大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2012年01月12日 | 写詩・写歌・写俳

<132> 稲村ヶ岳冬景
        凛然と 稲村ヶ岳 冬の嶺
  大和は今冬一番の冷え込みになった。 写真は大和でも秀峰の一つに数えられている吉野郡天川村の稲村ヶ岳( 一七二六 メートル )である。西面に当たる白倉谷から撮影したもので、 ファインダーを覗きながら感動した。その雪に被われた姿は凛然としてあり、 善もなければ悪もなく、ましてや人の思惑など関わりのない自然の直としての美しさのみが感じられ、 ただ、 眺めているだけで心に透きとおって来るものがあった。

                                                  
  大峰山脈の一角にあるこの山が 登山者に愛されているのは、谷を隔てて真向かいに位置する山上ヶ岳(大峯山・一七一九メートル)が修験道の山で、 山頂に根本道場の大峯山寺があり、 女人結界によって女性の入山が制限されているのに対し、 稲村ヶ岳が誰でも登れる開放された山になっているからでもある。
  また、オオミネコザクラをはじめ、イヨフウロ、ツマトリソウ、コウスユキソウ、イワキンバイ、コイワカガミ、シラヒゲソウ、ギョウジャアザミ、コミヤマカタバミ、 オタカラコウ、ソバナ、ツクバネソウ、ヤマブキショウマなど大峰山系の中でも珍しい草花の多く見られる山で、植生上も貴重な山としてあるところにも、その一端が覗える。
  これらの貴重な草花は、 この雪と氷に被われた冬の厳しい山岳の環境下にあって生を維持しているわけで、 この厳然たる自然と密接な関わりを持っているのである。オオミネコザクラやイヨフウロは あの辺りかと眼にしながら、夏にはまた登ろうと思った。


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