大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2020年01月30日 | 植物

<2942>  大和の花 (991) クロバイ (黒灰)                                          ハイノキ科 ハイノキ属

                 

 暖温帯域の明るい疎林内や林縁などに生える常緑小高木で、高さが大きいものでも10メートルほどになり、常緑広葉樹では珍しい陽樹として知られる。樹皮は暗灰色から暗褐色で、小さな皮目が見られる。葉は長さが3センチから7センチの長楕円形で、先は尾状に尖り、基部はくさび形。縁には浅い鋸歯が見られ、質は革質で、表面には光沢がある。長さが1センチほどの紫褐色の葉柄を有し、互生する。

 花期は4月から5月ごろで、前年枝の葉腋に長さが4センチから7センチの総状花序を出し、白い花を多数つける。花は直径8ミリほどで、花冠は5深裂し、雌しべは1個、雄しべは多数つき、よく目につく。葯は黄色。実は長さが7センチ前後の核果で、先に萼片が残り、秋から冬にかけて黒紫色に熟す。

 本州の関東地方以西、四国、九州、沖縄に分布し、国外では朝鮮半島南部に見られるという。大和(奈良県)では何故か、北部と南端部に分布を限る。なお、クロバイ(黒灰)の名は、木灰を媒染剤に用いることから黒い木灰の意によるという。別名のソメシバ(染柴)は葉を乾かすと黄色になり、これで菓子などを染めたことによるという。 写真はクロバイ。左から花期の樹冠、花をつけた枝木、花のアップ、小さな皮目が目立つ幹。   一団の雲行かしむる枯野かな


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