・・・
海自のイージス艦はミサイル本体やブースター(推進エンジン)が日本領土・領海に落下する場合の迎撃を優先させ、北朝鮮から離れた海域に配置した。これにより、水平線を超えてこないとミサイルを探知できない弱点を抱えた。
このため日米共同作戦の中枢となっている「自衛艦隊司令部」(神奈川県横須賀市)は事前の協議で、米海軍に黄海への米イージス艦の配置を要請。米側はこれを受け入れ、横須賀基地を母港とするイージス艦「カーチス・ウィルバー」を黄海に前方展開させた。
北朝鮮がミサイルを発射した際、発射の熱源を捉えた米軍の早期警戒衛星情報(SEW)に加え、カーチス・ウィルバーが探知したとみられる航跡情報はデータリンクで海自側に提供された。・・・』

日本側の従来の発表(6月15日も含め)では、『政府はSEWに加え、「自前」の自衛隊のイージス艦と地上のレーダーが探知して初めて「発射情報」と断定するダブルチェックに固執。8時3分の段階で「発射を確認していない」と情報発信し、国民を混乱に陥れた。』とあります。
しかし、7月4日記事によると、日本の海上自衛隊は、海自のイージス艦を黄海に配置しないために発射直後のロケットを把握できない問題点を事前にきちんと把握し、米軍のイージス艦を黄海に派遣するように依頼していたというのです。そして、米イージス艦カーチス・ウィルバーが探知したとみられる航跡情報はデータリンクで海自側に提供されたとのことです。

それでもなお、日本政府は、「日本のイージス艦が直接探知しない限り、長距離ロケットの発射と断定することはできない」と固執したのでしょうか。
それとも、防衛省内部の情報ルートが混乱し、、米イージス艦カーチス・ウィルバーからデータリンクで海自側に提供された航跡情報が、防衛省のしかるべき部署に到達しなかったのでしょうか。

今回の一連の報道では、防衛省内部で具体的にどの時点でどのような情報が流通し、誰がどのように判断したのか、という点が闇に包まれたままです。報道はこの点をこそ追求すべきではないでしょうか。
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