<1025> 大和寸景 「 真夏の印象」
葛城も三輪も明日香も斑鳩も 夏の大和は雲に照らさる
大和の夏は青垣の山並のそこここに白い雲が湧きあがり、その雲の輝きに始まると言ってよい。東に春日・高円、竜王・三輪、西に金剛・葛城、信貴・生駒、東に春日・高円、龍王・三輪、南に吉野の諸山、北に佐保丘陵等。大和国中(やまとくんなか)の田園地帯(平野部)に立つと、これら青垣の山々に囲まれているのがわかる。
その囲んで連なる山並の上空に、夏本番になると雲が湧きあがり、見られるようになる。その雲はみな白く輝やき、国中を照らす。大和の真夏はこうしてやって来る。夏至が過ぎ、夏越しが過ぎ、七夕が過ぎ、そして、子供たちには待望の夏休みが来る。ツバナが終わり、卯の花のウツギが終わり、ノウゼンカズラが咲き、キョウチクトウやサルスベリの花が見られるようになる。
水田の苗は日々に太り、青々と育ち行く。ツバメは子を育て終え、田の面を曲芸飛行のようにすいすいと飛び回っている。農家では田の見回りを欠かさず、追肥をしたりしている。斑鳩の三塔は深みゆく緑の中、今まさに夏安居(げあんご)。潜む気分がある。これがまさに夏本番を迎えた大和路である。梅雨の中休みか、日の射すこの二日ほどに思うことではあった。では、今一首。 早苗田は道の長手に続きゐる彼方に遠く夏雲の峰 写真左は大和特有の白く輝く夏雲(斑鳩の里から東方を望む)。右は金剛葛城の山並の上空に現れた夏雲。まだ完全には整っていない。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます