<517> ム ク ド リ
群鳥の 二手に分かれ 冬の空
最近、カラスの群が目につくことを書いたら、今日はムクドリの群に出会った。田んぼでせっせと餌を啄んでいた。近づくとエノキらしい葉のない樹木に飛び移った。ムクドリは燕雀目ムクドリ科の留鳥または漂鳥で、里の鳥として知られる。主にニカメイチュウの幼虫やイナゴなど稲の害虫を好んで食べる益鳥で、農家にはありがたい鳥であることを農家の人たちは知っているはずである。農作業をしているすぐ傍で餌を啄む群を見たりすると何だか和やかな気分になる。
今日の群は三十羽ほどだったが、私は京都市の郊外で空を被うほど群をなして飛ぶのを見たことがある。ムクドリはヒヨドリを一回り小さくした尾のあまり長くない鳥で、腰に当たる部分が白く、嘴が橙色をしているため、それと一目でわかる。
以前、スズメやツバメが少なくなっていることに触れたが、人家に巣を作るスズメやツバメには棟のない最近の民家は棲み難いようである。お寺など昔からある瓦葺き屋根の建物付近ではスズメの姿をよく見かけるので、やはり、昔の家は巣作りがしやすいのではなかろうか。
ところが、ムクドリは木の洞などに巣を作るため、カラスと同じで、人家のつくりなどには関わりなく、棲み処に問題を生じているということがないので昔と変わらず、ときに大きな群れを見ることもあるわけである。ほかの動物でも言えることであるが、一羽で暮らす鳥がいるかと思えば、群をつくって暮らす鳥もいる。どちらかと言えば、群れで暮らす鳥の方が多いように思われるが、もちろん、単独で過すモズのような鳥もいる。
燕雀目ヒヨドリ科のヒヨドリも留鳥または漂鳥で、漂行するときは群をつくるが、普段はペアで暮らすことが多いようで、我が家の庭にもよくペアでやって来る。冷え込んだこの間からサザンカの花びらを目的に姿を見せるようになった。ヒヨドリは地上からそれほど高くない雑木の上などに巣をつくるので、棲み処に困ることはなく、やはり、昔と同じく、よく見かける。
とにかく、生きものというのは食べ物と棲み処の確保が大切で、これが叶えられるところでは繁殖する。田園地帯というのは年々開発によって浸食されていて、大和でもそれが言えるが、ムクドリの群がいるということは、まだ、田園が田園として健在であることを示すものと言えるのだろう。写真は左がサザンカの花びらを啄むヒヨドリ。右は枯れ枝に群れるムクドリ。
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