<1539> 大和の山岳行(23) 生駒山
ふところも春 あたたかき生駒山
快晴の天気で、朝は冷え込んだが、日中は暖かくなり、サクラの開花予報も現実味を帯びて来た。今日はこの天気に誘われて大阪奈良府県境の生駒山(六四二メートル)に登った。山頂一帯は遊園地と放送各局のテレビ塔が占有し、自然の植生には期待がもてない山で、その点魅力に欠けるが、行楽にはケーブルカーもあり、車でも登れるのでよかろうと思われる。
今日登ったのは宝山寺脇の登山道で、ケーブルの軌道に沿って急坂の石畳とコンクリートの道をほぼ一直線に登って行った。途中二駅ほどをやり過ごし、更に登って広い駐車場に行き着くとケーブルカーの山頂駅がすぐそこに見えた。駅から広い道が生駒山上遊園地に続いているが、木曜日は定休日で広い園内は閑散としていた。自由に出入り出来るが、遊園地の乗り物に乗らなければ眺望の利くところがなく、早々に踵を返した。
一昔前、遊園地はデパートや鉄道会社がおもに経営し、デパートの屋上や鉄道の沿線に見られた。八〇年代のバブル期には市街地にも登場したが、その後、欧米型の大規模なテーマパークが出来るに及び、バブルがはじけたことも一因して遊園地は姿を消して行った。今や娯楽施設はテーマパークの時代と言ってよいが、そんな中で、昔の姿を残して営業を続けているのは京阪沿線の「ひらパー」でお馴染みのひらかたパーク、南海沿線のみさき公園など。それに近鉄が経営するこの生駒山上遊園地が生き残っている。
山上遊園地は山頂の利を生かした眺望を誇る空中遊園地としての魅力があり、この強みによって生き残っている観がある。園内の乗り物にもその眺望を生かした空中空間を楽しむものが多いように思われる。また、山頂には関西各放送局のテレビ塔が建ち並び、生駒山は情報の担い手としての役割をこなし、それが麓からも望める山で、私たちにはかけがえのない一つの特徴的な姿として目に映る。
広い山頂一帯はこうして開発されているので、自然の植生には乏しいと言わざるを得ず、感動的な植生との出会いはなかった。帰りは道を異にし、自然林の中を歩いた。結果、かろうじて鮮やかな実をつけたアオキに出会いカメラに収めたことではあった。 写真は左から東の山並より昇り来る春分が近い太陽、生駒山上遊園地の遊具の一部、生駒山中で見かけたアオキの赤い実。
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