<3321> 奈良県のレッドデータブックの花たち (21) イヨフウロ (伊予風露) フウロソウ科
[別名] シコクフウロ。変種名としてヤマトフウロ
[学名] Geranium shikokianum var. shikokianum
[奈良県のカテゴリー] 絶滅寸前種(環境省:準絶滅危惧)
[特徴] 冷温帯域の草地に生える多年草で、高さは30~70センチになる。茎や葉などに粗い毛があり、葉は幅が5~10センチで、掌状に5中裂または深裂する。花期は7~9月で、普通淡紅紫色の5弁花を上向き開く。花弁には濃紅紫色の模様が入り、先が3浅裂するものと全縁のものとがあり、変異が見られる。 写真はイヨフウロ(3点とも花弁の裂けないヤマトフウロ。右1点は花弁が白い変異の個体)。
[分布] 日本の固有種で、本州の東海地方以西、四国、九州。
[県内分布] 大峰山系の高所(標高1700メートル~1800メートル付近)。
[記事] 紀伊山地のものはヤマトフウロ(大和風露)と呼ぶが、これについては奈良県版レッドデータブック2016改訂版に「非常に変異が多く、イヨフウロ(広義)の中に葉の形態から多くの変種が記載されている。奈良の大峰山系で採取された標本に葉身と裂片が深く切れ込むものがあり、これに変種ヤマトフウロ(var. yamatenes Hara)の学名がつけられている。検討できる標本も少なくはっきりしないため今回はイヨフウロの名前を用いた」と特記している。なお、イヨフウロ(伊予風露)の名は旧国名伊予(愛媛県)によるもので、フウロソウ属の植物の意。因みに、フウロ(風露)は風に曝される意で、フウロソウ(風露草)はそのような場所に生える草花の意。絶滅寸前種の選定理由は産地が非常に少なく限定的で、個体数も少ないことによる。シカの食害が懸念されるという指摘もある。全国的に減少している。
花は咲く 生の本義に則り
花は装う 生の本義に従い
花は咲き装うことによって
生の本義を遂行するに及ぶ
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