弁理士の日々

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ふるさと納税制度が知らないうちに拡張していた

2011-04-26 00:11:09 | 歴史・社会
震災の被災地に向けて寄付を行うに際し、税金の控除が多ければ多いにこしたことはありません。
今まで、赤十字、共同募金、地方自治体への義援金などについては、寄付金控除が受けられました。寄付金額にその人の所得税率をかけた値で所得税が控除になり、また寄付金額に住民税率(10%)をかけた値で住民税が控除になります。所得税率が20%の人であれば、寄付金額の30%程度が返ってくる、といったところでしょうか。
これよりも多くの税金が返ってくるのがふるさと納税です。特定の限度額の範囲内において、寄付金額から5千円を引いた残り全部が返ってくる、といって過言でないでしょう。
ふるさと納税については、このブログでも3月22日に被災地への支援を最大化するには
で紹介したところです。
ですから、「自分は赤十字に寄付したい」と希望する場合、ふるさと納税に比較して税金が返ってくる金額が少なくなるのは、そういう制度だと諦めるしかありませんでした。

ところが、最近いろいろと調べてみたら、今回の震災被災地・被災者に対する寄付の必要が高まったためか、この4月から制度が変わったようなのです。どう変わったかというと・・・

赤十字や共同募金への寄付、地方自治体経由の義援金などについても、従来のふるさと納税制度と同じだけ税金が返ってくるようになったのです。

こんな制度変更があったことを、おそらくほとんどの国民が気づいていないでしょう。半信半疑ながらネット検索をしたのですが、ネットでもほとんど話題になっていませんでした。

それでは、私の上記情報がガセでないことを示しましょう。

総務省の「ふるさと寄付金など個人住民税の寄附金税制」によると
『東日本大震災の被災地への寄付金・義援金(ふるさと寄付金)について
~あなたのふるさと寄付金が被災者支援に活かされます~
「ふるさと寄付金」制度を活用し、東日本大震災の被災地以外の出身者の方でも復興支援を行うことができます。
「ふるさと寄付金」として被災地の県や市町村に直接寄付する場合や、日本赤十字社や中央共同募金会、日本政府などに義援金として寄付する場合に、所得税と個人住民税で控除(還付)が受けられます。』

まずは、県や市町村経由での寄付金と義援金の扱いです。
○被災地方公共団体に対する寄付金及び義援金の取扱いはこちら
『東日本大震災に係る被災地方公共団体に対する寄付金及び義援金の受入口座一覧について
被災地の県や市町村への寄付金や義援金は「ふるさと寄付金」として、所得税と個人住民税の控除が受けられます。
また、この制度の活用のため、被災地方公共団体においては次の一覧表のとおり、寄付金・義援金の受入口座を開設していますので、ご活用ください。』
ここでいう、「県や市町村への寄付金」が、従来からあった「ふるさと納税」に対応するようです。そして今回、寄付金のみならず、被災地の県や市町村への義援金についても、「ふるさと寄付金」との名称で、従来のふるさと納税と同じだけ税金が戻ってくるようになりました。
ここで「寄付金」と「義援金」はどのような違いがあるのでしょうか。どうも、寄付金は県や市町村の復興資金に充てられ、義援金は直接被災者に給付されるようです。

どの県、あるいは市町村に寄付金・義援金を送りたいか、こちらの「受入口座一覧表はこちら(PDF)」で探すことができます。

次に、赤十字や共同募金への寄付金の扱いです。
○日本赤十字社や中央共同募金会等に対する義援金の取扱いはこちら(PDF)
『日本赤十字社や中央共同募金会などに東北関東大震災義援金として寄付する場合にも、「ふるさと寄付金」として所得税と個人住民税で控除(還付)が受けられます。』
『「ふるさと寄付金」によって控除(還付)される額は、所得税と個人住民税を合わせて、概ね「寄付金額-5000円」となります。
※ 控除(還付)される額には上限があります。
【具体的な控除額】
3万円寄付した場合 25300円
※給与所得500万円の人の例』

どうです。大きな制度拡張ではありませんか。
この制度、こちらの資料の3ページ以降によると、総務省自治税務局市町村税課長が3月25日に出した通達?『平成23 年東北地方太平洋沖地震に係る義援金等に係る「ふるさと寄附金」の取扱いについて』がその根拠になっているみたいです。こんな紙っきれで大きな制度改革が可能なのですね。

ところで、「寄付金額-5000円」の控除(還付)が受けられる上限の寄付金額というのは、その人の年収によって大きく異なります。宮城県のふるさと納税案内のページに、ごく大雑把な限度額が書かれています。
『ご寄附はいくらでもかまいませんが,個人住民税(所得割)のおおむね1割までの寄附金であれば,自己負担額5千円を除いた額の全額が税額から控除されます。次の表を参考としてください。
【参考例】夫婦・子ども2人のサラリーマンの場合
  年収    寄附額の目安
500万円   20,000円
700万円   41,000円
1,000万円   81,000円
2,000万円  262,000円
3,000万円  488,000円』

皆さんも、ご自身の年収に合わせ、震災復興のため大いに寄付しようではありませんか。日本赤十字、共同募金会、被災県及び市町村への寄付金・義援金の中から、自分が希望する寄付先を決めればいいのです。
私はというと、今年のふるさと納税枠を使い切ってしまったので次は来年ですが。
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